自立したい僕を社長が甘やかしてきます

春夏

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6.ふたりの金銭感覚

21.嫌がることなんかするわけないやん

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助手席でウトウトしとる葵をこのまま連れ帰りたい欲求をなんとか抑えて、車を走らせる。
「葵、起きとるか?そろそろ学校やけど、家はどの辺りやろ?」
「…んあ?あ!ごめんなさい、寝ちゃってました」
「かまわん。寝顔も可愛ええよ。いつかじっくり眺めさせてもらうわ」
「え!」
「いつかな、そのうちいつか」
「…もぅ…あ、すみません、そこ左です」

「遅くなってもたな。今日はホンマ嬉しかった。葵のこと、大事にするから」
「…えっと、あの…僕も、僕も智秋さんのこと、大事にします」
「焦らんでええでな。まずは俺に可愛がられることに慣れてほしいわ。甘やかしたいねん」
「…頑張ります」

頑張るようなこととちゃうよ。
早くに親を亡くして伯父に引き取られて。
小さいけれど庭付きの葵の家、ここを売ったらそれなりの金になったやろ。
後見人として、やろうと思えばでけたはずやけど、ここを葵に残してくれた伯父という人は、葵のことを誠実に育ててくれる人やったんやろな。
それでも葵には遠慮があったに違いない。
甘えることを早くに諦めざるをえなかったこの子のことを、俺がとことん甘やかしたんねん。

「…あの…」
「ん?」
「僕の寝顔見たいって…えっと、その…」
「…せやな。もちろん葵とそういうこともしたいて思とる。けどさっきも言うたやろ、焦らんでええねん。葵が俺とそうしたいて思えるまで、ちゃんと我慢するから」
「我慢?」
「せやで」
「…我慢、してくれるんですか?僕はオメガで、智秋さんはアルファなのに?」
「あたりまえやろ。言うたやん、大事にしたいねん。…あのな葵、これまでにアルファに嫌な思いをさせられたことがあるかもしれんけど、俺はそいつらとは違う。葵が好きやから、葵が傷つくようなことはしたないねん。嫌なとこあったらちゃんと言うて」

いとこにされたことを思えば無理もないけど、葵がアルファを怖がっとることに、なんとなく気づいとった。
09にも俺、太田、他にも何人かのアルファが居る。
葵が近くに居る時に不意に姿勢を変えたりすると、一瞬体が強張んねん。
自分に触れてこないことを確認して仕事を再開する葵を見るたびに、顔も知らんそのいとこのことを殴りたなってしかたなかった。

「…智秋さんは怖くない」
葵が小さく呟く。
「智秋さんは怖くない。僕は智秋さんが好きです」
「うん。俺も葵が好きや。大事な可愛ええ恋人や」

見惚れるような笑顔を見せて、葵が手を振った。
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