れいちゃんの執事

春夏

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3.やらせてください

13.母ちゃんやな

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「櫂、俺の執事の慶」
「岡野慶一郎と申します」

慶さんは30歳。ちょうど今の俺と同じハタチの時から耀の身の回りの世話をしとったそうや。もともと親が耀のジイさんの秘書をしとったとかで、早々と目をつけられた、っちゅうこっちゃな。

「執事が知っとかなあかんこととか、教えてほしいんよ」
「そうですね…まぁ普段は構いませんが、人前に出なければならないとき、パーティーなどですね、なるべく丁寧な言葉を使っていただければ」
「…せやろな…おっと、そうですね。わかりました」
耀が笑う。
「櫂じゃないみたいだよ。怜理だって嫌なんじゃない?櫂の普通でいいだろ」
「…そうだな。俺も普段はこんな感じだ」
慶さんが笑って、俺の肩の力が抜けた。

「起床したら朝食の準備、洗濯、このテのことは家政婦の仕事だ。進藤家に住むのだからやらなくてもかまわん。主に本人だけに関係することが執事の仕事だ。学校の持ち物に不足はないかの確認、着替えを揃える。起こして朝食を食べさせ、遅刻しないように送り出す。帰宅後は翌日の予定確認、課題をやらせて、ほどほどの時間に入浴を促し……」

………ん、そりゃ母ちゃんやろ。執事って母ちゃんなん?もっと、こう、アレなんと違うん?
「今は違うぞ!俺ちゃんと自分で起きられるし課題だって自分でやってるよ?」
「…そうだな。最近やっとできるようになってきたな」
恥ずかしそうに頭を抱える耀がおかしくて、俺は吹き出すのを我慢した。

「とにかく!怜理にはまだ執事が付いたことがないんだ。俺も父さんたちもすっかり甘やかしてきちゃったからさ、わがままで甘えん坊で、櫂にもいろいろ面倒かけると思うんだよ。でも怜理の側にいてやってほしい。もちろん大学だって授業やら実習やら忙しくなるとは思うけど、櫂の時間が許す限りでいいんだ、怜理を見守ってやってほしい」
「そうだな。それでいいだろう。怜理君の気持ちを尊重しながら、許していいことといけないことを見極める。俺も『兄になってやってくれ』と旦那様に言われたよ。そのほかのことは追々覚えればいいさ」

兄として見守る。あの頃と同じや。俺にできることなら、れいちゃんが俺にしてほしいと言うなら。
「…わかりました。私にやらせてください」
丁寧に頭を下げた俺に、耀と慶さんの笑い声が聞こえた。
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