邪魔はさせない

春夏

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8.仲間

4.緊急事態

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ミクの口元が動く。広げた掌に魔力が渦巻くのを感じて、恐ろしいほどのその大きさに結界を解きそうになってしまった。隣に立つサンディが小さく震えている。青ざめたローサが横にいたチェスターの腕を掴んだ。

「サンダー!」ミクの声とともに結界が震える。ヒビが入って慌てて掛け足す。目を開けていられないほどの眩しさと大きな音。ようやく揺れが収まったとき、恐る恐る開けた目に倒れたミクが飛び込んできた。

「ミク!!」駆け寄った俺にギルド長が「魔力切れだ。ポーションを飲ませてやれ」…飲ませてやれ、って…。軽く叩いても揺すっても目を開けないミク。…緊急事態だ。ブロス、これは緊急事態だから!日誌に書かないで! 口に含んだポーションを口移しでミクに飲ませる。何度か繰り返すとミクがぼんやり目を開けた。

「…ナル…?」「大丈夫か?魔力切れだって。ほら、飲んで」残りのポーションを飲み干したミクの頬に赤みが戻った。

ギルド長が言う。「この国はこの力に守られているのだ。王子もご苦労だったな。魔力を使い果たす怖さが分かっただろう?こんな魔法を使わなくていい治世をお願いしますよ」「…うん…きっと兄上がそうしてくれる」ミクがいつものように笑って、後ろで固まっていたクラスメイト達がホッと息をついた。

「さあ!このフロアの魔獣は全滅だ!みんなで回収してこい!」その掛け声に1番に反応したのはさっきまで震えていたローサ。「解体!解体する!」走り出したローサをチェスターとサンディが追いかける。「ミク様、大丈夫ですか?」と声をかけてきたブロスが俺達にしか聞こえないくらいの小声で「ナイショにしておきますから」と言った。「俺も皆を追いかけます。ゆっくり来てください」走り去ったブロスを拝んでしまいそう。

「ナル…」ミクはまだ腕の中。「ん?」「何がナイショなの?」「…えっと…」「さて、俺も確認に行かねばな」ギルド長がニヤッと笑って歩いていく。あぁ、ギルド長のことも拝んでしまいそうだ。「ナル?」腕の中のミクを抱きしめ直して…「ミク、目、閉じて」緊急事態じゃないキス。甘ったるいポーションよりもずっとずっと甘い、ナイショの味がした。
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