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目玉焼き
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「ちょ、なに、朝食は?」
「悪い、いらない、もう会社行くよ」
私は目の前のフライパンで、焼き始めた目玉焼きを見つつため息をついた。
「なによ、昨日、朝食は、毎日必ず作るのが、妻の役目だろと、文句言ってたくせに」
そうなのだ。うちの夫は、必ず朝食を食うということはなく、朝、気分が悪いとか言って、朝食を食べずに出社することが珍しくなく、だから昨日、面倒臭くなって朝食の準備をしなかったら、妻が朝食の準備をするのが当り前だと、夫に激怒されたので、しかたなく、今朝は、トーストを用意し、いま卵を割って目玉焼きを焼き始めたのだが、それを無視して、夫は出社しようとしていたから、呼び止めた。
「ちょっと、まちなさいよ、あんたが、妻が朝食を作るのが当り前って言ってたんでしょ、それなのに食べずに出て行こうとするなんて、ひどくない」
「うるさいな、しょうがないだろ、今日は食欲がないんだから、アチッ・・」
夫は私に文句を言おうとして急に振り返った。だが、その時、私は、焼いている途中の目玉焼きを焦がさないように、コンロから離して、手に持って夫の方を見ていた。
そのフライパンに振り返った夫の手が偶然当たったのだ。
「アチッ、チ、な、なにすんだ」
急に振り返った自分が悪いのに、夫は激高して、フライパンを持っていた私の手を強く叩いた。フライパンから目玉焼きが飛び出して、床にべちゃッと落ちた。激怒した夫はさらに、私を叩こうと迫って来たので、私は思わず、フライパンを強く振って身を守った。
正当防衛だった。ただ夫の望むように朝食を食べてもらおうとしただけなのに、その日から私は未亡人になった。だが、私は悲しいと思うよりも、目の前の彼の死体をどう処分しようか冷静に考えていた。私には、床に落ちた目玉焼きも夫だった肉塊も、どちらも捨てなければならない生ゴミだった。
「悪い、いらない、もう会社行くよ」
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「アチッ、チ、な、なにすんだ」
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