婚約破棄ですね、わかりました。

織田智子

文字の大きさ
10 / 10

10

しおりを挟む
「あー、やっとこれたー」

森の中に建つ、小さな小屋。
いつか隠居生活をするときのためにー、
なんて作ってあった小屋。

オブライエン領地内にある、隣国との境界線をまたぐ森。
通称、魔の森。
の、ど真ん中。

結構危険な魔物がうようよいるけど、
超強力な魔物除けを周囲に巡らせてあるから、
結構安全。
脱出用に小屋の中には移動魔法陣も設置済み。

あれから。

領都にいると、シェレンベルク王子の求婚がひどいために逃亡中です。
何度お断りしてもしつこくって・・・

王家に関しては
お父様が独立をちらつかせて力業で黙らせた、とのこと。
あまりにも婚約の申込がありすぎて、断っても断ってもわいてくるらしい。

ちょっと行方不明にでもなってくるか?

っていうお父様。

色々、領内でやってたお仕事引き継いでもらって、
休暇代わりにやってきた。

小柄な飛竜を選んで、ここまで飛んできたけど、
慣れてないから疲れた・・・。

「さて、元のところまで一人でおかえりー」

首筋をなでて、声をかけ、
数歩離れると、領都の方角へと飛び去って行った。

小屋に入ると、中から紅茶のいい香りが・・・

「お姉さま、お疲れ様でした~。
 お茶入ってるのでどうぞ」

「あれ?アイリス。なんでここに?」

「伯爵様から話を聞いたので、先に来て掃除とか色々してました。
 私、魔物を狩りながら来たので、
 食料は豊富ですよ」

座ると紅茶を出され、
目の前にはお茶菓子まで。

「今までいろいろと大変でしたから、ここで少し羽をのばしましょう」

「・・・そうね、お互い、そうしましょ」

二人でお茶を楽しむ。

「アイリス、王都では色々助けてくれてありがとう」

「まぁ、お姉さまは私の命の恩人でもあるんです。
 ある意味ではお父様の、もですね」

「あの時はどうしようかと思ったわ」

アイリスと知り合ったのは流行病の時。

黒死病にかかったアイリスを男爵が連れてきたのはよかったんだけど、
周りが平民だらけのところで大きな声でお貴族様発言されてしまい、まぁ大変。
周囲から殺気がすごかった。
そのままにしてたら周りの人間から撲殺されててもおかしくなかった・・・。
男爵の顔をはたいて叱り飛ばして、アイリスは周りの平民と同じように治療された。

その時はアイリスのことに必死で、男爵、自分の身が危険だったことに後で気づいたらしい。
流行が落ち着いてからわざわざ謝りに来てくれた。

その後、私は王都へ行くことになったけど、
一年後、アイリスは私の護衛兼侍女的役割として、王都へやってきた。
アイリス、元々最低限の訓練はしていたけど、
私の両親にかけあって猛特訓したそうな。

おかげで、武力はお父様と渡り合える数少ない一人に、
マナーや作法に関しては私と同じレベルにまでなったとのこと。

鑑定のおかげでアイリス、弱いながらも魅了の力を持っていることに気づいたので、
ちょっと試しに、と、護衛や侍女としてではなく、
生徒として学園に入学して、バカ王子を誘惑してもらった。
結果は、ご存じの通り。

見事、私との婚約を破棄でき、私としては万々歳。

「あの後、バカ王子何かしてこなかった?大丈夫だったの?」

「それどころじゃなかったようで、なにもなかったですよ~
 自分の手でどうにかできるものなら返り討ちにしますし、
 もし無理ならお姉さまに泣きつきますから。
 大丈夫ですよ」

「一時はどうなってしまうかと思ったけど、
 どうにかなるものね」

「言い方を変えればどうにかした、という言い方もありますけどね」

「確かに」

二人でクスクスと笑い合う。

婚約破棄、成功しました。






しおりを挟む
感想 21

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(21件)

penpen
2019.12.29 penpen

こちらも一気読みさせて頂きました(*´∀`)
そうですか、その後を先に書いてましたか(о´∀`о)双子が出来るところが楽しみに辺境伯令嬢を読ませて頂きます(*´∀`)♪

解除
ジャック
2019.09.04 ジャック

混乱する王都サイドが無いといまいちかな?

解除
マキ
2019.09.04 マキ

お疲れさまでした。

次回作(辺境伯令嬢に転生しました。)も頑張ってください。

解除

あなたにおすすめの小説

私がもらっても構わないのだろう?

Ruhuna
恋愛
捨てたのなら、私がもらっても構わないのだろう? 6話完結予定

うるせえ私は聖職者だ!

頭フェアリータイプ
ファンタジー
ふとしたときに自分が聖女に断罪される悪役であると気がついた主人公は、、、

捨てた私をもう一度拾うおつもりですか?

ミィタソ
恋愛
「みんな聞いてくれ! 今日をもって、エルザ・ローグアシュタルとの婚約を破棄する! そして、その妹——アイリス・ローグアシュタルと正式に婚約することを決めた! 今日という祝いの日に、みんなに伝えることができ、嬉しく思う……」 ローグアシュタル公爵家の長女――エルザは、マクーン・ザルカンド王子の誕生日記念パーティーで婚約破棄を言い渡される。 それどころか、王子の横には舌を出して笑うエルザの妹――アイリスの姿が。 傷心を癒すため、父親の勧めで隣国へ行くのだが……

許すかどうかは、あなたたちが決めることじゃない。ましてや、わざとやったことをそう簡単に許すわけがないでしょう?

珠宮さくら
恋愛
婚約者を我がものにしようとした義妹と義母の策略によって、薬品で顔の半分が酷く爛れてしまったスクレピア。 それを知って見舞いに来るどころか、婚約を白紙にして義妹と婚約をかわした元婚約者と何もしてくれなかった父親、全員に復讐しようと心に誓う。 ※全3話。

双子の片割れと母に酷いことを言われて傷つきましたが、理解してくれる人と婚約できたはずが、利用価値があったから優しくしてくれたようです

珠宮さくら
恋愛
ベルティーユ・バランドは、よく転ぶことで双子の片割れや母にドジな子供だと思われていた。 でも、それが病気のせいだとわかってから、両親が離婚して片割れとの縁も切れたことで、理解してくれる人と婚約して幸せになるはずだったのだが、そうはならなかった。 理解していると思っていたのにそうではなかったのだ。双子の片割れや母より、わかってくれていると思っていたのも、勘違いしていただけのようだ。

婚約破棄されて追放された私、今は隣国で充実な生活送っていますわよ? それがなにか?

鶯埜 餡
恋愛
 バドス王国の侯爵令嬢アメリアは無実の罪で王太子との婚約破棄、そして国外追放された。  今ですか?  めちゃくちゃ充実してますけど、なにか?

聖女の力を失ったと言われて王太子様から婚約破棄の上国外追放を命じられましたが、恐ろしい魔獣の国だと聞かされていた隣国で溺愛されています

綾森れん
恋愛
「力を失った聖女などいらない。お前との婚約は破棄する!」 代々、聖女が王太子と結婚してきた聖ラピースラ王国。 現在の聖女レイチェルの祈りが役に立たないから聖騎士たちが勝てないのだと責められ、レイチェルは国外追放を命じられてしまった。 聖堂を出ると王都の民衆に石を投げられる。 「お願い、やめて!」 レイチェルが懇願したとき不思議な光が彼女を取り巻き、レイチェルは転移魔法で隣国に移動してしまう。 恐ろしい魔獣の国だと聞かされていた隣国で、レイチェルはなぜか竜人の盟主から溺愛される。 (本作は小説家になろう様に掲載中の別作品『精霊王の末裔』と同一世界観ですが、200年前の物語なので未読でも一切問題ありません!)

聖女の私と婚約破棄? 天罰ってご存じですか?

ぽんぽこ狸
恋愛
 王宮内にある小さな離宮、そこには幸運の女神の聖女であるルーシャが住んでいた。王太子の婚約者であるルーシャはその加護を王太子クリフにすべて捧げるために幼いころから離宮に隔離され暮らしている。  しかし、ある日クリフは、アンジェリカという派手な令嬢を連れてルーシャの元を訪れた。  そして彼らはルーシャの幸運の力は真っ赤な嘘で、ルーシャは聖女を騙ってクリフをだましているのだと糾弾する。    離宮でずっと怠けていて社交界にも顔を出さない怠惰なごく潰しだと言われて、婚約破棄を叩きつけられる。  そんな彼女たちにルーシャは復讐を決意して、天罰について口にするのだった。  四万文字ぐらいの小説です。強火の復讐です。サクッと読んでってください!  恋愛小説9位、女性ホットランキング2位!読者の皆様には感謝しかありません。ありがとうございます!

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。