自立したい僕を社長が甘やかしてきます

春夏

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6.ふたりの金銭感覚

24.許せる範囲でね

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「葵クンごめんね、待たせちゃった?」
「大丈夫です。僕、なんかソワソワして早く来ちゃったんで」

今日は柴田さんと買い物。
昼前に駅前で待ち合わせて、電車で2駅。
母さんとも買い物に来たことのあるデパートに、そのお店があるのだという。

「先に少し話をしようか」
柴田さんが連れてきてくれたのは、いわゆる隠れ家カフェ?って感じの小さなお店。
「学生の頃、ここでバイトしてたことがあるんだ。サンドイッチの種類が豊富で。後でご馳走してあげる」
マスターに“久しぶり”なんて挨拶して奥の部屋に案内される。
「ここは休憩室なんだ。さ、なんでも聞いて」

僕が戸惑っていると柴田さんから話を向けてくれる。
「まずはオメガの体について、だよね。普通の日常生活に困ることは特にないけど、性について、ね。特に男とセックスをするということについて」

そんなにはっきり言われると……。
でも頬を真っ赤にしながら話してくれる柴田さんに、僕が恥ずかしがっている場合じゃないよね。
「相手がいたことはないですけど、僕、そういうこと、女の人とすると思ってて…」
「だよねぇ、わかるわかる。でも受け入れられる体になったことで考えも変わったのかな?」
「男の人を…智秋さんを好きになるなんて思いもしませんでした」
「…ホントに好きなんだ?無理矢理、とか、断りきれなくて、とかじゃない?」
しっかり頷いた僕を見て、柴田さんは安心したように笑った。

「…とまぁ、こんなところかな。心配事とかあったらまた聞いてね」
「はい。本当にありがとうございます」
「さ、じゃお店に戻って注文しようか。ご馳走するから遠慮しないでたくさん食べなよ」
「いえ、僕、自分で」
「いいのいいの。今日はね、食事も道具も僕が出すから」
「でもそんなの」
「気にしないで、年上ぶってみたいだけだよ。それに僕も初めての道具は兄に買ってもらったんだ。それがすごく嬉しかったから」

「…あの…智秋さんも僕にお金を使いたい、って」
「えー?アイツそんなこと言ったの?いいじゃんいいじゃん、使ってもらいなよ。オメガを可愛がりたい、って、アルファの欲求なんだってさ。カズもいろんなことしてくれるんだよ」
「…いいのかな…」
「奥山の好きにさせてやりなよ。もちろん葵クンの許せる範囲でいいんだよ。オメガだからってアルファの言いなりになる必要なんてないんだから」

階段とトイレしかないと思ってた人通りのとぎれた店の奥、想像していたよりも明るく広い店内では、お客さんが店員さんから商品の説明をされている。
「ここはね、オメガ用の道具がメインなんだけれど、んー、つまりその、あぁもう、セックスを楽しむための道具もおいてあるんだよね。だからほら、パートナーと一緒に来てる人もいるでしょ?」

「こういう店だからね、いろんなお客さんが来るデパートのど真ん中ってわけにはいかない。どうしても隅っこの方になっちゃうけどさ、でも全然普通でしょ?」
「はい。僕もっと、怪しい感じなのかと思ってました」
「うん。葵クンくらいの歳の子はそう思うかもね。でもね、ちゃんと自分や相手のことを理解して、お互いをもっと大事にしたいと思うことは変じゃないでしょ?ここはそのための店なんだ。そして自分のことも大事にするための買い物をするところ。そう考えれば何も怖くないでしょう?」

「自分を大事に…」
「そうだよ。ほらこっち。いろいろあるんだよねぇ」
……これを挿れるの?無理無理、絶対無理。
「初めてでもこれなら大丈夫だと思うよ。そのうち慣れてきたら他のものも試してみたらいいし。まぁ…奥山が代わりになっちゃうかも?」

この道具の代わりに奥山さんが…。
「…もぉ!奥山にそんな顔見せたら危ないよ?奥山にちゃんと言っとかなきゃ!」
柴田さんがなにか言っていたけど、熱く沸騰しかけたアタマじゃ、よくわからなかった。
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