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追われる人
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私はただ駅のホームを歩いていただけだった。
「泥棒!」
鋭い叫び声が背後でしたので、思わず振り返ってしまった。見知らぬおっさんが私を指差して「泥棒! 誰かあいつを捕まえてくれ」と必死で叫んでいた。
「はぁ?」
「何を言っているんだ、あのおっさんは?」と、私は首をかしげていたが、ホームにいた善意のリーマンたちが一斉に私を捕まえようと迫ってきた。まるで、ゾンビのむれのような迫力だったので、私は思わず、逃げてしまった。捕まったら、泥棒として集団リンチを受けそうに感じたので逃げたのだ。追って来る彼らも冷静さを欠いていたと思うが、追われる私も冷静ではなかったと思う。
そして、ついホームから足を踏み外して線路に落ちてしまって運悪く通過の快速列車に撥ねられてしまった。
しかも、そのとき、私を追いかけたリーマンたちの善意はみとめられ、「泥棒!」と叫んだ肝心のおっさんは姿を消した。誰も、いつそのおっさんが、ホームから消えたか見ていなかった。しかも、追われて線路に落ちた私の自己責任の事故として、誰も罪には問われずに処理された。
「泥棒!」
鋭い叫び声が背後でしたので、思わず振り返ってしまった。見知らぬおっさんが私を指差して「泥棒! 誰かあいつを捕まえてくれ」と必死で叫んでいた。
「はぁ?」
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そして、ついホームから足を踏み外して線路に落ちてしまって運悪く通過の快速列車に撥ねられてしまった。
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