俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!

くまの香

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255話 アジト②

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 -------(春政視点)-------


 会議は終了し、一旦全員が部屋から出て行った。
 が、時間差で、ひとりまたひとりと戻ってきた、香を除いて。


「さっきは焦ったぜ。俺、声が裏返りそうになった」

「僕もビックリしたぁ。春おじさん急に念話するんだもん。でも、何で父さんに内緒なの?」

「すみません、キヨカさんのスタガの話が出た勢いで急な指示を出させていただきました」


 香のアイテムボックスから僕らが預かり在庫管理をしたいと思った。もちろん、他にも香同意の元、預かっている物資は多数ある。


「香のボックスに入っているのは香の物です。香がどう使おうとそれは香の勝手、それは重々承知しています。だた、香が自分のためには使わないだろう事もわかっています。見ず知らずの人のためにきっと使い切るでしょう」

「そうだなぁ。カオるんだもんなぁ」

「カオさんは気にしないでしょうね」

「でも、僕は気にします。香の物を、香が欲しい時に『無い』のが嫌です。香が使って無くなったならまだしも、自分には全く使わず欲しい時に無くても諦める、それが香です」

「確かになぁ。カオるんは物欲がないと言うか執着しないと言うか……」

「違います。香は物欲も執着もないのではなく、諦めるのが得意になってしまってるんです。だから、ちゃんと『最後のひとつ』は香に渡したい。だから、皆さんに持っていて欲しい」

「なるほど」

「全部でなくていい、最後のひとつは香へ渡るように預かって欲しいのです」

「わかったー! 僕ね、パッピーセットは父さんといつも半分こして食べるね。オモチャは一緒に使う!」


「タウさんからも依頼が来ているのですが、カオるんのアイテムボックスの整理はまだまだ続きます。ゴミ以外、異世界からこちらへ戻ってきた時に入っていたアイテムです」


「ダンジョンドロップやゲームアイテムか。難しいな」

「ええ、それこそ、それらは香個人の持ち物です。僕らがどうこう出来るものではない。ですがタウさんから『把握』は必要だし、分散出来るなら複数人での保管が好ましいと言われています」

「それはした方がいい。カオるんなら自衛隊からクレクレ言われたら煩わしいからやっちまいそうだしな」

「単品物はともかく、複数ある物は必ず香以外の誰かが保管した方がいい。それはここに居るメンバー、私、マルク君、キヨカさん、ミレさん。あと今は居ませんがカンさんですね。なるべく早くにと考えています。来月の千歳イベントまでには整理したい」

「あの……、それは、さっきみたいにカオさん本人には隠してですか?」

「いえ、先程は話の流れが丁度良かったので急で申し訳なかったです。今後は香も交えてアイテム分散を話していくつもりです」

「そうですね、あの勢いだと次回の千歳でマッツは無くなっていたかもしれませんね」

「次回の千歳イベは人も増えそうだな。かなりネットで話題になってるからな」



 本来なら香のアイテムボックス中身は香の物、周りが四の五のと言う問題ではない。
 しかもアイテムボックスは無限に入るのだ。

 よくゴミ屋敷に例えられているが、ゴミ屋敷はゴミの容量が決まっている、家から溢れるから文句がでる。
 なら無制限のアイテムボックスならどんなに入れても、本人以外に文句は言えないはずだ。

 結局、文句を言うのは『香のゴミ(アイテム)』を都合よく使いたいからだ。
 僕らが香から怒られ、嫌われても仕方がない。

 だが、香は僕たちの気持ちをよく組んでくれている。アイテムボックスの整理も津波後の物を出し終えた後にも協力してくれている。
 そう、僕らが『香を思って』の事だと、ちゃんとわかってくれている気がする。



-----(カオ視点)-----


 アイテムボックスを開き、検索をかけずに一覧をスクロールしている。
 くいくいくいくい………くいくいくいくい………。

 ふぅぅ、何故だ。あんなに出したのに。
 どうしてこんなにあるんだ?
 いつ入った?
 どこで入った?
 俺か?俺が入れたのか?

 ゲームのアイテムボックスは少なくて実に見やすくて良かった。
 ゲームをしている時は持って行ける量が少なくて泣いたが、よくよく考えると俺がそんなに持っていても使いこなせるわけがない。

 持ってくだけ重いってもんだ。ゲームは重量制限もあったからな。
 今もし、リアルステータスがゲーム同様の重量や数量になったら俺はどうするんだろう。

 ……………。

 いや、どうもしない。
 いつも使う、常に必要な物は限られている。
 装備、武器、POT、スクロール、最低限の食糧。
 あ、リアルなら水もか。いや、生活魔法で水は出せる。


 ほら、ゲームと大差ない分量で大丈夫なんだ。
 いつからこんなに欲まみれになったんだろ、俺。仲間のためとか口先で言っても、仲間たちは俺の物資をそんなに必要としていない。

 あ、でもこないだ、スタガとマッツを欲しいと言われて嬉しかったな。
 異世界のダンジョンのB2のショップがいつ消えてもいいようにと毎日日課のように通っていたが、3年目あたりでもう正直嫌気がさしていた。

 ただただ、何かに操られたように惰性で通っていたっけ。

 …………ま、さか、あれは、死霊の森ダンジョンボスの呪いかっ!
 毎日、毎日、通っているうちに、いつの間にかマッツに取り込まれて店員にされてしまう、ところだったのかもしれぬ。

 危なかった……、もしも10年目にこっちに帰還しなかったら、俺は今頃B2マッツで働いていたのか。
 パラさん……、あっちゃん、大丈夫だろうか。


 恐ろしい妄想に取り込まれかけた時、カンさんに声をかけられた。


「カオるん、今日は大雪山会議ですよ。早く行かないと遅刻します」


 キヨカとマルクはテレポートが出来るので先に行ったそうだ。春ちゃんはリングがないので、俺を待っていてくれた。


「あ、スマン、春ちゃん。カンさんも一緒に行こう」


 3人で大雪山にテレポートをした。

 直ぐにいつもの会議が始まった。いつもの内容だ。まずは各自の拠点の報告や問題定期。
 それからタウさんから幾つかの情報、主に自衛隊から入手した国内の情勢と海外の情報だ。

 自衛隊にはタウさん経由で人運びを頼まれる。ゴンちゃんは西で活躍しているみたいだ。
 今日は来ていない。

 それからアイテムボックスの話になった。キヨカが資料をくれた。……俺だけ?皆はパソコンの画面で資料が見れる?
 ふ、ふぅん、そうなんだ。

 次回の千歳イベントで出すアイテムの話だ。
 次回のイベントは、警備を自衛隊に任せてまさに個人参加のイベントになるらしい。

 期間は3日で、フリーマーケットのように、出店者側も募集しているらしい。


「それで、カオるんとこは苫小牧拠点からとしてマッツやスタガの屋台をお願いできますか?」

「はい。大丈夫です」


 俺が答えるより先に春ちゃんが答えた。
 そう、俺のボックスにはもうマッツもスタガもないからだ。


「カオさんから沢山いただいたので、そこから出品します」

「僕もね、パッピーセット出すの。だけど子供専門のお店で大人は買えないの、あとショーガクセーより小さい子は無料なの。父さんいいでしょ?」

「おう、そうだな」


 うん、マルク達に渡して正解だったな。俺よりも上手く運営してくれる。それにひとりでやるより作業が分散された感じもする。
 いつもは皆に見守られて俺がモタモタとひとりでボックスから出していたからな。


「それから今回は民間人の参加者がメインですので、皆さんがお持ちの物で雑貨系をメインに出していただければと思います」

「チケットはどうすんだ? 前と一緒か?」

「そうですね。引換券の枚数を減らす事も考えたのですが、今回は出品物が細かいので、そのままの枚数にしましょう」

「しかし、アイテムボックスの中身は減っていくばっかだろ?俺らも今後は何か作らんとなぁ」

「トマコはエントも多いし、枝でも出すか? あれ結構需要あるぞ」

「そうだなぁ。LAFは生産系のスキルがないのが辛いよなぁ。リアルでも事務員だったから生産した事ないしなぁ」

「私もそうですよ。リアルでDIKスキルがあっても、家を持ってきて売るわけにはいきませんからね。それで言うとカンさんが1番スキルを活用できそうですね」


 みんなで笑い合った後、タウさんが真剣な顔つきで俺の方を向いた。


「何を出すにしても、ゲームアイテムはストップしていただけますか?」

「ゲームアイテム?」

「はい。ポーションやスクロールです」

「在庫もそんなにないだろ?」

「はい、それに現在、手に入る算段が全くついていません。自衛隊からもそういったスキル持ちの話は入ってきません」

「自衛隊かぁ。本当に知らないのか、隠しているのか」

「自分らと付き合いのある方達が隠しているとは思いたくありませんが、国が相手となるとそれも定かではありません」

「香、今回はゲーム系のアイテムは一切出さない事にしましょう」


 うん、そうだな。
 世の中がファンタジーに向かっているのに、肝心のゲームアイテムが手に入らないとは……。

 武器が壊れたら、どこで直すんだろう。
 ゲームでは杖が壊れる事はなかったから、遠慮なく魔物を殴ったりしていた。しかし今後は杖で殴るのはやめよう。折れたら嫌だ。
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