自立したい僕を社長が甘やかしてきます

春夏

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3.もっと知りたい

9.葵クン逃げてー!

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「あれ、葵クンは?遅くない?」
「もう帰ったで」
「え!そんな早くから来てたの?」
「戻って電話番すんねやて」
「へぇ…って奥山、なんで知ってんの?」
「話したからな。葵と」
「ちょっと!なんで呼び捨てしてんの?どういうことだよ?」
「うっさい。さっさと働け」
「…昼に聞かせてもらうからね」

昼時になれば、外へ食べに出る者、コンビニに買いに行く者、弁当持参の者、と思い思いに昼食をとる。
俺はたいてい部屋に戻って、朝のうちに買ってきた惣菜パンや昨夜の残りなんかで済ませてしまう。
話を聞きたそうな柴田とおもしろがっている太田が、自分の弁当を手に部屋に着いてきた。
その2つの弁当が太田の手作りっちゅうことを知らんヤツはいない。

「で?なんでもうアオイ?」
「今朝ちょいと話して…アオイ、て呼ぶわ、って」
「いやいや、だからなんで急に?葵ちゃんも驚いたんじゃね?」
「代わりに俺のことはチアキて呼んでくれ、て言うといた」

「は?葵クンはなんて?」
「知らん。返事は聞いとらんわ」
「はぁー?なんなのお前、マジで最悪なんだけど!葵クンはさ、夜学に行きながらマジメに働いてんだよ?お前にイタズラされるなんてかわいそうだよ」

「イタズラなんてせんわ。俺をなんや思とんの?それより夜学てなんでや」
「葵ちゃんさ、両親亡くしてるんだと。中学の時は伯父さんが面倒みてくれたらしいんだけど、卒業してこっちに戻って一人暮らし。将来のためにお金貯めてるらしいぜ」

知らんかった…。
一人暮らしってそういうわけやったん?
なんも知らんと辛いこと思い出させてしもたかも…。

「……あかん」
「え?何が?」
「俺はもっと葵のことを知らなあかんわ」
「「は?」」
「わからんのか?俺はもっと葵のことを知りたい言うとんねん」
「…いや、だからなんでだよ」
「なんでかは自分でもわからんな」

レンジが温めの終了を知らせて、俺は席を立った。
「……なあ、あいつもしかして……」
「言うな!あぁ、癒しの葵クンが奥山の毒牙に!」
親友でもある2人がそんなことを言っとるとは気づかぬままに。
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