俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!

くまの香

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75話  スクロールの検証

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 翌朝、拠点本部へ全員が集合した。


「昨日はお疲れ様でした。今朝は昨夜の検証の続きを行いたいと思います。カオるん、他にどんなスクロールを持っていますか? もし良ければひと通りここに出してもらえますか?」


 俺はアイテムボックスからスクロールを出した。

アジト帰還スクロール
帰還スクロール
テレポートスクロール
解析スク
解呪スク
変身スクロール
復活スクロール

 これらはゲーム上存在していたスクロールで、異世界でも使用が可能だった。

 それからブランクスクロールに魔法を詰めた物も出して行く。
 
ヒール
グレートヒール
ライト
テレポート
ヘイスト
ブレスドウエポン
ブレスドアーマー
シールド
ファイア
アイスダガー


 ちなみに『スクロール』は名前からもわかる通り、A4ほどのサイズでしっかりした紙質……近い物だと厚めの『賞状』のような感じだろうか?それがクルクルと巻かれている。

 アイテムボックスの中に帰還スクロールが100個入っていても別にどうって事はない。『帰還スクロール』という枠に100枚と数字が表示される。

 だが、これが外に出すと大変嵩張る。
 今17個の筒状の物をテーブルの上に転がした。17個の筒がゴロゴロと。

 しかもクルクルと巻かれたこれらは見ただけでは何のスクロールか判別出来ないのだ。触るとわかる。スクロールを手にした途端に『帰還スクロール』と頭に浮かぶのだ。

 よくダンジョンで魔物を倒した時にスクロールをドロップする事もあるが、拾うまで何のスクロールかは不明だ。


 タウさんらはテーブルの上のスクロールをガン見したまま固まっていた。
 が、いち早く復活したタウさんがスクロールを指差して俺を見ずに質問を口にした。


「……これは? 本物のスクロールですか?」


 ちょっと質問の意味がわからない。俺に聞いたんだよな?


「本物の? 偽物のスクロールもあるのか?」

「いやだってさ、カオるん。スクロールに太ペンで『ヒール』とか『ファイア』ってさ……」


 ミレさんがそう言いながらファイアスクロールを手に取った。


「あ、本当にファイアスクロールだぜ、これ」

「えっ……」


 タウさんが眉間に皺を寄せながらスクロールを手に取った。


「本物ですね。カオるん、失礼しました」


 俺はスクロールにペンで名前を書いていた。
 クルクル巻いた状態だとどれが何かいちいち触らないとわからない。

 ムゥナの街のやまと屋では日々使うスクロールを地下室に保管していた。棚に名前シールを貼っていたが、出したりしまったりする時にたまに入れ間違いが起きたりしていた。

 それで巻いた状態のスクロールの側面に太い油性ペンで大きく名前を書いていた。
『ひーる』
『えんちゃんとアマ』
『シールド』
 といった具合だ。

 俺が持っているスクロール全てに書くのは大変なので、ある程度店で必要な物に書くようにしていた。(いや、書いてもらっていた)


「……という訳で、全部じゃないけど名前書いてあるスクロールもあったからさ、今は分かり易い方がいいかなと思った」

「そうですか。……ある意味、流石です」


 ……ある意味?どんな意味だ?


「いや、でもさぁ。カオるん、なんかちょっと間抜けっぽいな」


 失礼な!誰にでも見易くわかりやすいのに!確かに字が汚いのは認める。


「カオるん、素のブランクスクロールはありますか? まだ魔法を詰めていない物です」

「おう、ある。あ、ブランクスクは名前書いてないぜ。やまと屋でも俺しか使わなかったから店で保管してなかったしな」



「まず検証として、ブランクスクロールに魔法を詰められるかやってみてください」

「おう、わかった。ヒールでいいか?」


 俺はブランクスクロールを開き、スクロールに向かってヒールを放つ。放った光がスクロールに吸い込まれた。ゲームではこんなエフェクトは無かったな。

 手を離すとスクロールはクルクルと丸まった。自動クルクル、いつ見ても不思議だ。タウさんはそれを手に取った。


「ふむ。ちゃんとヒールスクロールですね。マルクくんは出来ますか?」


 タウさんはマルク向かって問いかけた。


「ううん、出来ない」


 マルクがちょっと悲しそうな顔になった。


「そうですか、ありがとうございます。大丈夫、確認と検証なので別に出来なくても問題ありません」


 それから俺に向かう。


「カオるん、スクロールの在庫はどのいくらいありますか? 今ここに居る皆が検証で使っても問題がないほどお持ちでしょうか?」


「あ、全然問題ないぞ? 山ほど持ってる。暇な時に女神像でブランクスク作ってたし、ゴンちゃんにもコピー用紙と引き換えに大量に作ってもらったりしてたから」


 俺はアイテムボックス一覧を確認した。


「あ、でも名前付きのは案外少ないな……あっちの店に保管してたからなぁ」




 俺が出したスクロールを全員が試していった結果、謎はさらに深まってしまった。


 まず『帰還スクロール』は危険なので使用不可にした。最寄りの帰還先が水の中だと困る。

 『アジト帰還スクロール』は全員同じメッセージが出現した。

「アジトがありませんって出たー」
「僕も」
「俺もだ」


 ゲームでは俺以外は『地球の砂漠』に加入している。血盟主はタウさんだ。
 俺はゲームでも異世界でも『月の砂漠』で、異世界ではパラさんが盟主、ゲームではウサ男が盟主になっていた。


「ステータスに表示されていても現実ではアジトを設定してないからでしょうか?」

「タウさん、ゲーム内ではアジト購入したんだよな?」

「ええ。ですがやはり現実のアジトでないとアジト帰還スクロールは使えないのでしょうね」

「けど現実でアジトなんてどうやって設定するんだ?」

「ここ、洞窟拠点がアジトっぽいけどな」

「ええ、ここをアジトにしたいのですが、如何んせん、登録の仕方が不明です」

「市役所で世帯主登録してみるか?」

「それ以前に住民票は愛知のままですし、どちらの市役所も閉まってますよ」

「んじゃアジト帰還スクロールも解明するまで使用禁止だな」


 テレポートスクロールはさっき全員が使えた。

 解呪スクロールは誰も呪いにかかっていないので検証は持ち越しとなった。

 同じ理由で復活スクロールも検証不可だった。兎で試そうかと話が出た時点で子供達(と俺)の大反対にあった。いくら生き返らすとは言えモフモフを殺すなんてどんでもない。
 何故か男達もホッとした顔をしていた。

 解析スクロールは盛り上がった。ゲームや異世界では敵や魔物の解析に使った。ただここには敵も魔物も居ないのでお互いや物に使ってみた。

 解析スクロールを開くと空中にカーソルのような物が出現するので、ターゲットに合わせて「解析」と言う。心の中での詠唱でもオッケーだった。


「翔ちゃん、たなかしょうた 15歳 だって」
「マルクいいなぁ。WIZって出てる。ウィザードの事だよな?」
「テーブル、一枚板で出来ている頑丈なテーブル。へぇぇ」
「ちょっと真琴、私を解析しないでよ、体重とかスリーサイズ出てないでしょうね!」
「えっ、体重とか勘弁ー、女性解析したらアカンで!」


 全員が使える事がわかったが今後の必要性は低そうだ。

 変身スクロールは開いた時点で変身出来る魔物・獣の一覧表が開く。それを確認してもらい実際に変身はしないでもらった。このスクロールも使う意味が見えず使用禁止となった。マルクの収納鞄にも入れてしまったが使わないように言い含めた。


 それからブランクスクロールに詰めた魔法の検証だ。この洞窟内の部屋で検証出来そうなものから始めた。

 ライト、テレポート、シールド、ヒール、エンチャントウエポン、エンチャントアーマーは、全員が使えた。
 確実な効果の確認は難しいが、光を放ってスクロールが消滅したので使用は成功したと判断した。

 グレートヒールとヘイストが使用出来たのは俺とマルクだけだった。

 ファイアとアイスダガーは攻撃魔法なので室内での検証は出来ない。子供は置いて大人だけで外へ検証に行った。
 ダガーもファイアもタウ、ミレ、カン、俺の4人が使えた。


「どう言う事でしょうか? グレートヒール、ヘイストはカオるんとマルク君だけでしたね。攻撃魔法は異世界戻りの我々も。ただしマルク君は試していませんが恐らく使えると思います」

「ゲームじゃスクロールはWIZ以外の職が使えるのが売りだったはずだ……」

「そうですね。魔法を持っていないからこそのスクロールだったのに、使えないスクロールがあるとは。ウィズだけが使えても意味がない」

「父さん、ムゥナでは魔法使いじゃなくてもスクロール使ってたよね?」

「そうなんですか?」

「ああ、弁当のオマケに付けてたよな?」

「勿論、私たちも彼方の世界では使えていました」

「そうだよな? 俺らあっちでは普通にスクロール使ってたよな?」

「此方に戻ってステータス画面はあるのに、スクロールは使える物と使えない物がある。何故でしょう……」



 結局解明には至らなかった。
 だが、この検証についてタウさんが北海道のゆうごと連絡をとったところ、ゆうごから面白い理論が展開されたそうだ。


『スクロールに込めた魔法のレベルとか関係してないですかね? ヒールやシールドはレベル1魔法ですよね。エンチャント系はレベル2。攻撃のファイアやダガーはレベル3、ヘイストは確か4でしたよね。グレートヒールは5だったかな。つまりレベル1~2のスクロールは全員使える。僕ら異世界帰りはレベル3まで。それ以上はWIZのみ。僕もアイテムボックスにあったスクロールで試しましたが同じ結果でした。あっちでは使えたスクロールも地球では使えない。地球では何かルールがあるのかも知れませんね』


 なるほどぉ。そうなのか?


 その日の検証はそこまでで、俺はタウさんから所持しているスクロールの枚数の書き出しを依頼された。
 書き出すのが面倒くさくて、タウさんに向かいトレード画面を開いて俺のアイテムボックスからタウさんへとどんどん移していった。


「カオるん! カオるん、全部はダメですよ。自分でも持っていてください!」

「大丈夫。ちょっと残しておけばいいだろ?」

「いやこんなにはダメです! お返しします」

「えっ、俺持ってても直ぐに思い出せないからタウさんが采配してよ」

「それにしてもこの量はないでしょう、どれだけ貯めたんですか」

「ちょっと、こっちに返さないでくれ」


 俺とタウさんは向き合って、お互いのアイテムボックスからスクロールを押し付けあった。


 最後は俺が勝った。ふんす。

 タウさんは諦めて大量のステータスを受け入れる気になったようだ。俺は「そうだ!」と思いついてスクロール以外もタウさんのトレード画面に移そうと思ったが、断固拒否された。


「カオるん!!! 今日はもうこれだけで! 他は後日相談にのりますが今日はスクロールだけでお願いします!!!」


 ええぇ、ケチ。
 折角大量のゴミ箱と化したアイテムボックスを整理出来ると思ったのに……。
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