自立したい僕を社長が甘やかしてきます

春夏

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13.見張りの皆さん

55.横山の通告

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「…そうか、いろいろあったんだな…」
「はい。でも横山美化で雇ってもらえて良かったです」
「おう。これからは俺が葵の親代わりだ」

葵の父、伊原健と俺は幼馴染だった。
高校を出て家業を継いだ俺は健がまだ大学生だった頃に結婚したから、葵が産まれた時には我が子はもう大きくなっていて、小さな葵が可愛くて可愛くて。
土産を手に時折顔を出す俺に葵も懐いてくれて。
「…ウチで働くこと、健と由美さんに報告しねえとな」
あんなに突然、2人がいなくなるなんて。

掃除をして花を手向け、墓に手を合わせる。
健、俺が葵を守るから。
頼りないかもしれねえけど、大目に見てくれよ。
……こうして葵の新しい暮らしが始まった。

葵が好きやねん、というこの男を信じていいのか?
恋愛なんて葵にはまだ早すぎないか?
だけど葵はオメガで、この男はアルファで奥山一族の一員で金持ちで…だけど葵が遊ばれて泣くなんてことになったら、健に顔向けできねえんだけど?

あれよあれよといううちになるようになっちまって、あろうことか番になっただと?!
まだ葵は15なんだぞ、ふざけんじゃねえ、と09に怒鳴りこんだはずが、奥山社長の葵への真剣な想いを再確認させられた、ときたもんだ。

観念した俺の報告を、戸惑うように、でも嬉しそうに聞く葵。
…わかってたんだよ、いつかは誰かに葵を託さなきゃならない、って。
それにしたって早すぎるだろ?
まだまだ俺の手が届く範囲にしまっておかせてくれたって良かったのに。
赤ちゃんのころから知ってる葵を、回らぬ舌で“よきょやみゃ”と俺を呼んだ葵を。
これ以上は引き延ばせない、と言われた葬式に、病院の外出許可をもらって、包帯を巻いたまま参列した葵を。

ころんじゃったの、と泣いていたあの日と同じように、わんわんと声をあげて泣く葵を抱きしめる。
「親は俺だけだよなぁ?!」
泣きながら、でもしっかり頷いてくれた葵。

俺が親で、俺の親父はじいちゃんで、ウチの社員や09の社員さんたちはおじさんおばさん兄さん姉さんで、斉藤は親友で。
葵に惚れる、ってことはこれだけの人の信頼を得なきゃならないんだ。
葵を泣かす、ってことはこれだけの人を敵に回すってことなんだ。

奥山さん、覚悟してもらいますよ?
あなたにならできる、と、あなたにしかできない、と、信じている葵のために。
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