先生と俺

春夏

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11.

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side 亮太

アルファの抑制剤はオメガのヒートに当てられた時に自制をきかせるための予防薬のようなもんや。せやからアルファは日に1錠、必ず飲まなならん。幸久のヒートはいつだって俺からその効果を取り去った。それに対してオメガの抑制剤はヒートの期間短縮と辛さの軽減のために使われる。ヒートの兆候に気づいてから飲むもんや。服用しなければ5日ほど続くヒートが、1~2日で終わる。飲んでも辛い。セックスをすることで辛さは解消するが、相手がいない場合なんかは、たった1人で欲情の疼きに耐えなければならん。幸久のヒートは、俺の下で、時には上で、乱れに乱れてたいてい1日でおさまっとったけど、俺のいないヒートは何日続くのか。

幸久は薬を飲んどらん。その必要がなかったからや。ヒートが俺にしか効かないこと。ヒートの時には俺がいたこと。お互いを貪り合う相手がいたことで、幸久はヒートの本当の辛さを知らん。

ヒートの兆候に気づきにくい幸久は、たいてい学校にいる間にその香りを薄く漂わせ始めた。幸久はアパートで俺の匂いに包まれて、俺の帰宅を待ち焦がれる。ひとりきりで熱く疼く体を鎮めるすべを知らん。幸久の記憶ではセックスの経験がないというのに、幸久の体は俺を受け入れた記憶を持っとる。耐えられるんやろか、辛くて苦しくて涙流して耐えとるんやろか。

俺のせいや、俺のせいで幸久が。俺がオメガに変えてもうたせいで!…幸久、早よ思い出してくれ。1人で辛い思いさせたないんよ。幸せにすると誓った男に何もしてやれない自分が不甲斐なくて、暗い部屋で膝を抱えた。
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