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その男は毎日閉店の5分前にやってくる。厳密に4時に閉めてしまうわけでは無いがどうせならあと10分早く来てくれへんかな、碧は舌打ちしたい気持ちを抑えて「いらっしゃい」と迎えた。
「今日は何が残ってますか?」男は毎日同じことを聞く。「ウインナーときんぴらやな。パンと飯、どっちがええ?」「ご飯で!」碧もこのごろはこの男を客扱いすることをやめた。他に誰も客のいないこの時間、余った惣菜をこれでもかというほどよそった皿を嬉しそうに見やって「いただきます!」と気持ちよく平らげていくのを見ているのが、実を言えば碧も楽しみなのだ。
入口のプレートを CLOSE にして、原稿を1つ仕上げて気分に余裕があった碧は初めて男に話しかけた。「アンタ、昼飯いつもこの時間なんかいな」「んー、お昼ご飯っていうか…今日のご飯?」「へ?朝晩は食わんのかい!」「俺、バーテンダーなんです。これ食べて家帰ったらシャワー浴びて出勤して。夜は作った軽食の味見するくらい?朝は寝てるし」そう言って笑う。碧は呆れて「ほなもっとちゃんと食わせなあかんやないか。ちょい待っとれ」自分の夕飯にするつもりだったチキンカツを出してやると「いいんですか?やったぁ!」と早速箸をつけた。
「ふぁー、お腹いっぱい!ごちそうさまでした」「ん」「お代は?」「いつものランチと同じでええよ」「え?…なんかすみません」「気にせんといて。アンタの食いっぷり見とるとなんやホッコリすんねん」「…へへ。じゃこれで。また明日」「ありがとさんでした」さて、片付けてまおか。碧の頭の中は、明日は何を食わせてやろうか、と片付けのあとの仕込みのことでいっぱいであった。
「今日は何が残ってますか?」男は毎日同じことを聞く。「ウインナーときんぴらやな。パンと飯、どっちがええ?」「ご飯で!」碧もこのごろはこの男を客扱いすることをやめた。他に誰も客のいないこの時間、余った惣菜をこれでもかというほどよそった皿を嬉しそうに見やって「いただきます!」と気持ちよく平らげていくのを見ているのが、実を言えば碧も楽しみなのだ。
入口のプレートを CLOSE にして、原稿を1つ仕上げて気分に余裕があった碧は初めて男に話しかけた。「アンタ、昼飯いつもこの時間なんかいな」「んー、お昼ご飯っていうか…今日のご飯?」「へ?朝晩は食わんのかい!」「俺、バーテンダーなんです。これ食べて家帰ったらシャワー浴びて出勤して。夜は作った軽食の味見するくらい?朝は寝てるし」そう言って笑う。碧は呆れて「ほなもっとちゃんと食わせなあかんやないか。ちょい待っとれ」自分の夕飯にするつもりだったチキンカツを出してやると「いいんですか?やったぁ!」と早速箸をつけた。
「ふぁー、お腹いっぱい!ごちそうさまでした」「ん」「お代は?」「いつものランチと同じでええよ」「え?…なんかすみません」「気にせんといて。アンタの食いっぷり見とるとなんやホッコリすんねん」「…へへ。じゃこれで。また明日」「ありがとさんでした」さて、片付けてまおか。碧の頭の中は、明日は何を食わせてやろうか、と片付けのあとの仕込みのことでいっぱいであった。
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