46 / 75
8.仲間
4.緊急事態
しおりを挟む
ミクの口元が動く。広げた掌に魔力が渦巻くのを感じて、恐ろしいほどのその大きさに結界を解きそうになってしまった。隣に立つサンディが小さく震えている。青ざめたローサが横にいたチェスターの腕を掴んだ。
「サンダー!」ミクの声とともに結界が震える。ヒビが入って慌てて掛け足す。目を開けていられないほどの眩しさと大きな音。ようやく揺れが収まったとき、恐る恐る開けた目に倒れたミクが飛び込んできた。
「ミク!!」駆け寄った俺にギルド長が「魔力切れだ。ポーションを飲ませてやれ」…飲ませてやれ、って…。軽く叩いても揺すっても目を開けないミク。…緊急事態だ。ブロス、これは緊急事態だから!日誌に書かないで! 口に含んだポーションを口移しでミクに飲ませる。何度か繰り返すとミクがぼんやり目を開けた。
「…ナル…?」「大丈夫か?魔力切れだって。ほら、飲んで」残りのポーションを飲み干したミクの頬に赤みが戻った。
ギルド長が言う。「この国はこの力に守られているのだ。王子もご苦労だったな。魔力を使い果たす怖さが分かっただろう?こんな魔法を使わなくていい治世をお願いしますよ」「…うん…きっと兄上がそうしてくれる」ミクがいつものように笑って、後ろで固まっていたクラスメイト達がホッと息をついた。
「さあ!このフロアの魔獣は全滅だ!みんなで回収してこい!」その掛け声に1番に反応したのはさっきまで震えていたローサ。「解体!解体する!」走り出したローサをチェスターとサンディが追いかける。「ミク様、大丈夫ですか?」と声をかけてきたブロスが俺達にしか聞こえないくらいの小声で「ナイショにしておきますから」と言った。「俺も皆を追いかけます。ゆっくり来てください」走り去ったブロスを拝んでしまいそう。
「ナル…」ミクはまだ腕の中。「ん?」「何がナイショなの?」「…えっと…」「さて、俺も確認に行かねばな」ギルド長がニヤッと笑って歩いていく。あぁ、ギルド長のことも拝んでしまいそうだ。「ナル?」腕の中のミクを抱きしめ直して…「ミク、目、閉じて」緊急事態じゃないキス。甘ったるいポーションよりもずっとずっと甘い、ナイショの味がした。
「サンダー!」ミクの声とともに結界が震える。ヒビが入って慌てて掛け足す。目を開けていられないほどの眩しさと大きな音。ようやく揺れが収まったとき、恐る恐る開けた目に倒れたミクが飛び込んできた。
「ミク!!」駆け寄った俺にギルド長が「魔力切れだ。ポーションを飲ませてやれ」…飲ませてやれ、って…。軽く叩いても揺すっても目を開けないミク。…緊急事態だ。ブロス、これは緊急事態だから!日誌に書かないで! 口に含んだポーションを口移しでミクに飲ませる。何度か繰り返すとミクがぼんやり目を開けた。
「…ナル…?」「大丈夫か?魔力切れだって。ほら、飲んで」残りのポーションを飲み干したミクの頬に赤みが戻った。
ギルド長が言う。「この国はこの力に守られているのだ。王子もご苦労だったな。魔力を使い果たす怖さが分かっただろう?こんな魔法を使わなくていい治世をお願いしますよ」「…うん…きっと兄上がそうしてくれる」ミクがいつものように笑って、後ろで固まっていたクラスメイト達がホッと息をついた。
「さあ!このフロアの魔獣は全滅だ!みんなで回収してこい!」その掛け声に1番に反応したのはさっきまで震えていたローサ。「解体!解体する!」走り出したローサをチェスターとサンディが追いかける。「ミク様、大丈夫ですか?」と声をかけてきたブロスが俺達にしか聞こえないくらいの小声で「ナイショにしておきますから」と言った。「俺も皆を追いかけます。ゆっくり来てください」走り去ったブロスを拝んでしまいそう。
「ナル…」ミクはまだ腕の中。「ん?」「何がナイショなの?」「…えっと…」「さて、俺も確認に行かねばな」ギルド長がニヤッと笑って歩いていく。あぁ、ギルド長のことも拝んでしまいそうだ。「ナル?」腕の中のミクを抱きしめ直して…「ミク、目、閉じて」緊急事態じゃないキス。甘ったるいポーションよりもずっとずっと甘い、ナイショの味がした。
13
あなたにおすすめの小説
【16話完結】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /チャッピー
AI比較企画作品
【完結】巷で噂の国宝級イケメンの辺境伯は冷徹なので、まっっったくモテませんが、この度婚約者ができました。
明太子
BL
オーディスは国宝級イケメンであるにも関わらず、冷徹な性格のせいで婚約破棄されてばかり。
新たな婚約者を探していたところ、パーティーで給仕をしていた貧乏貴族の次男セシルと出会い、一目惚れしてしまう。
しかし、恋愛偏差値がほぼ0のオーディスのアプローチは空回りするわ、前婚約者のフランチェスカの邪魔が入るわとセシルとの距離は縮まったり遠ざかったり…?
冷徹だったはずなのに溺愛まっしぐらのオーディスと元気だけどおっちょこちょいなセシルのドタバタラブコメです。
嫌いなあいつが気になって
水ノ瀬 あおい
BL
今しかない青春だから思いっきり楽しみたいだろ!?
なのに、あいつはいつも勉強ばかりして教室でもどこでも常に教科書を開いている。
目に入るだけでムカつくあいつ。
そんなあいつが勉強ばかりをする理由は……。
同じクラスの優等生にイラつきを止められない貞操観念緩々に見えるチャラ男×真面目で人とも群れずいつも一人で勉強ばかりする優等生。
正反対な二人の初めての恋愛。
【完結】オーロラ魔法士と第3王子
N2O
BL
全16話
※2022.2.18 完結しました。ありがとうございました。
※2023.11.18 文章を整えました。
辺境伯爵家次男のリーシュ・ギデオン(16)が、突然第3王子のラファド・ミファエル(18)の専属魔法士に任命された。
「なんで、僕?」
一人狼第3王子×黒髪美人魔法士
設定はふんわりです。
小説を書くのは初めてなので、何卒ご容赦ください。
嫌な人が出てこない、ふわふわハッピーエンドを書きたくて始めました。
感想聞かせていただけると大変嬉しいです。
表紙絵
⇨ キラクニ 様 X(@kirakunibl)
嘘つき王と影の騎士
篠雨
BL
「俺の役割は、貴方を守ることだ。……例え、貴方自身からも」
国の平穏を一身に背負い、十二年間「聖王」という偶像を演じ続けてきたセシル。
酷使し続けた心身はすでに限界を迎え、その命の灯火は今にも消えようとしていた。
そんな折、現れたのは異世界からの「転移者」。
代わりを見つけた国は、用済みとなったセシルからすべてを剥奪し、最果ての地へと追放する。
死を待つためだけに辿り着いた冬の山。
絶望に沈むセシルの前に現れたのは、かつて冷徹に王を監視し続けていた近衛騎士団長、アルヴィスだった。
守るべき王も、守るべき国も失ったはずの二人が過ごす、狭い小屋での夜。
無価値になり、壊れかけた自分を、なぜこの男は、そんな瞳で見つめるのか。
なぜ、そんなにも強く、抱きしめるのか。
これは、すべてを失った「聖王」が、一人の男の熱に暴かれ、再生していくまでの物語。
聖者の愛はお前だけのもの
いちみりヒビキ
BL
スパダリ聖者とツンデレ王子の王道イチャラブファンタジー。
<あらすじ>
ツンデレ王子”ユリウス”の元に、希少な男性聖者”レオンハルト”がやってきた。
ユリウスは、魔法が使えないレオンハルトを偽聖者と罵るが、心の中ではレオンハルトのことが気になって仕方ない。
意地悪なのにとても優しいレオンハルト。そして、圧倒的な拳の破壊力で、数々の難題を解決していく姿に、ユリウスは惹かれ、次第に心を許していく……。
全年齢対象。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる