邪魔はさせない

春夏

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13.後日談

2.魔道具師ロバート

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「ロバート先生はね、主人公を拾って育てるの。彼の持ち物とか知識からヒントを得て、いろんなものを作ったんです。タブレットも先生が作ったんだよ!」「なんと…」ミク様に見せていただいた本物のタブレットには、動く絵に描かれた自分が子育てに奮闘していた。

魔道具好きの父に手ほどきされて魔道具の面白さにのめり込んだ私は、小さな男爵の地位を捨てて魔道具師となった。「こんな貧乏領地もらっても嬉しくないよ」と笑ってくれた弟には、今でも頭が上がらない。温風冷風機の発明で一財産築き、定期的に領地への仕送りができるようになったことで、魔道具師になってしまったことへの後悔を消すことができた。王城への出入りが許されるようになり、学園で子ども達に魔道具製作を教えるようになってからも、結婚もせずただただ魔道具と向き合ってきた。

「レッティ、そこはこうやるんだ」画面の中の私が、主人公に話しかける。楽しそうに笑うレッティを穏やかな顔で見守る私。

ミク様の発案で始まったタブレットの製作で難航していたのはディスプレイである。触れるだけで反応し、あらかじめ記憶させておいた情報を表示する、この画面がどうしても作れずにいたのだ。マジックバッグに通話機能をつけること、バッグの基となる空間機能を板状のものに付加することまではできていたのだが、バッグの内容物や図鑑を表示できる画面が作り出せない。様々なことを覚えさせることができるコアや、“かめら”の作成には成功しているはずなのだが、それらを表示して確認することができない。魔道具師協会の面々も学生達と一緒に頭を悩ませていた。

それを簡単に解消したのがサンニシの魔獣が落とすタッチパネルだった。試作品が出来上がった時には、皆で手を取り合って喜んだ。「皆、僕のやりたいことに付き合ってくれてありがとう」と頭を下げたミク様がクラスメイト達にもみくちゃにされるのを、平民の魔道具師達は目を潤ませて見守った。

「ロバートはここに住んだらいいんじゃないか」とチェイル様に苦笑されるほどサンニシに通い詰めている。何から何まで興味深いものばかりだ。本格的に量産が始まったタブレットは大人気で予約待ちの状態だ。私は今日もタブレットのホーム画面に話しかける。「おはよう、レッティ。今日もいろんなことを覚えてもらうよ」そこには主人公レッティが明るく笑っている。
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