25 / 72
7.両親への挨拶
25.抱きしめずにはいられない
しおりを挟む
「何しに来たん?」
「何しにって、奥山のことだからさぁ、きっと今日の夕飯、作ってると思ったんだよ。テルとの買い物を終えた葵ちゃんをしれっと連れ込んでさ」
「人聞きの悪いこと言わんといて。連れ込むってなんやねん」
葵を迎えに行く約束をして、今夜は手料理を食わせたろ、と買い物を終えて帰ってくれば、事務所のエントランスに太田が立っとった。
「どうせオレもテルを迎えに行ってどっかで夕飯にしようと思ってたし、そんならここで一緒に、って」
食材の入っていそうな買い物袋を持ち上げてニヤニヤ笑う太田に根負け。
「…しゃあない。お前も手伝えや」
「…てなわけでな、金使わせて言うたら断られてん」
「そりゃそうだろ、まだ若いし、葵ちゃんはそういうの慣れてないんだろ。でもまぁ、デロデロに甘やかしたい気持ちはよくわかる」
「せやろ?!だから“俺の”常識の範囲、っちゅうことにしたんねん」
俺と同じ考え方を持つアルファの太田にノロケ半分の愚痴を言いながら夕飯の準備を終えた。
「あれ?カズも一緒だったの?」
「奥山と料理してた。葵ちゃん、今夜はオレと奥山の手料理だから楽しみにしてな」
「え?いいんですか?お二人の手料理なんて…」
「カズも奥山も上手だからね。お腹空いたよね、早く帰ろう」
俺を置き去りに盛り上がる3人。
2人から葵を引き剥がして、おかえり、と手を繋ぐ。
「買い物は済んだん?」
聞けば何かを思い出したように赤くなる葵。
あかん、またやってもた!
なんの買い物だったか知っとるっちゅうのに!
「内緒だもんねー。ね、葵クン」
ふざけるような柴田の声にますます赤くなる葵。
…これはあかんやろ、可愛いすぎるやん…。
「えっと、あの…はい、今は内緒なんです」
今は、てどういう意味やろ?
ますます赤くなった葵は柴田に後部座席に連れ去られた。
「すごく美味しかったです。ご馳走様でした」
「ホンマ?気に入ってくれたか?」
「もちろん!どれもこれもお店みたいで!」
片付けを終え、食後のコーヒー。
「今日は本当にありがとうございました」
「いいのいいの、ボクも楽しかったよ。また遊ぼうね」
「今度はオレもな?」
「アホウなこと言うなや。葵は俺のや!」
「出たよ独占欲。葵クン、嫌なら嫌って言うんだよ?」
「…嫌じゃないです…嬉しいもん…」
たまらん!
2人の前だというのに思わず葵を抱きしめた俺に、忌々しそうな柴田の声が聞こえた。
「だからその顔見せちゃダメって言ったのに…」
「何しにって、奥山のことだからさぁ、きっと今日の夕飯、作ってると思ったんだよ。テルとの買い物を終えた葵ちゃんをしれっと連れ込んでさ」
「人聞きの悪いこと言わんといて。連れ込むってなんやねん」
葵を迎えに行く約束をして、今夜は手料理を食わせたろ、と買い物を終えて帰ってくれば、事務所のエントランスに太田が立っとった。
「どうせオレもテルを迎えに行ってどっかで夕飯にしようと思ってたし、そんならここで一緒に、って」
食材の入っていそうな買い物袋を持ち上げてニヤニヤ笑う太田に根負け。
「…しゃあない。お前も手伝えや」
「…てなわけでな、金使わせて言うたら断られてん」
「そりゃそうだろ、まだ若いし、葵ちゃんはそういうの慣れてないんだろ。でもまぁ、デロデロに甘やかしたい気持ちはよくわかる」
「せやろ?!だから“俺の”常識の範囲、っちゅうことにしたんねん」
俺と同じ考え方を持つアルファの太田にノロケ半分の愚痴を言いながら夕飯の準備を終えた。
「あれ?カズも一緒だったの?」
「奥山と料理してた。葵ちゃん、今夜はオレと奥山の手料理だから楽しみにしてな」
「え?いいんですか?お二人の手料理なんて…」
「カズも奥山も上手だからね。お腹空いたよね、早く帰ろう」
俺を置き去りに盛り上がる3人。
2人から葵を引き剥がして、おかえり、と手を繋ぐ。
「買い物は済んだん?」
聞けば何かを思い出したように赤くなる葵。
あかん、またやってもた!
なんの買い物だったか知っとるっちゅうのに!
「内緒だもんねー。ね、葵クン」
ふざけるような柴田の声にますます赤くなる葵。
…これはあかんやろ、可愛いすぎるやん…。
「えっと、あの…はい、今は内緒なんです」
今は、てどういう意味やろ?
ますます赤くなった葵は柴田に後部座席に連れ去られた。
「すごく美味しかったです。ご馳走様でした」
「ホンマ?気に入ってくれたか?」
「もちろん!どれもこれもお店みたいで!」
片付けを終え、食後のコーヒー。
「今日は本当にありがとうございました」
「いいのいいの、ボクも楽しかったよ。また遊ぼうね」
「今度はオレもな?」
「アホウなこと言うなや。葵は俺のや!」
「出たよ独占欲。葵クン、嫌なら嫌って言うんだよ?」
「…嫌じゃないです…嬉しいもん…」
たまらん!
2人の前だというのに思わず葵を抱きしめた俺に、忌々しそうな柴田の声が聞こえた。
「だからその顔見せちゃダメって言ったのに…」
25
あなたにおすすめの小説
流れる星、どうかお願い
ハル
BL
羽水 結弦(うすい ゆずる)
オメガで高校中退の彼は国内の財閥の一つ、羽水本家の次男、羽水要と番になって約8年
高層マンションに住み、気兼ねなくスーパーで買い物をして好きな料理を食べられる。同じ性の人からすれば恵まれた生活をしている彼
そんな彼が夜、空を眺めて流れ星に祈る願いはただ一つ
”要が幸せになりますように”
オメガバースの世界を舞台にしたアルファ×オメガ
王道な関係の二人が織りなすラブストーリーをお楽しみに!
一応、更新していきますが、修正が入ることは多いので
ちょっと読みづらくなったら申し訳ないですが
お付き合いください!
病弱の花
雨水林檎
BL
痩せた身体の病弱な青年遠野空音は資産家の男、藤篠清月に望まれて単身東京に向かうことになる。清月は彼をぜひ跡継ぎにしたいのだと言う。明らかに怪しい話に乗ったのは空音が引き取られた遠縁の家に住んでいたからだった。できそこないとも言えるほど、寝込んでばかりいる空音を彼らは厄介払いしたのだ。そして空音は清月の家で同居生活を始めることになる。そんな空音の願いは一つ、誰よりも痩せていることだった。誰もが眉をひそめるようなそんな願いを、清月は何故か肯定する……。
【完結】この契約に愛なんてないはずだった
なの
BL
劣勢オメガの翔太は、入院中の母を支えるため、昼夜問わず働き詰めの生活を送っていた。
そんなある日、母親の入院費用が払えず、困っていた翔太を救ったのは、冷静沈着で感情を見せない、大企業副社長・鷹城怜司……優勢アルファだった。
数日後、怜司は翔太に「1年間、仮の番になってほしい」と持ちかける。
身体の関係はなし、報酬あり。感情も、未来もいらない。ただの契約。
生活のために翔太はその条件を受け入れるが、理性的で無表情なはずの怜司が、ふとした瞬間に見せる優しさに、次第に心が揺らいでいく。
これはただの契約のはずだった。
愛なんて、最初からあるわけがなかった。
けれど……二人の距離が近づくたびに、仮であるはずの関係は、静かに熱を帯びていく。
ツンデレなオメガと、理性を装うアルファ。
これは、仮のはずだった番契約から始まる、運命以上の恋の物語。
運命よりも先に、愛してしまった
AzureHaru
BL
幼馴染で番同士の受けと攻め。2人は運命の番ではなかったが、相思相愛だった。そんな時、攻めに運命の番が現れる。それを知った受けは身籠もっていたが、運命の番同士の子供の方が優秀な者が生まれることも知っており、身を引く事を決め姿を消す。
しかし、攻めと運命の番の相手にはそれぞれに別の愛する人がいる事をしり、
2人は運命の番としてではなく、友人として付き合っていけたらと話し合ってわかれた。
その後、攻めは受けが勘違いしていなくなってしまったことを両親達から聞かされるのであった。
劣等生の俺を、未来から来た学院一の優等生が「婚約者だ」と宣言し溺愛してくる
水凪しおん
BL
魔力制御ができず、常に暴発させては「劣等生」と蔑まれるアキト。彼の唯一の取り柄は、自分でも気づいていない規格外の魔力量だけだった。孤独と無力感に苛まれる日々のなか、彼の前に一人の男が現れる。学院一の秀才にして、全生徒の憧れの的であるカイだ。カイは衆目の前でアキトを「婚約者」だと宣言し、強引な同居生活を始める。
「君のすべては、俺が管理する」
戸惑いながらも、カイによる徹底的な管理生活の中で、アキトは自身の力が正しく使われる喜びと、誰かに必要とされる温かさを知っていく。しかし、なぜカイは自分にそこまで尽くすのか。彼の過保護な愛情の裏には、未来の世界の崩壊と、アキトを救えなかったという、痛切な後悔が隠されていた。
これは、絶望の運命に抗うため、未来から来た青年と、彼に愛されることで真の力に目覚める少年の、時を超えた愛と再生の物語。
バツイチ上司が、地味な僕を特別扱いしてくる
衣草 薫
BL
理性的でクールなバツイチ上司・桐原恒一は、過去の失敗から、もう誰も必要としないと決めて生きてきた。
男が好きだという事実を隠し、「期待しなければ傷つかない」と思い込んできた部下・葉山直。
すれ違いと誤解の果てに、直が職場を去ろうとしたとき、恒一は初めて“追いかける”ことを選ぶ。
選ばれないと信じてきた直と、逃げないと決めた恒一。
二人の距離が近づくことで、直は「ここにいていい」と思える場所を見つけていく。
元ノンケ上司×自己肯定感低め部下の社会人BL。※ハッピーエンド保証。
たとえば、俺が幸せになってもいいのなら
夜月るな
BL
全てを1人で抱え込む高校生の少年が、誰かに頼り甘えることを覚えていくまでの物語―――
父を目の前で亡くし、母に突き放され、たった一人寄り添ってくれた兄もいなくなっていまった。
弟を守り、罪悪感も自責の念もたった1人で抱える新谷 律の心が、少しずつほぐれていく。
助けてほしいと言葉にする権利すらないと笑う少年が、救われるまでのお話。
ジャスミン茶は、君のかおり
霧瀬 渓
BL
アルファとオメガにランクのあるオメガバース世界。
大学2年の高位アルファ高遠裕二は、新入生の三ツ橋鷹也を助けた。
裕二の部活後輩となった鷹也は、新歓の数日後、放火でアパートを焼け出されてしまう。
困った鷹也に、裕二が条件付きで同居を申し出てくれた。
その条件は、恋人のフリをして虫除けになることだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる