邪魔はさせない

春夏

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10.3西

5.手柄を立てろ

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「あれはいったいどういう場所なんだ?お前達は知っているのだろう?」チェイル様がミクに尋ねる。チェイル様はひとまず俺達の話を信じてくれたようだ。3西になってしまったダンジョンのことを俺達が知っていること、どのくらいの範囲にその話を広げていいのか迷っているのだろう。

「もちろん学園ギルドでも既に探索を始めているようだが、見慣れないものが多くて戸惑っているらしい」…そりゃそうだよな。医療機器なんて何が何だかわからないだろう。俺だって使い方は知らないけれど、使われ方なら知っている。ダンジョンは3西だけなんだろうか。あの大学病院は6階建だった。エントランスの自動ドア、吹き抜けの壁に掛けられたアスクレピオスの絵。大きくとられた採光窓に外の見えるエレベーター。

「あそこはね、僕とナルが死んだところなんだ」ミクが屈託なく言う。「死んだ?!」チェイル様には俺達が別の世界で友達だった、とだけしか伝えていなかったから驚かれた。「元の世界には魔法なんかなくて、病や怪我を簡単に治すことはできなかったんです。俺達も治療を受けていたけれど結局死んでしまいました」「元気な体に生まれ変われたら一緒にいろんなことをしようね、って約束したんだよね」「…それで2人で冒険者になりたい、ってことなのか…」「2人とも14歳で亡くなったそうですよ」兄上が言う。それを聞いたチェイル様は静かに立ち上がって部屋を出て行った。

待ちくたびれた頃、チェイル様が王様を連れて戻ってきた。「ミクールにナルジス。あのダンジョンの探索に参加して手柄をたててみせよ。そのくらいのこともできないのなら冒険などできるわけがない」

王様からの思いがけない言葉に思わずミクと顔を見合わせて…「やってみせます」俺は膝をついて深い臣下の礼をとった。
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