俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!

くまの香

文字の大きさ
133 / 299

133話 動物が元気②

しおりを挟む
『ねぇねぇ、みんな今、時間取れる?本部に来れる人は来てぇ』


 俺はマルクとキヨカを連れて即、飛んで戻った。

 皆も返事をする前に本部へと戻って来ていた。
 そこに居たアネを見ると特に怪我をしているようには見えない、事件ではないのか。とりあえず良かった。
 安心したのも束の間、アネから驚愕の事件が話された。



「あのね、私、わんわんランドに行って来たのよ。あ、リングは返却してもらってたからスクロールは使ってないわよ。最近ちょっとクサクサしてたからワンコに癒されてこよーと思ったの。それと火山灰が沢山降ってるからわんわんランドのワンコ達が気になっちゃって」


 確かにこんな状態だと犬達も放っておかれてる可能性もあるな。まさか、全部洞窟で引き取りたい、とかじゃないよな?あそこの施設って何匹くらいいるんだ?あの日外から見ただけでも10頭以上居たよな?タウさんも小さいため息を吐き出していた。


「そしたらね、なんかねー、可愛くないの。前に行った時ってあんなだったかなぁ」

「アネさん、前に見たのと違う種類の犬が外に出ていたんじゃないのか?ああ言う施設は色んな種類がいるだろ?」


 ミレさんが笑いながらアネに言ったが、アネは納得がいかない表情だった。


「だって牙が物凄く大きくなってた。サメみたいによ? おかしくない? 顔の3倍くらいの牙がワサワサ生えてるんだよ? しかもこっちに向かって吠えるとかじゃないのよ。あれ、完全にこっちを食べに来た感じー。あー、不完全燃焼。カオるん、ワンコ出して。モフりたい」


 えっ。いや、モフるのはいいけどちょっと待った待った。牙がワサワサ?犬の牙って2本じゃなかったか?上下で4本か?ワサワサって言うか?


 全員でわんわんランドに確認をしに行った。
 吹雪のように吹き付ける火山灰のなか、わんわんランドのフェンスの中を元気に駆け回る犬達。……異様な程、元気に駆け回っている。

 かなり大きめの大型犬のように見えたソレらは、一斉にこちらに向かって突進して来た。あの体格でぶつかったらフェンスはひとたまりもない。いや、フェンスなど簡単に飛び越えそうだ。


 「全員警戒!盾を構えてください!」


 タウさんの声にハッと我に返った。俺の前にドラゴンシールドを構えたキヨカが出る。マルクが俺の直ぐ横でレザーシールドを構える。俺も慌ててマジックブック(盾)とフォーススタッフ(杖)をアイテムボックスから取り出した。

 見ると既に武器を持ち構えた皆が周りに居た。1番前にアネが、その後ろにミレさんとタウさんが並ぶように、そして俺の近くにはカンさんが居た。いつもの、異世界の時のポジションだ。


「タウさん、斬っていいでしょ!」


 アネが振り返らずにタウさんへと問いかける。


「はい、お願いします! 皆さんも、掛かってくる敵は容赦なく倒してください。カオるんはそこを動かずにヒールを! キヨカさんはカオるんとマルク君のカバーを、カンさんは背後の警戒をお願いします!」


 タウさんが言い終わる前に牙を剥いた先頭の一匹がフェンスを飛び越えるところだった。

 牙……犬よりも鮫に近い、避けた口いっぱいに尖った歯が見える。アレは犬じゃないぞ、赤く血走った目玉が顔に幾つも付いている。
 アネが剣を前方に振るとその化け物が真っ二つに裂けて地面に落ちた。


 「複数視認、来ます!」


 タウさんの声でフェンスの向こうを見ると10匹…20匹、とにかく沢山の犬がこちらに向かって来る。いや、犬じゃないぞ、あれ。

 俺は非表示にしていたHPバー、MPバーを表示に切り替えた。PTメンバーのそれぞれの頭の上にバーが表示される。バーを見えるようにしたのは、ダメージを受けた事が一目でわかるようにだ。直ぐにヒールを飛ばせるようにだ。

 俺は盟主とPTを組んでいる。つまり現在のPTはタウさん、カンさん、ミレさん、アネ、俺の5人だ。
 マルクはキヨカとPTを組んでもらっている。


「マルク、キヨカの回復は任せたぞ!」

「はい!父さん!」


 何匹居るかわからんが、20匹以上の犬達に囲まれると混戦になる。俺とマルクは回復に徹するぞ。

 アネもミレさんもタウさんも、お互い距離を取った。武器を振るうのに邪魔にならないようにだ。
 キヨカもマルクの外側へと距離を広げていく。

 わかっているが怖い。2、30匹の野犬に囲まれているのに味方はお互いある程度の距離を取って離れなければならないのだ。抜けてくるやつもいる。

 俺はバーを確認しながら近くの地面に転がっていた犬の死体に『報連相』をかけた。


『ゾンビ犬の死体:一度死んで身体を乗っ取られた犬の死体、現在は活動を停止している』


 チッ!死んだ奴じゃ大した情報は取れないか。しかし『報連相』はそこそこの距離まで近づかないと使えない。生きてるやつにもう少し近づくしかない。


「カンさん、左のアイツに近づく! 飛びかかってきたら頼む!」

「わかりました!」


 俺と共にカンさんがパーティの陣形から少し左側へとはみ出す。そこに居た一匹だけでなく数匹がこちらに気がついた。
 うわぁ、こえぇぇぇぇ怖いぞ、目玉が飛び出てるだけでなく、脳みそも溢れてるけどアリなんか?あと口から涎とは思えないドドメ色の液体が溢れている。

 マルクとキヨカも気がつきこちらに寄ってくる。


「報連相!」


『ゾンビ犬:死んだ犬の細胞を侵食した集合体。心臓や脳は停止状態。弱点は集合体の切り離し、完全燃焼など』


 よっし、届いた!あ、そうだ、報連相はPTのみだ。マルク達に伝えないと。そう思った俺よりも早くにタウさんが声に出してくれた。


「ゾンビ犬! 死んだ犬の細胞を侵食した集合体! 心臓と脳は停止!って事は心臓や脳を狙っても無駄です! 弱点は集合体の切り離しと完全燃焼だそうです!」


「切り離しって何よ!どこを切り離せばいいのよ!」


 アネが叫んだ。
 いや、さっきアネが斬ったやつは倒れたから、何処を斬っても…そう思ったが、斬られても起き上がってるヤツがいるぞ!
 さっきのアネのは倒れたままだ、アネのナイトのスキルだろうか?


「完全燃焼だろ!焼いた方が早い! 斬っても復活する!」

「カオるんカオるん! アレブッパしてー!」

「カオるん、ファイアストームです! 皆、カオるんの元に集合!」


 タウさんの声に皆が俺に集まった。犬達も集まってくる。


「ファイアストーーーム!」


 俺を中心に炎のが渦を巻き大きな火の竜巻になっていく。俺の魔法はゲームが反映されているおかげか、触れても熱くない。それは味方にもだ。

 炎の竜巻は俺らを取り囲んでいた犬を燃やしながら巻き上げていく。その時に火山灰も一緒に巻き上がり地面が見えるようになった。

 わんわんランドのひしゃげたフェンスの向こうから遅れて3体やって来たが、アネとミレさんが斬り倒した。
 タウさんがゾンビ犬の死体に近寄り何かを確認していた。


「タウさん……」

「大丈夫です。死んでいます。アネさんの一撃、ミレさんの一太刀で細切れなら大丈夫そうです。ただ武器やスキルにのよるでしょうか、私の剣では数回斬らないとダメでしたね」


 死んだゾンビ犬を見る。うん、うちのイッヌ達とは似ても似つかない。良かった、こんなやつらなら躊躇わずに殺れる。
 血のように真っ赤な目玉が顔から、頭から、首から転がり落ちて居た。キモいな。


「タウさん、これ、燃やしていいか?」


 俺はタウさんに了解を得て魔法で燃やした。
 その後俺らはフェンスの向こう、わんわんランドの建物へと警戒をしながら向かった。タウさんはミレさんを連れて建物の中に入って、そして直ぐに出てきた。


「ダメですね」

「そうですか……」


 カンさんはタウさんの言葉を直ぐに理解したようだったが、何がダメなのか、俺には解らなかった。


「亡くなっていたよ」

「そうよね、ワンちゃんがああだったもんね」


 アネの言葉で、漸く理解した。
 わんわんランドで犬の世話をしてくれていた職員達、の事なのだろう。
 そうだな、あんなに凶暴な化け物になってたんだ。襲われないはずがない。


「父さん……大丈夫?」

「あ、あぁ。すまん大丈夫だ」

「戻りましょう、皆さん」


 タウさんの言葉で俺は洞窟拠点の本部へとエリアテレポートをした。
しおりを挟む
感想 212

あなたにおすすめの小説

幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕だけ別な場所に飛ばされた先は異世界の不思議な無人島だった。

アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚… スマホのネット小説や漫画が好きな少年、洲河 愽(すが だん)。 いつもの様に幼馴染達と学校帰りの公園でくっちゃべっていると地面に突然魔法陣が現れて… 気付くと愽は1人だけ見渡す限り草原の中に突っ立っていた。 愽は幼馴染達を探す為に周囲を捜索してみたが、一緒に飛ばされていた筈の幼馴染達は居なかった。 生きていればいつかは幼馴染達とまた会える! 愽は希望を持って、この不思議な無人島でサバイバル生活を始めるのだった。 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つものなのかな?」 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は幼馴染達よりも強いジョブを手に入れて無双する!」 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は魔王から力を授かり人類に対して牙を剥く‼︎」 幼馴染達と一緒に異世界召喚の第四弾。 愽は幼馴染達と離れた場所でサバイバル生活を送るというパラレルストーリー。 はたして愽は、無事に幼馴染達と再会を果たせるのだろうか?

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

現世にダンジョンができたので冒険者になった。

盾乃あに
ファンタジー
忠野健人は帰り道に狼を倒してしまう。『レベルアップ』なにそれ?そして周りはモンスターだらけでなんとか倒して行く。

異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件

さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ! 食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。 侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。 「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」 気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。 いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。 料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

ダンジョントランスポーター ~ 現代に現れたダンジョンに潜ったらレベル999の天使に憑依されて運び屋になってしまった

海道一人
ファンタジー
二十年前、地球の各地に突然異世界とつながるダンジョンが出現した。 ダンジョンから持って出られるのは無機物のみだったが、それらは地球上には存在しない人類の科学や技術を数世代進ませるほどのものばかりだった。 そして現在、一獲千金を求めた探索者が世界中でダンジョンに潜るようになっていて、彼らは自らを冒険者と呼称していた。 主人公、天城 翔琉《あまぎ かける》はよんどころない事情からお金を稼ぐためにダンジョンに潜ることを決意する。 ダンジョン探索を続ける中で翔琉は羽の生えた不思議な生き物に出会い、憑依されてしまう。 それはダンジョンの最深部九九九層からやってきたという天使で、憑依された事で翔は新たなジョブ《運び屋》を手に入れる。 ダンジョンで最強の力を持つ天使に憑依された翔琉は様々な事件に巻き込まれていくのだった。

独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活

髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。 しかし神は彼を見捨てていなかった。 そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。 これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。

ガチャから始まる錬金ライフ

盾乃あに
ファンタジー
河地夜人は日雇い労働者だったが、スキルボールを手に入れた翌日にクビになってしまう。 手に入れたスキルボールは『ガチャ』そこから『鑑定』『錬金術』と手に入れて、今までダンジョンの宝箱しか出なかったポーションなどを冒険者御用達の『プライド』に売り、億万長者になっていく。 他にもS級冒険者と出会い、自らもS級に上り詰める。 どんどん仲間も増え、自らはダンジョンには行かず錬金術で飯を食う。 自身の本当のジョブが召喚士だったので、召喚した相棒のテンとまったり、時には冒険し成長していく。

処理中です...