俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!

くまの香

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187話 見えなかった真実①

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 本家の話……?

 政治叔父さんが神妙な顔つきで俺を見つめた。聞かないといけない雰囲気なので俺は叔父さんの向かいにマルクを持ったまま座った。
 叔父さんはどう話さそうか悩んでいるのか中々話し始めない。俺とマルクは叔父さんを見つめて口を開くの待った。

 その時である。
 俺たちの沈黙を破ったのはタウさんだった。


「誰か来ます、黄色い点がこちらへ向かってます。離れていますが赤い点も気がついて集まってきているようです」

「本当だ、離れた位置に居た赤が寄り始めているな」


 ステータス表示出来る者はマップ確認していた。俺も右上の(ついつい邪魔で縮めた)マップを広げた。

 マップの大きさを調整すると、恐らく本家であろう場所に黄色い点が複数、そこからこちらへ伸びたうねった道の途中に黄色い点がひとつ。こちらへ向かって移動中だ。

 そして周りの山から赤い点が道へ向かって移動していた。


「こちらへどなたか向かって来ているようです」


 タウさんが政治叔父さんを見た。
 叔父さんたちは俺達が何を見て確認しているのか不思議そうな顔をしていた。


「春さんだ」


 良治のひと言で叔父さん達はハッとした。


「家から絶対に出るなと、さっき電話した」

「俺もメール送っちまった、外は危険だと」

「……春の事だ、俺らが危険な目に遭ってると思ったんだろ」

「バカな…、出るなと釘刺したのに!」

「スマホは繋がらん、こんな時に役に立たねぇ。黒電話は繋がっても持ち歩けないからな」


「本家の春政さんですか? 今は本家と思われる場所からこちらへ、だいたい三分の一くらいの距離か……」


 タウさんが見ている宙を叔父さんや良治も目を凝らして見ていた。気持ちはわかる。俺もたまにやる。
 俺は記憶を引っ張り出す。

 本家から政治叔父さんちまでは畑の中に一本道だ。途中、両脇を低い山に囲まれたとこが続く、木々が終わるとまた畑になる、そこらからが叔父さんちの畑だ。だった。今はわからん。

 マップでも建物らしき物は見えないから、今も昔のままだろう。
 マップの黄色い点は山の前、まだ本家の畑の間の道の途中だ。


「山に挟まれた道になったらヤバイな。傍から出てくるぞ」

「行きましょう。メンバーは私、カオるん、マルク。清華さんはここを。奈良さんは私達と一緒にお願いします」


 タウさんの指示で皆が同時に動き出した。残る者はそのまま、救出班は素早く1階へ移動して玄関で靴を装着した。
 追いかけてきた政治叔父さんと良治に向かい、ニコリと笑った。


「春ちゃんを助けてくる」


 俺たちが玄関を出た時、階段の上から子供の声が聞こえた。

「レンジャーだ!戦闘レンジャー!」


「ヘイストはまだかかっています」


 俺が魔法をかけようとした事に気がついたタウさんからストップがかかった。そうだ、ゲームよりも補助魔法の持続時間はかなり長かったんだ。


「アマとかも大丈夫か? ナラ、遠距離補助もかかってるか?」


 俺たちは家の前の一本道を走りながら話した。


「どこで確認するんですか?」

「ステータス画面の右上に小さいアイコンが出ているはずです」

「それな、出ろ出ろと念じて指でアイコンを弾くと目の前の右上あたりに出てくるぞ。ステータスを開かなくても見える」

「ホントだぁ」

「出ろ出ろ出ろ……あ、出た」

「カオるんはいつも何を出しているのですか?」

「HPMPバーを左上、アイコンを右上だな」

「なるほど、だからマップをしまいがちなのですね」

「あー……マップは地図として使おうとするとどっちがどっちかわからなくなるからな。敵を確認する時まで右上のアイコンの横にグチャっと縮めてる」

「わかる気がする。ステータスに慣れていないのかマップは意外と目の前で邪魔になりますよね。タウさんとかは慣れているんですか?」

「そうですね、最小サイズで常時右上に設置しています。赤を検知した時にサイズを広げています」

「僕もキヨカお姉さんもタウさんと一緒ぉ。翔太のお父さんに教えてもらったぁ」


 なるほど、マルクもキヨカもカンさんに教えてもらったのか。うんうん、俺はマップが苦手だからな。得意な者に倣うのが1番だ。

 話しながら走っていていつの間にか山間の道になっていた。


「もうすぐです、ここを抜けたら……」


 タウさんは手を宙で動かしてマップのサイズを調整しているようだ。


「抜けた。あと200メートルくらいです」

「あそこっ!」


 マルクが前方を指差した。
 道の向こうからこちらに走ってくる男性。手には棒のような物を握っている。

 足が止まったと思ったら振り返っている。彼の横の畑から大きな獣が……!


「春ちゃんっ!春っちゃんっ!!!」


 大声で俺が呼んだ事が仇になった。
 春ちゃんがこちらに気を取られて、獣から意識を逸らしてしまった。


「俺がっ!」


 ナラが獣に向けて矢を射った。横の畑から春ちゃんに向かって来た獣の横っ腹にナラが放った矢が3本当たった。

 実際にはナラは一本しか放っていないのだが、『トリプルアロー』の魔法をかけているので、矢は3本になる。どんな仕組みでそうなるのか、考えたらアカンやつだ。『増えるぞ、得した』でいい。

 しかし、獣は倒れない。マップに赤く映るのだから獣でなく魔物だ。魔物は3本の矢くらいでは死なない。……いや、ゾンビなら既に死んでいるのか?
 ぱっと見腐っているようには見えない。

 なんて事を考えている間に、ソイツはターゲットを俺たちにしたようだ。
 しかしソイツが俺たちに近づく前に、タウさんが飛び込み斬り捨てた。ちょっ、タウさんカッコ良すぎてズルくないか?

 俺は春ちゃんに飛びついた。


「春ちゃん!」

「か、かお……る? 香? 香!香!香! うぅぅぅ」


 春ちゃんが俺の肩に顔を埋めて唸っている。背中に回した手でバンバンと背中を叩かれた。
 怒っているのかと思ったが、ローブの肩の部分が濡れているのに気がつき、春ちゃんは泣いているのだと、ようやく気がついた。

 そう思った途端に俺の目からも涙が溢れてしまった。政治叔父さんちであれだけ泣いたのに、俺の目からまだ涙が出てくる。
 脇の下辺りでうーうーと聞こえた。マルクも抱きついて泣いていた。

 ごめんなぁ、泣き虫の父親で、ごめん、マルク。
 春ちゃん、バカな俺でごめん、自分の事しか考えてなくてごめん、ごめん。


「カオさんって、普段、口に出さずに顔に出すタイプですが、泣いてる時は顔だけでなく口にも出すんですね」


 ナラが感心したように言ってるが意味がっわからないっ。泣いてねぇし、何も言ってないし!


「カオるん、周りの警戒はしていますが、赤が寄りつつあります。テレポートで一旦政治さんの自宅へ戻りませんか?」


「あ、ぎょめ、スマン、泣いって、ないっ、戻っる、 は、春ヒャ、ちょっと、タイムっ みんな寄って、エリアっテレポート」



俺たちは政治叔父さんちの玄関前にテレポートした。
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