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そうだ、ホテルへ行こう
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「ホテルに行かない?」
その夜、見知らぬ美女に誘われ、俺は彼女の運転する車で確かにホテルに向かった。
だが、そこはホテルに違いないが、どう見ても、もう何年も操業していない感じの廃墟だった。
「ここ?」
俺はなとなく失望しながら彼女に確認したが、彼女はサイドブレーキをかけて車のエンジンを止めた。どうやら、本気でここが目的地のようだ。
彼女が車を降りるので、俺も仕方なく降りた。もしかして、廃墟のホテルでやりたいということなのだろうか。いや、それより美人局と考えた方が現実的に思えた。
その日はコンビニで夕飯を買って、もうアパートに帰るところだった。
知らない美人で、コンビニの駐車場で誘われ、ちょうど明日は仕事が休みだったから、何となく興味半分で彼女の車に乗った。美人局じゃないかと疑ったが、それならそれで、話のネタになると、俺は彼女の誘いに乗った。怖いお兄さんが出て来たときを想定して、こっそり、スマフォの録音アプリを起動させていた。怖いお兄さんが出て来ても、それを録音して、隙を見て逃げ出して、警察に連絡すればいい。俺は凡人で、大した人生経験はない。危険だとは思うが、たまには危険な目に遭ってもいいじゃないか。それに、まだ、美人局でなく、廃墟で美人と一発やれる可能性も残っている。
彼女は黙って、つかつかとその廃ホテルに向かった。仕方なく、ついて行くと、近所のガキが壊したのか、××参上とスプレーで書きなぐられて、入り口をふさいでいたらしいフェンスが壊されていた。あまり雨漏りはしていないのか、意外に、内部は奇麗だった。ホテルのロビーを過ぎて、部屋の並んでいる廊下に着く。歩きながら彼女が話す。
「昔、ここで不良たちが女子校生を数人連れ込んで乱暴して殺しちゃったんだって。殺された子って可哀想に思わない」
「へぇ、ここってそんな事件があった場所なの?」
後でネットで調べれば事件の詳細が分かるかもしれない。
「可哀想に思うでしょ」
「ああ・・・、そうだね、可哀想だね」
俺が適当に彼女に相槌を打った時、急に背後から抱きつかれた。腕しか見えない。白く細い腕。
「ひぃ」
「その子たちが寂しいって言うから、あなたをここに連れて来たの。ごめんなさい。可哀想だと思ってくれるなら、あなたその子の寂しさを紛らわすために死んでくれるわよね」
「いっ・・・」
俺は関係ないって大声で叫びたかったが、まともに声は出せなかった。
「悪いわね。誰かを生贄に連れてこないと、加害者の私の弟が呪い殺させそうだから、バカなことした弟だけど、バカな子ほどかわいいっていうでしょ?」
俺は、どうやらその弟の代わりに悪霊を鎮めるためにここに連れて来られたらしい。らしいというのは、俺はその廃ホテルから生きて出られなくて調べようがないからだ。
後日、俺のスマフォがその廃墟で発見されたが、うまく録音されていなくて、俺の死因は謎のまま処理された。
その夜、見知らぬ美女に誘われ、俺は彼女の運転する車で確かにホテルに向かった。
だが、そこはホテルに違いないが、どう見ても、もう何年も操業していない感じの廃墟だった。
「ここ?」
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