俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!

くまの香

文字の大きさ
82 / 299

82話 こんな近くに?

しおりを挟む
 茨城、福島、宮城、岩手、新潟、群馬、栃木と周った救援活動は一旦休止で、拠点へ戻った。

 勿論、日々拠点には戻っていたが直ぐにとんぼ返りで救援活動に行っていたのだ。

 だが、世の中が自分達の想像以上に酷い状態であった事で、無理はしない事になった。自分らが少数で頑張ったところでたかがしてれている。無理をして仲間に何かある方が本末転倒と考えた。


 暫くは茨城の洞窟拠点で心と身体を休めつつ出来る事をしようと決まった。


 PCでネットの書き込みチェックは続けていた。
 それにしても、茨城はなぜこんなに通信状態が良いのか。実は気になる書き込みを拾った。『筑波学園都市の地下に巨大シェルターがある』と言うものだ。

 以前にもそんな噂がある事は話に出た。その時は皆流していたがどうしても気になる。


「そもそもさぁ、学園都市って何よ?」


アネが口にした素朴な疑問だが、それには俺も同感だ。


「……都市全部が学園? デカイ大学?」

「神戸…と、八王子とここ茨城に学園都市を名乗ってるとこがありますね」


 各々で学園都市をパソコンで検索している。


「カンさん、茨城の学園都市ってどんなん?」

「え、いや、僕も詳しくは知らないんですよ。何かいつの間にかあったと言うか当たり前に出来てたので」

「つくば学園都市、筑波研究学園都市が正式名称かな? ええと?人口20万弱、国・民間の300に及ぶ研究機関、企業、研究者を擁する日本最大の研究開発拠点、だって」

「何それ、何かメチャクチャ怪しくねぇか?」

「だなぁ、これ絶対隕石落下の前に、政治家とか逃げ込んでいそうだな」


「人口20万って都市ごと皆関係者か?」

「あ、でもねぇ、観光名所とかもあったみたい」

「うぅむ、さらに怪しい。観光名所とか作って『怪しくないですよー』と言ってるやつほど実は怪しい系だな」

「タウさん、一度行ってみないか?」

「そうですね。シェルターとかあるなら今後何かで関わるかもしれませんし」

「そうよ、洞窟拠点に入りきらなくなったらそこに回しましょうよ」

「そうよそうよ、もとはシェルターで国が国民を保護しないといけないんだから! 自分達だけシェルターでぬくぬくしてるとか問答無用よ!」

「でも俺、シェルターよりここがいいな」

「そうだよね、ケンちゃん。ここのが絶対良いと思う」

「そうだよねー、ここ、何も不満はないよ」


 子供らは洞窟拠点が大満足のようだ。勿論俺ら大人でも満足だしここは完璧だと思うぞ。


「一度行きましょうか、学園都市に」


 タウさんの鶴の一声で学園都市探しが決定した。
 俺は学園都市もいいが牛久観音に行ってみたい。茨城に住んでいていつでも行けると一度も行かないままだった。沈んでいないといいな。後でカンさんに相談してみるか。


--------------------------


 ネットで調べた学園都市の辺りを歩く。
 サイトに出ていた写真は大学だったりどこかの企業だったりで、『学園都市』と言う俺のイメージとは違った。
 俺は万博のような物を想像していたのだ。

 普通の街だ。しかもそんなに未来感は無い。
 街全体が学園都市として設計された未来都市、と言っても随分と昔だからな、出来た当初は未来チックだったんだろうな。

 津波が押し寄せた様子もほぼ無かった。崩れた建物も僅か。道路も広く、火山灰も除けられていて車での移動も可能。
 とりあえずシェルターの噂の書き込みの近辺に行ってみる。

 地上にはチラホラと生活をしている人達を見かけた。
 シェルターについて聞いてみるが「知らない」と言われた。ここら辺は被害が少なく、『避難所』はないらしい。皆自宅で待機、物資の配給の連絡があるときにそこまで貰いに行くそうだ。

 物資の配給、誰が(何処が)やっているのだろうか。
「自治体でしょ」「市じゃないのか」など、住民もあやふやなまま日々を送っていたようだ。


 結局シェルターの入口は見つからなかった。

 企業や大学は閉館中で門もキッチリと閉められていて見学さえ出来なかった。
 とりあえずいくつかの地点をブックマーして帰宅する事になった。


 戻って来てからアネさんが『筑波わんわんランド』に行きたいと言い出した。シェルターが見つからなかったのが不満だったようだ。


「今日はせっかくみんなで行動してるんだし、どっか行こうよー。アレあったよね? アレ。ワンワンランド」

「ワンワンランド?」

「ああ、筑波わんわんランドですね。けどこの状況下では閉まってるんじゃないですかね」

「えー、行くだけ行こうよー。お腹空かせたワンコ居たら攫ってこようよー」


 えっ、誘拐?犬の誘拐か?アネよ。


「せっかくだから行ってみましょうか。さっきのブックマークの中に近い場所があります」

 まさかのタウさん了承したぁ!



 そして俺らはわんわんランド?にやってきた。

 勿論こんな災害時なのでランドは閉館中だったが、近くのフェンス越しに犬達を見る事が出来た。ドッグランに火山灰は無く、職員達もちゃんと普通に世話をしているようだ。
 犬達は元気に走り回っていた。痩せているものは居らず餌もキチンともらえているようだ。


「カオるん、テイム持ってるよね?ワンコテイムして!」

「テイム?魔法の? 俺、あれ苦手なんだよ。ゲームではテームしようと近づいたら噛まれて死んでたから」

「え……じゃあ、エンカ達ってどうやって獲ったの?」

「あれはテイムじゃなくて、ゲームのペットだったし」

「そっか。あれ?でもペットでもどこかで獲ってくるよね?店買いってあったっけ?野生犬とか馬って自分で捕まえるんだよね?あのゲーム……」

「うっ…………」

「カオるん、捕まえられなかったんだよな? エンカだっけ? ドーベルマンは俺が獲ったのをやったw」

「ドーベルマンはミレさんからだったんですか? セントバーナードは僕がカオるんにあげました」

「シェパードは私がカオるんへ差し上げました。あの頃カオるんは単独狩りで死にまくっていたので必要かと」

「そっかぁ。まだサモン覚えてない時期だよな」

「その節は皆さんありがとうございました。街を出た所で死んでたら、タウさんがクラシックをくれて、カンさんがペルペルを、ミレさんがエンカをくれた。お陰で死なずに狩りが出来るようになった」

「カオるーん、街のあんな近くで死ぬプレイヤー居なかったよ? てかあの辺って魔物居なかったっしょ?」

「…………猪は居た。猪踏んづけて返り討ちにあってた。アイツら仲間呼ぶんだよ!仲間意識が高いんだ」

「猪にやられるプレイヤーは珍しいですよ。流石カオるんです」

「大丈夫だ、父さん! 今度猪が出たら僕がやるからね!」

 マルクが拳を握りしめていた。いや、もう猪で死んだりはしないぞ?ゲームを始めたばかりの頃の話だからな。


「アースドスキン!」


 カンさんが俺の横にやってきてアースドスキン(土エルフの防御魔法)をかけてくれた。


「大丈夫ですよ、マルク君。アースドスキンなら猪がぶつかってきても問題ありませんから」


 ありがとう、カンさん。
 でもちょっと、何だろう……涙が。

 それから犬の誘拐には手を貸さんぞ?
しおりを挟む
感想 212

あなたにおすすめの小説

幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕だけ別な場所に飛ばされた先は異世界の不思議な無人島だった。

アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚… スマホのネット小説や漫画が好きな少年、洲河 愽(すが だん)。 いつもの様に幼馴染達と学校帰りの公園でくっちゃべっていると地面に突然魔法陣が現れて… 気付くと愽は1人だけ見渡す限り草原の中に突っ立っていた。 愽は幼馴染達を探す為に周囲を捜索してみたが、一緒に飛ばされていた筈の幼馴染達は居なかった。 生きていればいつかは幼馴染達とまた会える! 愽は希望を持って、この不思議な無人島でサバイバル生活を始めるのだった。 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つものなのかな?」 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は幼馴染達よりも強いジョブを手に入れて無双する!」 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は魔王から力を授かり人類に対して牙を剥く‼︎」 幼馴染達と一緒に異世界召喚の第四弾。 愽は幼馴染達と離れた場所でサバイバル生活を送るというパラレルストーリー。 はたして愽は、無事に幼馴染達と再会を果たせるのだろうか?

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

現世にダンジョンができたので冒険者になった。

盾乃あに
ファンタジー
忠野健人は帰り道に狼を倒してしまう。『レベルアップ』なにそれ?そして周りはモンスターだらけでなんとか倒して行く。

異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件

さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ! 食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。 侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。 「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」 気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。 いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。 料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

ダンジョントランスポーター ~ 現代に現れたダンジョンに潜ったらレベル999の天使に憑依されて運び屋になってしまった

海道一人
ファンタジー
二十年前、地球の各地に突然異世界とつながるダンジョンが出現した。 ダンジョンから持って出られるのは無機物のみだったが、それらは地球上には存在しない人類の科学や技術を数世代進ませるほどのものばかりだった。 そして現在、一獲千金を求めた探索者が世界中でダンジョンに潜るようになっていて、彼らは自らを冒険者と呼称していた。 主人公、天城 翔琉《あまぎ かける》はよんどころない事情からお金を稼ぐためにダンジョンに潜ることを決意する。 ダンジョン探索を続ける中で翔琉は羽の生えた不思議な生き物に出会い、憑依されてしまう。 それはダンジョンの最深部九九九層からやってきたという天使で、憑依された事で翔は新たなジョブ《運び屋》を手に入れる。 ダンジョンで最強の力を持つ天使に憑依された翔琉は様々な事件に巻き込まれていくのだった。

独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活

髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。 しかし神は彼を見捨てていなかった。 そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。 これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。

ガチャから始まる錬金ライフ

盾乃あに
ファンタジー
河地夜人は日雇い労働者だったが、スキルボールを手に入れた翌日にクビになってしまう。 手に入れたスキルボールは『ガチャ』そこから『鑑定』『錬金術』と手に入れて、今までダンジョンの宝箱しか出なかったポーションなどを冒険者御用達の『プライド』に売り、億万長者になっていく。 他にもS級冒険者と出会い、自らもS級に上り詰める。 どんどん仲間も増え、自らはダンジョンには行かず錬金術で飯を食う。 自身の本当のジョブが召喚士だったので、召喚した相棒のテンとまったり、時には冒険し成長していく。

処理中です...