俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!

くまの香

文字の大きさ
108 / 299

108話 ファンタジーだけじゃない⑤

しおりを挟む
 -------------(カオ視点)-------------

「あの、俺もステータス出てますが、あんたとは別のゲームなんだ」

「ええっ、別のゲーム? 別のゲームも異世界転移したのか! じゃあ全てのゲームが? 翠さん、あなたも何かのゲームやっていたよね?」

「ただのスマホゲームですよ。パズルの。でも私は異世界には行っていないし、ステータスもありません」


 そうだ、忘れていた。
 地球に戻らなかった異世界仲間、山さんもあっちゃんもリドルくんもナオリンも、俺とは別のゲームだったじゃないか。

 他にも別ゲームの異世界転移者が居てもおかしくない。

 キヨカがここでの会話を逐一、タウさんに伝えていたらしい。


『そうでしたね。あちらの世界でもゲームはLAFだけではありませんでしたね。リドルも別のゲームでしたし、カオるんと同じ職場だった山さんやあつ子さんも異なるゲームでした』

『そうだな。向こうの世界ではそんな事は意識しないで生活していたから忘れていたぜ』

『ええ。それにエルアルシアはLAFが多かったですから。しかし他の国、他の大陸には別のゲーム経験者が大勢居ても不思議ではない。もしくは他の星にも。カオるん、異世界での国名を聞いてもらえますか?』


「異世界ではどこの国に転移したんだ?」

「国……、と言うか地域と言いましょうか、PPKS787地区、と言っていました。別のゲーム……会ったことないですが来ていたのかな」

「PPAP777?」

「PPKS787地区です」

「PPPP8787地区か」

「PPKS…紙に書きましょう」

「あ、すんません。早口言葉はどう苦手で」


 何故かこの部屋にいる全員(身内含む)から冷たい空気が漂ってきた。
 渡された紙を見たが、全く覚えがない住所だ。いやそもそもあの国って住所あったんか?

 『ムゥナの街』とか『王都の中央』とか『神殿横』とか『ダンジョン右』とかで全て通っていたよな。
 俺が知らないだけでもしかして住所あったんか?


「あの、俺が転移した所はエルアルシアと言う国だったんだ。こんなアルファベットと数字の住所は……無かったと思う。無かったよな?」

『タウさぁん、あの国って住所あったんか?』

『無いですね』


「エルアルシア? 聞いた事は無かったですね……」

「ラノベによく出てくる中世ヨーロッパみたいなファンタジーな国だったんだけど」

「らのべ?」

「ライトノベルです。ファンタジー系とかの」

「ファンタジー系……は、すみません。読んだ事はありませんでした。ライトな読み物でも医療系なら読んでいました。医療雑誌とか」

「医療雑誌……、すんません。それは俺の方が読んでいません」


 そうか、医者だもんな。俺とは別世界の人間か。転移先も別世界なのも頷ける。


「もしかすると転移した先も、その医療ゲームに似た世界だったのですか?」

「ええ、そうなんです。一緒にやってたやつも転移しました」

「あら、その転移仲間さんは今もご一緒に?」


 キヨカが途中から会話を代わってくれて助かる。俺はどうも話が脱線気味になる。


「ええ、一緒に戻ったのですが、今は外へ診察に出ています。翠さん、伊藤くんは何時に戻る予定だっけ?」

「伊藤さんは夕方には戻る予定ですよ。それにしても驚いたわ」

『カオるん、キヨカさん、フレンド登録を試してください。彼方の世界で異なったゲームでもリドルや山さんとフレンド登録は出来ましたよね? それから今もそのゲームを続けているのか、仲間は何人居るのかも聞いてください』

『おう』
『わかりました』


「あの、フレンド登録しませんか?」


 俺はど直球に言った。


「フレンド登録? ええと、友達になろうと言う事かな?大人になると友達になりましょうではなく、登録しませんかになるのか」

「いえ、物理的な登録です!」


 いや、俺、何を言ってるの。物資的な友達登録って何?


「あぁ、LAINEの友達登録の事かな?」

「違います!LAINEじゃなくて、ステータス画面あるんですよね?右下に三角ボタンありますよね!」

「ん? 右下?…………あ、本当だ。気が付かなかった。これを押すと次のページか。おおう、何だこれ? フレンドは兎も角、マップ、アイテム、パーティ、クランって何だ?」


 この人、ステータスの1ページ目しか見てなかったのか。


「あの、ゲームで使ってなかったんですか?」

「私がやってたゲームのステータス画面と全く違っていましたから。次ページがあるのに気がつきませんでした」


 わぁわぁ言いながらステータス画面を触っているようで、手と目が空中を泳いでいる。
 少し治るまで待つか。

 KKKK PPPだったか?その世界でも使ってなかったのか。マップとかアイテムボックスとか。
 ひと通り弄り終わったようで静かになった。


「フレンド登録しませんか?」


 そう言って俺は棚橋ドクターにフレンド申請を送った。


「おっ」

 と、少し嬉しそうな顔をしながら了承した様で、俺のフレンド一覧にドクトルタナーが加わった。
 その名前をクリックしてメールを送った。


「カオさんからメール? メールが来ました!」

「あ、俺がカオです。念話しますね」

『もしもーし。カオです 聞こえますか』

「聞こえます!」

「あ、心の中で返事をする、みたいな感じでやってみてください」

「あ、は…」
『……い。聞こえます。もしもしーもしもしーもしも』

『聞こえてますよー』

「と、こんな感じで、フレンド登録すると離れた友人と連絡が取れます。Wi-Fiが通じなくてもスマホを持ってなくても可能だし充電の必要もありません」

「何です!それ。便利ですね! ゲームにこんな機能は無かったです。ゲームの世界自体がとても進んだ世界でしたからね。基本、頭にチップが埋め込んでありましたね、あ、ゲームの話ですよ?」


 凄い世界観のゲームだな。まさかと思うが、地球に戻っても頭にチップがあったりしないよな?



「アイテムボックスに何か入っていますか?」


 空っぽだろうと思ったが一応聞いてみた。


「ん?いえ、何も入っていませんね」

「そうか。何かを手に持って『収納』と唱えるとボックスに収納される。出す時も『出す』と唱えれば出せる。大きい物も入るし、何より時間経過が止まるかかなり遅くなると思うので、食糧とか入れておけるぞ?」


 俺の言葉に、棚橋妻が部屋から飛び出したかと思うと、多少萎びた野菜の入った袋を持って戻ってきた。


「創壱さん!これ、入れてみて」

「あ、あぁ」


 少し引きながら、棚橋ドクターが触れた野菜が消えた。アイテムボックスに入ったな。
 棚橋夫婦の顔が物凄い表情になった。恐怖漫画のような顔だな、と思った。背後に『ギョゥエエエエ』と言う文字が浮かんでいそうだ。

 それから勢いをつけて色々な物を収納しまくっていた。


「すみません、ちょっと診察室にっ!」


 と言い、棚橋ドクターは走り去った。


「薬を収納しに行ったんだと思います。薬にも使用期限がありますから」


 少し落ち着いた棚橋妻が説明してくれた。それからコーヒーのおかわりを入れてくれた。
 漸く戻ってきた棚橋ドクターに、マップとパーティの使い方をキヨカが説明した。

 クラン(血盟)の説明には時間がかかった。ゲームでの血盟の説明だけなら難しくないのだが、現在のリアルステータスに関係しているかもしれない謎、そのあたりの説明が難しい。キヨカはそのあたりは掻い摘んでサラっと説明していた。

 そこにちょうど伊藤と言う男が帰ってきた。棚橋と一緒に異世界へ行き戻って来たという男だ。

 伊藤にも同じ説明をする事になった。伊藤も似たテンションで1階と2階を行き来した。


「アイテムボックスと言うものは凄いな。どうしてもっと早く気はつかなかったんだ」

「そうだよな、期限切れになった薬が勿体なかった」


「あの、おふたりが行った世界から戻られたのはおふたりだけなのですか?」


 キヨカがタウさんから依頼された話へと誘導するようだ。仲間が何人いるのか、今もゲームを続けているのか、だ。


「私達が知っていて戻って来たのは伊藤と自分だけですね」

「ええ、須藤らは残ると言ってましたね」

「あの世界の医療に魅了された者は多かったんじゃないかな。私と伊藤は妻子の元に戻りたかったので、戻るを選択をしました」

「妻子……お子さんも?」

「私は妻、翠だけですが、伊藤は奥さんが妊娠中でして」


 なるほど、それなら戻る一択だな。伊藤くんの奥さんも看護師をしているらしい。さっき下で会った看護師さんらしい。看護師さん3、4人いたな。


「こちらに戻ってからゲームはされましたか?」

「やってません、それどころではありませんでしたから」


 まぁ、そうだよな。あの大災害中にゲームをやっている方が珍しいか。



「唐突ですが、今、ログインしてもらってもいいですか?」

「ええ、それはかまいませんが……」



 パソコン画面に立ち上がったゲームにログインをした。いや、しようとした。
 だが、ゲームは『現在メンテナンス中』の文字が中央にデカデカと表示されて、ログインは出来なかった。

 タウさんにそれを伝えると、タウさんからLAFの社員を通じて答えが戻って来た。
 どうやら、この大災害でそのゲーム自体が閉じられているのでは、と言う事だった。


『カオるん、デメリットを説明した上で、もしも本人が了承した場合ですが、LAFに誘ってみてください』

『デメリットとは?』

『別のゲームのステータスに上書きされて、現在のスキルが消える可能性があります。職業欄の『治癒師』『DCT』、DCTの方は現在の職業が反映された物でしょう。治癒師はゲームの反映っぽいですね。スキル欄の『ウイルス関係』は、どちらに紐ついているのか。LAFが上書きされた場合、そのスキルが消えるかもしれません』


『そ……れは、厳しいな。まぁ、言うだけ言ってみる』


 こちらのゲームをさらりと説明をした後に、LAFに誘ってみた。勿論デメリットも説明をした。
 悩むか断られると思いきや、実にあっさりと誘いに乗って来た。


「そんな簡単に返事をして良いのか? スキルが消えるかも知れないんだぞ?」

「別に構わない。そもそもこのスキルをこっちに戻ってから使った事はない。なっ?伊藤」

「そうだな、ゲームや彼方の世界と違って巨大ウイルスやボスウイルスなどこの地球にはいないからなぁ」

「ああ、だから別に消えても構わない」


 後で文句を言っても受け付けないぞ?
 まぁいいか。パソコンにLAFを立ち上げた。ふたりにアカウントを作ってもらいログインをしてもらった。勿論マスサバだ。


『タウさん、血盟はどうする? 新しく立ち上げか?それともチキサバ?』

『そうですねぇ。うちに入ってもらいたいですが、うちも人数が増えて来ています。……そうだ、一旦カオるのハケンに入ってもらい血盟欄がどうなるのか確認してもらえますか?』

『別ゲームの異世界転移の帰還者か。ゲームにログイン出来てもリアルステータスには全く反応しない場合もあるのか』

『ええ。まずは確認を』

『オッケー』
しおりを挟む
感想 212

あなたにおすすめの小説

幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕だけ別な場所に飛ばされた先は異世界の不思議な無人島だった。

アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚… スマホのネット小説や漫画が好きな少年、洲河 愽(すが だん)。 いつもの様に幼馴染達と学校帰りの公園でくっちゃべっていると地面に突然魔法陣が現れて… 気付くと愽は1人だけ見渡す限り草原の中に突っ立っていた。 愽は幼馴染達を探す為に周囲を捜索してみたが、一緒に飛ばされていた筈の幼馴染達は居なかった。 生きていればいつかは幼馴染達とまた会える! 愽は希望を持って、この不思議な無人島でサバイバル生活を始めるのだった。 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つものなのかな?」 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は幼馴染達よりも強いジョブを手に入れて無双する!」 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は魔王から力を授かり人類に対して牙を剥く‼︎」 幼馴染達と一緒に異世界召喚の第四弾。 愽は幼馴染達と離れた場所でサバイバル生活を送るというパラレルストーリー。 はたして愽は、無事に幼馴染達と再会を果たせるのだろうか?

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

現世にダンジョンができたので冒険者になった。

盾乃あに
ファンタジー
忠野健人は帰り道に狼を倒してしまう。『レベルアップ』なにそれ?そして周りはモンスターだらけでなんとか倒して行く。

異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件

さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ! 食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。 侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。 「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」 気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。 いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。 料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

ダンジョントランスポーター ~ 現代に現れたダンジョンに潜ったらレベル999の天使に憑依されて運び屋になってしまった

海道一人
ファンタジー
二十年前、地球の各地に突然異世界とつながるダンジョンが出現した。 ダンジョンから持って出られるのは無機物のみだったが、それらは地球上には存在しない人類の科学や技術を数世代進ませるほどのものばかりだった。 そして現在、一獲千金を求めた探索者が世界中でダンジョンに潜るようになっていて、彼らは自らを冒険者と呼称していた。 主人公、天城 翔琉《あまぎ かける》はよんどころない事情からお金を稼ぐためにダンジョンに潜ることを決意する。 ダンジョン探索を続ける中で翔琉は羽の生えた不思議な生き物に出会い、憑依されてしまう。 それはダンジョンの最深部九九九層からやってきたという天使で、憑依された事で翔は新たなジョブ《運び屋》を手に入れる。 ダンジョンで最強の力を持つ天使に憑依された翔琉は様々な事件に巻き込まれていくのだった。

独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活

髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。 しかし神は彼を見捨てていなかった。 そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。 これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。

ガチャから始まる錬金ライフ

盾乃あに
ファンタジー
河地夜人は日雇い労働者だったが、スキルボールを手に入れた翌日にクビになってしまう。 手に入れたスキルボールは『ガチャ』そこから『鑑定』『錬金術』と手に入れて、今までダンジョンの宝箱しか出なかったポーションなどを冒険者御用達の『プライド』に売り、億万長者になっていく。 他にもS級冒険者と出会い、自らもS級に上り詰める。 どんどん仲間も増え、自らはダンジョンには行かず錬金術で飯を食う。 自身の本当のジョブが召喚士だったので、召喚した相棒のテンとまったり、時には冒険し成長していく。

処理中です...