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91話 おや?どちらの国から?⑥
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-------------(タウロ視点)-------------
そこが謎が未解明な部分だ。
自衛隊の彼らは、リアルステータスの血盟欄はブランク、ゲームでも未加入状態になっていた。
「あなた方の元いたクランの盟主は現在ログインしていますか?」
「いえ、うちのクランの盟主はログオフ状態のままですね」
「元の血盟にどうしても戻りたい何かがありますか?」
「戻りたい何か、とは?」
「例えば血盟倉庫に重要な物を預けてある、などです」
「ああ、それはありません。無いよな?」
「それでしたら、3人のうちのどなたかが血盟を立ち上げてみてください」
3人は顔を合わせ無言で頷き合った。濱家さんが新しい血盟を立ち上げるようだ。サーバーが同じならうちの血盟に誘いたいところだが、それは無理だ。確かプレイキャラのサーバー移動は出来なかったはずだ。なのでジュピターサーバーで続けてもらうしかない。
「立ち上げました……おい、ステータス画面に血盟が出たぞ?現実のステータスの方だ!」
「本当ですか!」
どうやら濱家さんのリアルステータスに血盟が表示されたようだ。他の2人が慌てて濱家さんの血盟に加入申請を送ったようだ。
「おぉう!うっし!うっし!」
「うわぁ……てか、シンプルですね」
「運営さんの中にジュピターサーバーのキャラをお持ちの方、いらっしゃいますか?」
『運営さん』とは、LAFサーバーを運営している社員さんの事だ。
「俺、持ってますよ。ここに居るみんなは全サーバー持ってるよな?」
「持ってる持ってる」
「レベルMAXはひとサーバーだけだけどな」
「それでしたら、とりあえず何方かひとり、ジュピターにインをして濱家さんの血盟に加入してもらえますか?」
運営のひとり、かなり若い男性(大学生くらいだろうか?)は、手を上げてパソコンを操作した。
「インしました。ええと血盟は何にしたんですか? 名前…」
「ああ、陸自の砂漠、にしました」
え……何故『砂漠』?
「あの……、ネットで『地球の砂漠』の名が上がってまして、よく目にしました。『地球の砂漠』は田浦さんの血盟かと思いまして」
いや、そうですが。何故うちの砂漠と親戚のような名前に……。いいですけどね。ふぅ。
「ふんふん、陸自の砂漠に申請っと。すんません、承認お願いしゃす」
「承認しました。それで?」
「ええと、運営の、お名前をお伺いしても?」
「あ、俺、桂木っす。ども、ヨロっす」
「よろしくお願いします。桂木君、ステータスを詠唱していただけますか? リアルで」
「えっ? リアルで詠唱……っすか? 恥ずいな」
「やれっ、カツラちゃん! 異世界に転移するには必要だ!」
「えっえっ、俺、異世界に転移しちゃうんすか?」
「しません。リアルステータスが表示されるかの検証です」
「あ、そなんだ。なんだ、ガッカリ」
「カツラぁ!早よ言えええええ」
「っす。 ステータス! ステータスオープン!」
皆が桂木君に注目している。
「…………出ませんね。全く」
「田浦さん、どう言う事ですか?」
「ふむ、出なかったですか。…………あのですね、私どもの仲間で異世界転移をしていないにも関わらず、ステータスが表示された者がいます」
一瞬、部屋から音が消えた。いや、パソコンが動く音だけは聞こえていた。
だが次の瞬間に、息を飲む音に続き全員が一斉に声を上げた。
「どーいうこった!」
「何だって!」
「それって一般人も? 異世界転移してなくても?」
「なになに、それどう言う意味だよ!!」
「それって俺にもステータスが出るってことっすかあああ」
全員が期待の目で俺を見ていた。
「…………あの、期待をさせたようで申し訳ないですが、私たちにもわかっている事は少ないのです。仲間、異世界転移をしていない仲間ですが、彼らにもゲームをしてもらいました。最初は出なかったのですがある日いつの間にステータスが出現していました。理由はいまだ不明です」
「なるほど。それで通信の良い状態でゲームにログインを続ける為に、学園都市の地下シェルターを探していた、と」
「はい、そのとおりです。確かに地上でも繋がります。ネットだけなら茨城は充分なほど通信状態は良いと思います」
「けど、ゲームとなると話は別か。うん、なるほど」
「私どもが見聞きした情報のみなので正確性は低いと考慮の上で聴いていただけますか?」
「現在、マースサーバーでは今のところ『地球の砂漠』で、一般人のリアルステータス表示の現象が起きています。勿論他の血盟でも起こってはいるが声を出さずに隠している事も充分考えられます」
「異世界転移者が居る血盟、だからなのか。それともたまたまなのか」
『地球の砂漠…、月の砂漠……陸自の砂漠。もしかすると』
カオるんがまた変な事を考えているな。
「そうか!わかりました! 士長、砂漠ですよ! 血盟に砂漠が付くと」
「それは関係ないですね! あ、すみません、つい」
カオるんに対する勢いでサンバさんの言葉を遮ってしまった。
『あ、俺、サンバさんと仲良くなれそうな気がする。 そうだよ、きっと砂漠が関係してるんだよ』
『してません』
『してないよwカオるん』
『ないないw』
「ええと、まぁ、それで今後も検証を続けるためにもシェルターの通信を使わせてもらいたいのです」
そこが謎が未解明な部分だ。
自衛隊の彼らは、リアルステータスの血盟欄はブランク、ゲームでも未加入状態になっていた。
「あなた方の元いたクランの盟主は現在ログインしていますか?」
「いえ、うちのクランの盟主はログオフ状態のままですね」
「元の血盟にどうしても戻りたい何かがありますか?」
「戻りたい何か、とは?」
「例えば血盟倉庫に重要な物を預けてある、などです」
「ああ、それはありません。無いよな?」
「それでしたら、3人のうちのどなたかが血盟を立ち上げてみてください」
3人は顔を合わせ無言で頷き合った。濱家さんが新しい血盟を立ち上げるようだ。サーバーが同じならうちの血盟に誘いたいところだが、それは無理だ。確かプレイキャラのサーバー移動は出来なかったはずだ。なのでジュピターサーバーで続けてもらうしかない。
「立ち上げました……おい、ステータス画面に血盟が出たぞ?現実のステータスの方だ!」
「本当ですか!」
どうやら濱家さんのリアルステータスに血盟が表示されたようだ。他の2人が慌てて濱家さんの血盟に加入申請を送ったようだ。
「おぉう!うっし!うっし!」
「うわぁ……てか、シンプルですね」
「運営さんの中にジュピターサーバーのキャラをお持ちの方、いらっしゃいますか?」
『運営さん』とは、LAFサーバーを運営している社員さんの事だ。
「俺、持ってますよ。ここに居るみんなは全サーバー持ってるよな?」
「持ってる持ってる」
「レベルMAXはひとサーバーだけだけどな」
「それでしたら、とりあえず何方かひとり、ジュピターにインをして濱家さんの血盟に加入してもらえますか?」
運営のひとり、かなり若い男性(大学生くらいだろうか?)は、手を上げてパソコンを操作した。
「インしました。ええと血盟は何にしたんですか? 名前…」
「ああ、陸自の砂漠、にしました」
え……何故『砂漠』?
「あの……、ネットで『地球の砂漠』の名が上がってまして、よく目にしました。『地球の砂漠』は田浦さんの血盟かと思いまして」
いや、そうですが。何故うちの砂漠と親戚のような名前に……。いいですけどね。ふぅ。
「ふんふん、陸自の砂漠に申請っと。すんません、承認お願いしゃす」
「承認しました。それで?」
「ええと、運営の、お名前をお伺いしても?」
「あ、俺、桂木っす。ども、ヨロっす」
「よろしくお願いします。桂木君、ステータスを詠唱していただけますか? リアルで」
「えっ? リアルで詠唱……っすか? 恥ずいな」
「やれっ、カツラちゃん! 異世界に転移するには必要だ!」
「えっえっ、俺、異世界に転移しちゃうんすか?」
「しません。リアルステータスが表示されるかの検証です」
「あ、そなんだ。なんだ、ガッカリ」
「カツラぁ!早よ言えええええ」
「っす。 ステータス! ステータスオープン!」
皆が桂木君に注目している。
「…………出ませんね。全く」
「田浦さん、どう言う事ですか?」
「ふむ、出なかったですか。…………あのですね、私どもの仲間で異世界転移をしていないにも関わらず、ステータスが表示された者がいます」
一瞬、部屋から音が消えた。いや、パソコンが動く音だけは聞こえていた。
だが次の瞬間に、息を飲む音に続き全員が一斉に声を上げた。
「どーいうこった!」
「何だって!」
「それって一般人も? 異世界転移してなくても?」
「なになに、それどう言う意味だよ!!」
「それって俺にもステータスが出るってことっすかあああ」
全員が期待の目で俺を見ていた。
「…………あの、期待をさせたようで申し訳ないですが、私たちにもわかっている事は少ないのです。仲間、異世界転移をしていない仲間ですが、彼らにもゲームをしてもらいました。最初は出なかったのですがある日いつの間にステータスが出現していました。理由はいまだ不明です」
「なるほど。それで通信の良い状態でゲームにログインを続ける為に、学園都市の地下シェルターを探していた、と」
「はい、そのとおりです。確かに地上でも繋がります。ネットだけなら茨城は充分なほど通信状態は良いと思います」
「けど、ゲームとなると話は別か。うん、なるほど」
「私どもが見聞きした情報のみなので正確性は低いと考慮の上で聴いていただけますか?」
「現在、マースサーバーでは今のところ『地球の砂漠』で、一般人のリアルステータス表示の現象が起きています。勿論他の血盟でも起こってはいるが声を出さずに隠している事も充分考えられます」
「異世界転移者が居る血盟、だからなのか。それともたまたまなのか」
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カオるんがまた変な事を考えているな。
「そうか!わかりました! 士長、砂漠ですよ! 血盟に砂漠が付くと」
「それは関係ないですね! あ、すみません、つい」
カオるんに対する勢いでサンバさんの言葉を遮ってしまった。
『あ、俺、サンバさんと仲良くなれそうな気がする。 そうだよ、きっと砂漠が関係してるんだよ』
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