俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!

くまの香

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87話 おや?どちらの国から?②

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 -------------(タウロ視点)-------------

「自分らは、異世界から戻りました。あなた方も異世界に転移されたのでは?」


 驚いた。
 まさか、こんな場所で『異世界転移、そして帰還』者に出会うとは!
 しかも相手は、自衛官。

 異世界戻りと言う仲間が見つかったのは喜ばしい。だが、相手が自衛隊と言う事はもしかすると今回俺達の返答次第によっては、国に拘束されるかもしれない。

 どうする?帰還して逃げた方が良いか? こちらの場所(洞窟拠点)は把握されてしまってるだろうか。その可能性は高い。


「コーヒーを、どうぞ。すみません遅くなって。給湯室がわからなくて迷ってしまいました」

 さっきまで居なくなっていた自衛官がコーヒーの入った紙コップをテーブルに置いた。


「すみません、警戒させてしまいましたか。ここはシェルターでも自衛隊がいる区域ではありません。今回お願いしてこの部屋をお借りしました」


 士長と呼ばれた自衛官がコーヒーを口にした。


「毒も睡眠薬も入ってませんよ」

「えっ、毒なんて入れてませんよ? 何の話です? 士長、どこまで話されたんですか?」

「いやまだだ。これから話す。自分らは本日は休暇を申請してありまして、個人的な行動をしております」


 俺が士長と呼ばれた自衛官の顔から服に目を落とす。


「ああ、この制服ですか。今回の災害で我々は皆、着の身着のままでこちらに参りました。私服など無く常に制服のままであります」

「あ、洗濯はしてますよ?」

「コーヒーどうぞ、温かいうちに」


『タウさん、俺が飲む。様子を見てくれ』

「あ、じゃあ俺、頂きます」

 ズズっ

「うん、美味い」

「インスタントで申し訳ないです!」

「インスタントは普通に美味いぞ?」


「それで、実はネットの書き込みを見ていて、『ゲーム』や『ステータス』という言葉がここ数日増えているのが気になりまして」

 もちろん俺達も知っている。敢えて流していたからだ。

--------------------
 ◯◯:とあるゲームを始めるとステータスが出るって本当か?
 ◯◯:俺が聞いたのはゲームの世界からこちらに転移してきた奴らがいるとか
 ◯◯:こんな時にくだらない妄想、乙
 ◯◯:こんな時だから妄想するんじゃんか
 ◯◯:結局誰かの妄想だろ
 ◯◯:災害で大変な時にバズって嬉しいのかね
 ◯◯:でも救援スレあるだろ?あそこに書き込んだやつが…
 ◯◯:そもそもとあるゲームってどのゲーム?
--------------------

 開いたタブレットをこちらに見せながら士長と呼ばれた男が話を続けた。


「普段なら気にも留めないスレですが、自分らが異世界から戻ったのですから、恐らくここに書き込まれている内容も、もしかしたら同じ経験をされた方の話なのではと思いました」

「救援スレを読んで確信しましたよ。あんな救助は一般人には出来ないっしょ。一般人でなくとも出来ません。少なくとも自分らのようにある種の力を持ってこちらに戻った者なら、と考えました」

「自分ら3人は、異世界で10年を過ごしました。そして転移した同じ時間、同じ場所へと戻った。しかも彼方で使えた力を持って。あなた方もそうではありませんか?」


 どうする?どこまで話す?

『タウさん……』


 自衛隊の3人が黙って俺たちを見つめる。答えを待っている。だが、罠は無いか?俺達を騙そうと思ってないか?


「そうでした。名乗るのが遅れました。自分は陸士長の濱家と申します。ゲームのプレーヤー名はハマヤです」

「自分は2等陸士の藤野と申します! ゲームはフジです」
「自分は2等陸士の光丘と申します! ゲームでがサンバです」

「はまいえさんがハマヤで、ふじのさんがフジ、みつおかさんがサンバ?……みつおかさんはダンスが特技で?」


 ミレさんが何気に口にした。


「ち、ちがっ」


 サンバと名乗った自衛官が慌てている。


「サンバースト!のサンバです」

「いや、だからその名前はやめろってw」

「俺だって付けたくて付けたわけじゃ…、仕方ないだろ、途中で名前を変えられないんだから」


『ミレさん、サンバさんにウィズなのか聞いてみてくれ』


 カオるんからの念話だ。


「あの、サンバさんはウィザードで?」


 3人の目が輝いた。


「ほらっ、絶対そうだと思ったんですよ、同じゲーム!」

「あの、自分らはライン・エイジ・ファンタジーと言うゲームをしとりました。あなた方もそうではありませんか?」


『カオるん、何故わかったのですか?』

『いや、だってさ、サンバーストってウィズ魔法にあったからもしかしてと思ってさ』

『…………カオるん、サンバーストを持ってましたか?』

『……! すみません、忘れていったので持ってません。最近ゲームにインして思い出しました…………』

『ふぅ』


「私達もLAFです。私は田浦です。ゲームのプレーヤー名はタウロです」

「あ、俺は上杉だ。ゲームではミレイユ」

「やはりそうでしたか。ところで自分らはジュピターサーバーなのですが、あなた方は?」

「私どもはマースです」

「なるほど、だから名前に聞き覚えが無かったのか」

「異世界では何方の国に転移されたのですか?私達はエルアルシアという国でした。国内にジュピターサーバーのプレーヤーを見かけた事は無かったのですが」

「おお、やはりそうでしたか。エルアルシア!」

「自分らはエルアルシアとは海を隔てた大陸ですね」

「エルアルシアの話はこちらの大陸まで流れてきました。ここ10年の間に大きく変貌したと。恐らく転移した地球人が関わっているのではと思っていました」

「そちらの大陸でも同じ事が起こったのではありませんか?」

「いや、こっちは荒れてましたよ。もともとPK(プレイヤーキル)サーバーでしたから。最初の一年で転移した者らのほとんどが死んだと思います」

 3人の表情が一気に曇った。
 彼らはジュピターサーバーだったのか。

 ジュピターサーバー、通称ピタサバは『PK』OKのサーバーだ。
 PKとはプレイヤーキラーと言い、お互い殺し合いが出来るのだ。

 LAFは元々海外発祥のゲームだ。
 海外ではゲーム内での殺し合いは普通の事だったのだが、日本人は殺し合いを嫌う人も多かった。

 そのためLAFジャパンのスタート時からPKが出来ないサーバーと、PKは可能だがペナルティが発生するサーバーがそれぞれ一箇所ずつ設けてられた。

 20サーバーでスタートしたうち残り18はPK可能サーバーでプレイヤーを殺してもペナルティが無いサーバーだった。つまり殺し合いし放題のサーバーだ。

 人が減りサーバーは合体されていった。
 残ったサーバーは四つ。

マース
ビーナス
ジュピター
マーキュリー

 マースサーバー、通称マスサバ。
 ここはPK不可となっており、プレイヤー同士が戦ってもお互いにダメージはゼロだ。殺伐としたゲームを嫌うプレイヤーが選ぶのがこのサーバーだった。俺達がいたのもこのサーバーだ。
 マースのプレーヤーの殆どはエルアルシアへ転移したようだ。

 ビーナスサーバー、通称ナスサバ。
 ここはPKは禁止とされているがシステム上不可能ではない。ただし禁止行為(PK)を行うとペナルティが発生するシステムだった。

 キルする度に経験値を失うシステムだ。その所為で、死ぬギリギリまで痛めつけるという愚劣な行為が横行する事もあった。ある意味たちの悪いサーバーでもあった。

 ビーナスのプレーヤーは若干がエルアルシアに、多くはエルアルシアとは山を隔てた隣国ダルガ、メサ、カルーココ、ラッシルガルで確認された。


ジュピターサーバー、通称ピタサバ。
マーキュリーサーバー、通称キュリサバ。

 このふたつはPK可能サーバーだ。ビーナスは殺したプレイヤーの経験値が下がるが、このサーバーは殺された方の経験値が下がる。目立つプレイヤーを数人掛かりで殺してレベル下げを行ったり、死んだ時に稀に落とす武器を狙ったりと、まるで強盗紛いの行為が普通に横行していた。

 ファンタジーな世界を楽しみたいゲーマーにとって嫌われる行為だったが、海外では普通のようだった。力こそ正義、のゲームだ。
 20あったサーバーがどんどんと減っていったのも、PKサーバーのログイン者が減っていったのが大きな一因になっている。

 ただの殺し合いゲームを何年も続けるやつはいないだろう。最初はイキってやっていても、直ぐ飽きてゲームをやめて行く者が多かった。
 ログイン人数が減るとゲームの運営会社としては、サーバーの合併を試みる。そうしてPKサーバーはどんどんと合併縮小していった。

 マースとビーナスは、ゲームログイン者が減ったと言っても、PKサバ程ではなかったので、最後までサーバーが残ることとなった。
 ジュピターとマーキュリーは俺たちが転移した大陸では見かけなかった。もしかしたらあの滅びた国、ファルビニアに転移したのかもしれないと思っていた。それか海を隔てた別の大陸へ、もしくは他の惑星に。
 
 あながちはずれでもないか。ジュピターは海を渡った別の大陸への転移だったのだから。



「ピタサバも同じ星に転移してたのかぁ。大陸が別でよかったぜ。同じ地球人に狩られるとかマジ勘弁だな」


 確かにミレさんの言う通りだ。モンスターが蔓延る世界で盗賊や強盗もいる、その上同じ地球人、日本人も警戒しないといけないとは殺伐すぎる。


「自分ら3人も逃げ回って安全を優先してましたから」

「今回の神託が無かったら船でそちらの大陸へ行くつもりでした」


「そもそも自衛隊員がPKサバとかどうなんだよw」


 ミレさんの意見に同意だ。


「いえ、まぁそうなんですが、PK禁止サバなんて女々しいとか言われましてこちらを選んだのですが、ファンタジーと言うよりもほぼ戦争ゲームでしたね」

「だろうな」
「でしょうね」

「仕事で殺伐としているのにゲームでもっと殺伐としてやりきれませんでしたよ」

「しかも異世界転移した先はハードモードかってくらい酷かったよな」


 なるほど、落ちる(転移)場所によって天国と地獄ほどの差があったわけですか。僕らはエルアルシアに落としもらえて本当にラッキーでした。


「よく生き残れたぜ、俺たち」

「人を含む生き物全てに襲い掛かられましたから」

「本職が自衛隊で助かった。それで、エルアルシアの話を聞いてそちらの大陸へ移動する準備をしていました」


「こっちはPK禁止だから転移後も和やかだったよな。それでも結構な数の人が亡くなった。死因はモンスターだがな」

「ええ。最初の頃はゲームと現実の区別がわかりませんでしたから。自分も死んであの世界に行ったのではと思いました」

「あ、それわかります。いきなりの異世界転移でしたから」

「戻られたのは貴方達おふたりだけですか?」

「いえ、他にも数人戻りました」

「10年も経つと向こうに生活の基盤が出来てしまう。戻る決意をしたのは地球に心残りがある者だけだな」

「ええ、そうですね、こちらに家族が残されたので」


「そうですか。お会い出来ましたか?」

「はい。お陰さまで。仲間は皆家族と合流出来ました」

「そちらは?」


 自衛官の3人は俯いて静かな声だった。


「自分らは帰還出来ましたが、他が生きているのかもわかりません」

「あれだけ人間を殺したらもう地球に帰ろうとは思わないのではないでしょうか。しかも大災害が予想されている地球に」


 そうか、そうだろうな。


「それであなた方はご家族とは?」


「……いえ。自分らは自衛隊ですから、国民の皆さんが家族です」

「……そ、れは……。すみません。ありがとうございます。僕ら国民の為に」


彼らは皮肉そうに笑った。


「……いや、実際は国民と言うよりも、なぁ?」

「政治家だろうが金持ちだろうが国民には違いないさ。クソっ」


 これは箝口令が敷かれている何かをやってるな。恐らく国の重鎮のみの救助だろう。言いたいが口に出せないというところか。

 ここにカオるんが居たら…、

『やっぱ偉いやつだけ救出してたな!』


 止める前にミレさんが念話で伝えたようだった。
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