「魔物の討伐で拾われた少年――アイト・グレイモント」

(イェイソン・マヌエル・ジーン)

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第35章 宮殿へ戻る

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薄暗い森で子どもたちと訓練した後、彼らを最初に出会った場所まで送り届けてから、俺たちは宿屋へ戻った。
中はもう人で賑わっていた。夜ほど混んではいなかったが、それでも十~二十人くらいはいた。
その後、部屋に戻った。師匠と俺は腰に帯びていた剣の鞘のベルトを外した。
少しして、順番に風呂へ入り、終わった後は食事が出される場所へ降りていった。
まだ夕食の時間ではなかったが、少し話すために降りた。他の客たちもおしゃべりしていた。
さて、今日の夕食は何を頼もうかな……?
夜になるのを待たずにそのまま注文した。
別に重要な用事があるわけでもないし、ここは食事を出す場所なんだから遠慮する必要もない。
食べ終えて外に出た。通りを行き交う人々や宿屋に入っていく人たちを眺めていた。
俺たちが夜に外へ出るのは今回が初めてだった。
街は灯りが灯され、昼よりもさらに美しく見えた。
モンスターを倒して夜に帰ってきたことはあったが、街をゆっくり眺める余裕はなかった。
階段を降りなくても、この美しさを眺めることができた。
だからゆっくり歩き始めた。急いでいなかったので、じっくり眺めるためにゆっくり歩いた。
昼間は人があちこちを忙しく動き回る街が、夜になると静かで美しい街に変わる。
もし夜にこの街へ来たら、昼間何が起きているのか信じられないだろう。
まあ裕福な街で旅人が多いことは誰でも知っているとは思うけど。
歩いていたのは俺たちだけじゃなかった。家族、ベンチに座って話している人、ひとりで歩いている者など様々だった。
夜に外に人がいないわけじゃない。ただ、違うのだ。
昼は王のために戦う騎士でも、夜は家族を支える父親になる。
昼に戦場で危険なものを切り伏せる父親は、家に帰れば全く違う人になる。
それが昼と夜のファネアの違いだった。
あの子たちにまた会えたら良かったんだけどな。もっと楽しい散歩になったのに。今頃は家族と家にいるだろう。
歩いていると、一人の男が俺たちに近づいてきた。後ろに五人、合計六人いたが喋ったのはそいつだけだった。
そいつは友人が困っているから一枚でいいから硬貨を恵んでくれと頼んできた。
いやいや、俺たちはバカじゃない。
お前とその仲間の演技は……どう言えばいいかな……ひどすぎる。演技の才能が一ミリもないからやめて正直に言えよ。
「おい坊主、硬貨は持ってるか?」 「えっと……あ、はい。二枚ありますよ、師匠」 「よし」 「で、こいつらにいくら渡します?」 「そうだな、演技の才能ゼロだから一人二十発ずつ蹴りと拳でいいだろ」 「待て、何言ってんだお前ら!?」 「バカ、言ったろこれじゃ無理だって!でもバレたなら痛い目見せて荷物を奪うしかねぇ」 「坊主、さっさと片付けろ」 「今やろうとしてたところですよ、師匠」
そいつらは大した強さじゃなかったので一瞬で終わった。
社会のために一つ仕事をしたので、その分の報酬は回収しておいた。
大量の硬貨を持っていたので、たぶん詐欺や最悪殺しもしてたんだろう。だから全部貰った。
これは強盗じゃない。俺は王子で金持ちなんだからな、ははは。
そうやって俺にクソみたいな演技を見せた罪の代金を回収し、散歩を続けて街の美しさを眺めた。
今すぐ訓練したかったけど、この時間じゃリリアが許してくれなさそうだし、今は散歩中だ。
これ以上別のものに変えるわけにもいかない。
「アイト、何を考えているの?」 「宮殿を出てから今までの旅のことですよ。俺たちに起きた色々なことを」 「確かに色々あったわね、おじいちゃん」 「全部事実だ」 「宮殿にいた頃は知り合いか友達だったなら、今は家族って言ってもいいだろ」 「家族か」 「でも変なこと考えるなよ、坊主」 「変って何ですか師匠?」 「いや、いい、忘れろ」 「なんで笑ってるの、リリア?」 「べつに……ただね、おじいちゃん、そういう時本当にアイトのお父さんみたいなんだもの」 (血は繋がっていなくても、幼い頃に見つけて育てたのなら父親のようなものか) 「それで坊主、どうして急に宮殿を出た時のことを思い出した?」 「さあな。何か起きそうな気がしただけですよ」 「そういう言い方、お前の方が老人だろ」 「ははは、それ言わないでくださいよ、師匠」
そんな会話をしながら、満月に照らされたファネアの街を歩き続けた。
宮殿を二度目に出てから五年が経った。
獣と戦い、人間と戦い殺し、遺跡を探索し、強大な魔物とも戦った。
色々あった。
俺は今十二歳だ。背も伸びた。髪はまだ腰まである。強くなった。
五年という長い時間が経った今、宮殿へ戻る時が来た。
だから母上、父上、兄上、姉上――
もう少しだけ待っていてください。すぐに帰りますから。
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