怪異の忘れ物

木全伸治

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陰謀論

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「おい、なぜ、ヘラヘラ笑っている。殴られ過ぎて、おかしくなったか?」
「へっ、口封じのためにお前らが現れたってことは、俺がきさらぎ駅について探っていたことが、かなり真相に近づいたってことだろ。うれしくなるのも当然さ」
「ほぉ、今の状況がうれしいと?」
「ああ、そうさ、どいつもこいつも、ネットに真実をあげても誰も信じない。俺のことをいかれ野郎と批判する奴ばかりだったが、こうして口封じにお前らが現れたのなら、俺は間違っていなかったてことだろ」
「ふん、いいから、早く、お前の協力者の名を吐け。吐かないと、代わりにお前の家族がひどい目に遭うぜ」
「よく聞く脅迫だな。なんか、もっと独創的なオリジナリティのある脅迫は、ないのかよ。それじゃ、聞き飽きて誰もビビらないぜ」
「おい、本当に粋がっていないで、早めに吐いた方が利口だぞ。一家全員行方不明になって、警察が動き出す頃には何の手掛かりもなくて、未解決って事件にしたいのか」
「ああ、なるほど、関係者皆殺しだから、つかまれた秘密は絶対に外にもれない。そうやって、今まできさらぎ駅の秘密を隠して来たのか」
「だとしたら、どうする?」
「余計に何も話せないだろ。俺が口にした途端、殺されると分かってて、誰が教えるか」
「まさか、自分が犠牲になれば、他の仲間が助かると? お前を殺した後に、じっくりと調べて、協力者を洗い出してやる。たとえ、本当は関係なくとも、お前の協力者かもしれないという疑いだけで、殺されたりするかもな。無関係な知り合いを巻き込むかもしれないぜ」
「おいおい、そこまでして、今の政府を守るのかよ。確かにきさらぎ駅なんて、ありもしない無人駅を捏造して、地方の活性化なんて、バカなプロジェクトに多額の税金が密かに投入されたと知られれば、さすがに国民は大激怒だろうな。次の選挙で、野党に政権が移る可能性も十分にある」
「で、それを誰から聞いた?」
「地方の秘境駅に人を呼ぶ、ネットで変な駅の噂を流して、地方に人を行かせようとした。けど、ネットで噂にはなったけど、思ったほど、秘境駅に人は行かなかった。そう言えば、ネットでの工作費用として、億単位の金がどこかの広告代理店に流れたらしいな。お前らの雇い主は、政府じゃなくて、その政府から多額の予算をもらった広告代理店か。確かに、あんな変な噂をネットに流して、経済効果がありませんでしたとなれば、その予算を承認した政治家ともども企業も叩かれるよな」
「・・・すごい、妄想だな。だが、そんな妄想を垂れ流されると、迷惑がかかる人がいるというのも理解してほしいな」
「妄想? 真実が漏れるのを防ぐために、今、この俺をボコボコにしているあんたらが、俺の言ってることを妄想だって?」
「君は一つ勘違いをしている。あれは、政府のプロジェクトじゃない。そうだ、映画でよく最期に真実を伝えるというのがあるだろ。君も勘違いしたまま死ぬのは可哀想だ。教えてあげよう。確かに、地方活性化のため人の来ない無人駅を話題にしようというプロジェクトはあったが、きさらぎ駅なんてものは政府は知らない。きさらぎ駅がなぜ現れて、どこに存在するのか政府も知らない。だが、無人駅の活性化プロジェクトの中に、無人駅をお化け屋敷に見立てて、乗客を脅かすという案があったのは事実だ。だが、これは実際には実行されなかった」
「は、何を言ってるんだ?」
「だから、実在するきさらぎ駅と政府は無関係だ。だが、きさらぎ駅は現れた。我々の調べでは、あれは人を誘い込み、人を食う。君も、きさらぎ駅に誘い込まれている人間のひとりだ。その誘い込まれる人をなくすためには、きさらぎ駅の噂を完全に消す必要がある。私の娘みたいに、誘い込まれて帰って来ない子を増やすないために、我々は政府の支援を受けて極秘に活動している」
「・・・本気で言ってるのか」
「我々も、かなり頑張っているんだが、君みたいに深堀しようとする人が多くて、困る」
「そんな話、信じろと」
「君の言っていることと、私の言っていること、どちらが正しいと思う」
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