俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!

くまの香

文字の大きさ
278 / 299

278話 番外編 ナヒョウエ①

しおりを挟む
 今日もゲーム内でゴザエモンへと向かう。
 ゴンちゃんのスクロール屋だ。

 ゲーム内でも課金店舗は数々あるが、そこで購入した物がリアルアイテムボックスからも取り出せるのはゴンちゃんの店だけだ。
 タウさんやゆうごも色々と検証はしたらしい。


「結局、ゴンザレスさんの店だけでしたね」

「異世界帰りが店主ならあるいは、と思ったのですが……。何か条件が足りないのか」

「ええ。何処かまだ行ってない神社への参拝が必要なのかもしれません。とりあえず異世界帰りの皆さんは購入した店舗をキープしておいてください」


 タウさんにそう言われて俺たちは課金エリアの店舗を購入していた。うん、課金だからお支払いが発生するのだが、もはや昔の通貨は一切使えない今の世の中である。
 キングジム様にお願いをしてちょちょいとね?



 そんな日々を送っていたある時、物凄い事が発覚したのだ。
 今まで『閉店中』だったナヒョウエに、マルクが入れたのだ。客としてでなく、店員側からだ!


「父さーん、バナナ売ってる!こっちでもバナナ売ってるんだね」


 最初は何を言っているのかわからなかったが、春ちゃんがマルクの後ろから覗き込んで固まった。
 春ちゃんの驚愕の顔、珍しい。え?顔よりこっちに来い?

 皆がマルクの後ろからパソコンを覗き込んだ。マルクはなんか居心地が悪そうに身体を捩り俺を振り返る。


「今までずっと閉店中だったナヒョウエに、マルク君が入れたんです」

「表はまだ閉店中ですよ?」


 パソコンでゲームにインしたカセがナヒョウエへ飛んだらしい。


「どうして入れたのでしょう……」


 皆がパソコンを持ってマルクの近くに寄ってくる、俺もログインしてナヒョウエへ飛んだ。
 確かに『閉店中』だ。


「マルク、どうやって入った?」


 マルクは何を怒られているのかわからずモジモジしている。いや、誰も怒ってないからな?ビックリしてるだけだ。
 キヨカが連絡したのかタウさんらも集まってきた。

 涙目になったマルクを慌ててフォローする。


「大丈夫だ。誰も怒ってないぞ? マルクのミラクルをみんなが知り
たくて集まったんだ」

「……ミラクル?」

「そうだぞー。ミラクルだ! 誰も入れんかったナヒョウエに入れたんだ。どうやったんだ?」

「んとね、裏から入った。前はいつも裏から入ってたでしょう?」


 前はいつも裏から……。マルクのその言葉で記憶が芋づると思い出されてきた。


「そうだ……、そうだった! マルクは共同経営者、つまりあっちじゃ店主のひとりだった!」

「カオるん?」

「カオるん!」


 あ、これはタウさんらがちょっと怒ってるな、俺に。
 もっと早く思い出せ?はい、すみませんでした。


「マルク、中から店舗を開店に出来るか?」

「うん」


 マルクが何かを操作すると、今まで『閉店中』だった店の入り口が『開店中』へと変わった。


「おお!」

「それで? カオるん」

「ああ、ええと何年前か忘れたが、俺が店長にも店員にも戻れなくなった事件」

「ええ、覚えています」

「あの時な、確か……、店主として残ったのがリドル君とアリサとマルクだったかな。そんで店員としてあっちゃんとロムだったか。何年も前だから今はわからんが」

「つまり、マルクは店主のまま、こちらへ転移したと。ゴンザレスさんと同じ状況ですね」

「リドル君と言うのはあちらの世界の方ですか?」


 そっか、春ちゃんやキヨカは知らないか。


「やまと商事の22階フロアごと転移した話はしたよな? その時一緒に転移したあっちゃんの旦那が、別のゲームで転移してたんだよ。凄い偶然であっちで再開した」

「ああ、その話ですか。中松……そうちゃん、と言う人でしたか?」

「そう、中松あつ子さんの旦那で中松蒼司君。ゲーム名がリドルで普段からリドル君で通ってた。アリサはマルクの姉ちゃん。ロムはやまと屋で一緒に働いていた子だな」

「向こうの現在がどうかはわかりませんが、ゴンザレスさん同様、マルク君がこちらへ転移する時はナヒョウエの店主だった。それでマルク君も入れたのですね」


 そっか、『勇者』はゴンちゃんだけでなくマルクもだったのか。

 ナヒョウエが『開店中』になった事で表から客が入れる。タウさんとゆうごがさっそく入っていた。
 ちなみに店舗は狭いのでゴンちゃんの時と同様に二人も入ればいっぱいである。

 タウさんもゆうごもナヒョウエの商品を購入しているようだ。

 タウさんはテーブルにバナナを置いた。


「買えました、いえ、リアルに持ってこれました」

「えっ、これ、ナヒョウエで買ったバナナか? 他の品は?」

「ナヒョウエの店舗で購入したバナナです。他の品はありませんでした」

「マルク君、何か他の品を作れる? 料理系のやつ」


 ゆうごに優しく言われてマルクは何やら一生懸命操作をしていた。


「ええと……バナナジュースでいいかな。他は材料が足りなくて」


 作りあげたのかマルクがフンスという顔をした後、ゆうごがグラスに入ったバナナジュースをテーブルに置いた。


「買えました。自分のアイテムボックスに入りました。取り出せました」

「の…飲んでみろよ」


 皆の視線が集中する中、ゆうごはバナナジュースをひと口飲んだ。


「普通に美味しいバナナジュースですね」

「バナナジュース効果は……確かHPが100増加でしたっけ」

「50だったかな、ゲームでは大した効果がないんで使った事がないです。しかも3分くらいで効果が切れたんですよね」

「リアルステータスは数字表記が無いのでわかりませんね」

「普通に美味しいジュースって事でいいんじゃないか? それよりそのグラス」

「ああ」


ゆうごがバナナジュースを飲み干すとグラスが消えた。


「おお!」

「まさにゲームアイテムですね」


 やっぱりな。かなり以前だからハッキリと覚えてなかったが、入れ物が消えた覚えがうっすらとあったんだ。


「カオるん、カオるんはもう店側には入れないんですよね?」

「そうなんだよ、すまん……」

「いえ、それより、異世界で操作した店舗の事を思い出せる限り話していただけますか?」


 うえぇ、無茶を言う。物覚えが悪くて物忘れの早い俺に何年も前の事を語れとは。


「あー、ええと、店舗内には倉庫みたいのがふたつあった」

「うん!今もあるよ」


 おう、マルクが助けてくれる、有難い。


「そんで、ひとつは『製造倉庫』だ。そこに必要な材料を入れて製造する。確か……材料以外は入れる事が出来なかったはずだ」

「うん、そこにバナナ入れた」

「もうひとつは『保管倉庫』だな。製造された商品はこっちに自動的に移動してくる」

「うん、バナナジュースがこっちに入った」

「保管倉庫は……確か結構重宝してた。出来上がった商品だけでなく、製造予定の材料を突っ込んでおいたり、他に何でも入った記憶がある。ゲームで異世界でもなんか色々突っ込んでたような?」

「と言う事は、今も色々と入っているのですか?」

「ううん、空っぽだったよ? あ、んと、バナナだけあった」

「ああ、じゃあ、俺が店を抜けた後にあっちゃんが出してくれて渡されたのかもしれない。うん、そんな気がしてきた」

「カオるんの事だからゴミ入れまくって怒られてそうだな」


 ミレさん、失礼な!………………あ、うん、そうだった。怒られたんだ。ミレさん見てたのか?
しおりを挟む
感想 212

あなたにおすすめの小説

幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕だけ別な場所に飛ばされた先は異世界の不思議な無人島だった。

アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚… スマホのネット小説や漫画が好きな少年、洲河 愽(すが だん)。 いつもの様に幼馴染達と学校帰りの公園でくっちゃべっていると地面に突然魔法陣が現れて… 気付くと愽は1人だけ見渡す限り草原の中に突っ立っていた。 愽は幼馴染達を探す為に周囲を捜索してみたが、一緒に飛ばされていた筈の幼馴染達は居なかった。 生きていればいつかは幼馴染達とまた会える! 愽は希望を持って、この不思議な無人島でサバイバル生活を始めるのだった。 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つものなのかな?」 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は幼馴染達よりも強いジョブを手に入れて無双する!」 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は魔王から力を授かり人類に対して牙を剥く‼︎」 幼馴染達と一緒に異世界召喚の第四弾。 愽は幼馴染達と離れた場所でサバイバル生活を送るというパラレルストーリー。 はたして愽は、無事に幼馴染達と再会を果たせるのだろうか?

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

現世にダンジョンができたので冒険者になった。

盾乃あに
ファンタジー
忠野健人は帰り道に狼を倒してしまう。『レベルアップ』なにそれ?そして周りはモンスターだらけでなんとか倒して行く。

異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件

さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ! 食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。 侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。 「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」 気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。 いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。 料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

ダンジョントランスポーター ~ 現代に現れたダンジョンに潜ったらレベル999の天使に憑依されて運び屋になってしまった

海道一人
ファンタジー
二十年前、地球の各地に突然異世界とつながるダンジョンが出現した。 ダンジョンから持って出られるのは無機物のみだったが、それらは地球上には存在しない人類の科学や技術を数世代進ませるほどのものばかりだった。 そして現在、一獲千金を求めた探索者が世界中でダンジョンに潜るようになっていて、彼らは自らを冒険者と呼称していた。 主人公、天城 翔琉《あまぎ かける》はよんどころない事情からお金を稼ぐためにダンジョンに潜ることを決意する。 ダンジョン探索を続ける中で翔琉は羽の生えた不思議な生き物に出会い、憑依されてしまう。 それはダンジョンの最深部九九九層からやってきたという天使で、憑依された事で翔は新たなジョブ《運び屋》を手に入れる。 ダンジョンで最強の力を持つ天使に憑依された翔琉は様々な事件に巻き込まれていくのだった。

独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活

髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。 しかし神は彼を見捨てていなかった。 そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。 これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。

ガチャから始まる錬金ライフ

盾乃あに
ファンタジー
河地夜人は日雇い労働者だったが、スキルボールを手に入れた翌日にクビになってしまう。 手に入れたスキルボールは『ガチャ』そこから『鑑定』『錬金術』と手に入れて、今までダンジョンの宝箱しか出なかったポーションなどを冒険者御用達の『プライド』に売り、億万長者になっていく。 他にもS級冒険者と出会い、自らもS級に上り詰める。 どんどん仲間も増え、自らはダンジョンには行かず錬金術で飯を食う。 自身の本当のジョブが召喚士だったので、召喚した相棒のテンとまったり、時には冒険し成長していく。

処理中です...