邪魔はさせない

春夏

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12.邪魔はさせない

2.自分の弱さ

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誰もが多かれ少なかれ隠し持っているコンプレックス。偽神はそれを顕現する。剣術には自信を持っているのに、魔術も勉強も不得意だと引け目を感じていたチェスター。領地や領民のために魔獣を倒すことに誇りを持っているのに、貴族の子女としてはしたないと陰口を叩かれる辛さを拭えないサンディ。貴族と平民の間で不安定に生きるブロス。いつも朗らかで悩みなどなさそうなローサでさえ顔を真っ青にして呆然と立っている。

ミクと俺は同じものを見せられている。自分達が死んだその時を。ここは夢の世界だ、お前達はここにいちゃいけないんだ。そのことを俺達に分からせるように。お前達だけが幸せになるつもりか!そんなこと許されない、許さない!!

安藤先生が首を振って父さんが拳を握りしめる。母さんが俺の手を握って、姉ちゃんが座り込む。…ごめん、先に死んじゃってごめん。悲しませてごめん。あれからどれくらい経ったんだろう。もう笑ってくれてるかな。何度だって言う。俺は幸せだよ。何度だって願う。大好きな皆が笑っていますように。俺は大きく息を吸ってそのスクリーンを切り裂いた。「大好き」と小さく呟いたミクがスクリーンを燃やし尽くした。「…ママとパパが大好きだったんだ」「うん」「2人も僕を愛してくれた」「うん」俺達はあえて言葉にしなかったけれど、一緒に生きていられる奇跡を噛み締めた。

「俺だってまだまだやれるんだよ!」チェスターが振るう剣がスクリーンを紙吹雪に変える。「ありのままの私を認めてくれる人がちゃんといる!アイス!」魔法で凍らせたスクリーンに剣を突き立てるサンディ。「偽神は性格が悪いな。自分の弱さと向き合わされちまった」「まったくです。己の小ささを思い知りましたよ」ワイルズさんとロバート先生がなんだかすっきりした顔でそんなことを言い合って…屋上に明るい光が差し込んだ。
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