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今日は誰の肉?
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「今日は誰の肉?」
「前は母親だったから、今度は父親の肉だ」
「道理で、筋張って堅いと思った。もう少し、長く煮込んだ方が良かったんじゃない?」
「悪く思うなよ、これでも人間を殺すのは得意だが、人間を料理するなんて、初めてなんだ。初めてにしては、ちゃんと肉料理になってるだろ?」
「それもそうね、ただ焼いただけのものを出されたら、さすがに食べられなかったでしょうね」
「そういうことだ。しかし、それでもよく平気で食べられるな。お前の親の肉だぞ」
「そりゃ、嫌そうに食べたらあなたを喜ばせるだけと分かっているもの。悪いけど、悪魔のあなたを喜ばせる気はないの」
「さすが、悪魔の俺に、目障りな両親を殺させた女だ」
「代価としてあなたが殺した人間の肉を目の前で食べてあげてるでしょ」
「ああ、その肉を嫌そうな顔をして食べるまでが契約のつもりだったんだが」
「あら、どんな顔して食べるかまでは、約束したつもりはないけど」
「普通の人間なら、肉親の肉なら嫌そうに食べるものだろ。人肉を食うカニバリズムは一般的に忌避される行為のはずだ」
「残念でした、悪魔に目障りな人間を殺すように依頼する人間が一般的な価値観を持っていると? そんなわけないじゃない」
「ま、普通の人間とは感覚がずれているとは思っていたが、親の肉を平気で食べられるほどのサイコパスとは思っていなかったよ」
「完敗?」
「ああ、君を見誤った俺の負けだ。で、次は誰を殺して欲しい?」
「あなたに殺せない相手はいる?」
「神は殺せないな」
「さすがに悪魔でも無理?」
「いやいや、悪魔だからこそ神は殺せない。神がいなくなったら、善という概念がなくなる。善がなくなれば悪もなくなる。言ってる意味分かる?」
「は? 分からないわ」
「善行という基準があるから悪行がある。もし善行がなくなれば、何をやっても悪行となる。悪とは善という基準があって初めて成立するものだからだ」
「まさか神がいなくなったら、次は悪魔が神になるとでも言いたいの」
「ああ、そういうことだ。悪魔と呼ばれている存在の多くが、元々はその地で崇拝されていた神や精霊だったりするというのは、知っているかい?」
「へ?」
「他民族を侵略するさいに、土着信仰が邪魔だから、彼らの信仰を悪魔崇拝として排除した。だから、今の神がいなくなれば、次は悪魔が新しい神としてあがめられる。人間が己より上位の存在を畏怖し崇拝するのは大昔から繰り返してきたことだよ。だから、神殺しはお勧めしない」
「ただ、悪魔のあんたが、今の神に勝てないだけでしょ」
「ま、食事時の会話としては、楽しめただろ?」
「そうね、おかげで、奇麗にまずい肉が食べられたわ」
「それは、良かった。で、次の料理は、誰の肉がいい?」
「あら、両親以外にも殺して欲しい相手がいると? そんなに残忍な女に見える?」
「ああ、見える。なにしろ、君は悪魔の料理を眉一つ動かさずに食べられる人だからね」
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