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第39章 凍った滝
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静寂は、師匠の最後通告よりも重く、山頂の雪よりも冷たかった。
白い霜のように顔を青ざめさせた弓兵の盗賊は、負傷した脚を引きずりながら坂を下り、ねじれた松林の奥へと消えていった。
師匠も俺も、振り返ることはなかった。
「二十五人……」とリリアが手袋を整えながら呟く。「氷の罠は見事。でも、それは盗賊基準? それとも正式な基準の話?」
師匠は平らな岩の上に地図を広げ、風に飛ばされないよう四隅を石で押さえた。
風は強さを増しながら笛のような音を立てていた。
「ドラヴェン基準だ」
師匠はリリアの問いに視線を向けずに答えた。
「それが全てを変える」
節だらけの指が地図の東側に描かれた“凍結の滝”と書かれた地点を示す。
凍結の滝……どんな景色なんだろう。
見られたら、母さんや皆に自慢できるだろうな。
「“反響の洞窟”は偶然ここにあるわけではない。
滝が凍ることで巨大な共鳴空間になる。
足音も、囁き声も……全て増幅される」
これが最初の罠。
単なる氷の罠ではない――音の罠。
一歩踏み外しただけで、雷鳴のような音が洞窟全体に響き渡り、盗賊達を警戒させる。
そして恐らくは――
「守護者だな」
俺は理解して言った。
師匠は頷く。
「ドラヴェンは盗賊ではない。戦略家だ。地形を武器にする。そして伝承を盾にする」
リリアは地図を別方向から見て、指で別ルートをなぞった。
「じゃあ滝は避けて、北の崖を迂回するのは?」
「露出し過ぎだ」
師匠は即答した。
「風が横から叩くし、何キロ先からでも見える。それに……」
師匠は目を細めた。
「……あの見張りを捕まえたことで、ドラヴェンは布陣を変えるだろう。だが罠は動かさない。あまりにも精巧だ」
俺も考えた。
魔力が封じられた一年間で、俺は学んだ。観察、計画、思考。
もうただの突撃バカじゃない。
「師匠」
「音の罠って……物理音だけですか?」
二人が同時に俺を見る。
「ほう、何を考えてる?」
俺は息を吸った。
体の奥で風が応えた。そして……それとは別の冷たい何かも。
あの暗室で感じた、あの気配。
それは言わなかった。
「風は音を運ぶ。逆に、音を殺すこともできる」
「足が地面につく瞬間に下降気流を作れば……音は散って共鳴しない」
師匠は長く俺を見つめた。
その目は、師が弟子を見る目ではなかった。
策士が、別の策士を測る目だった。
「危険だ。誤差は許されん。魔力も喰う」
「一年分あります」
俺は嘘を言っていない。
封印されていた魔力は消えずに濃く濁り、熟成し、今は堰を切った川のように溢れている。
リリアが腕を掴む。
「本当に大丈夫なの、アイト? あのレベルの風魔法は――」
「大丈夫」
そう言った俺は、少し嘘をついた。
なぜなら、風だけじゃなかったからだ。
胸の奥の闇が、静かに蠢いていたからだ。
それはまた別の問題だ。
◆◇◆
三時間後、俺たちは“凍結の滝”の前に立っていた。
美しく、そして恐ろしい光景だった。
激流だった滝は時間ごと凍りつき、青白い氷のカーテンとなって五十メートル以上も垂れ下がっていた。
その奥にある黒い裂け目――それが“反響の洞窟”の入口。
風が氷の合間を鳴らし、不気味な幽霊の嘆きのような音を作る。
「ほら」
師匠が雪面にあるごく小さな凹みを示す。
「あれが氷板だ。一枚踏めば……全員に聞かれる」
俺は十二枚数えた。
十二歩。
十二の死。
「俺が行く」
「アイト……」
「信じろ、リリア」
目を閉じた。
耳で聞くのではなく、魔力で聞く。
風が語った。
流れ、渦、停滞。
そしてもっと奥に……
あの部屋と同じ静寂。
俺は目を開き、踏み出した。
同時に風を操る。
新しい風を生むのではなく、存在する風を導く。
足元に柔らかい下降流が絡みつき、音を潰す。
氷板を踏んだ。
音は……生まれなかった。
師匠が息を止めるのがわかった。
二歩目。
三歩目。
四歩目――
自然に馴染んでいく。
だが気づいた。
風を操る度に、胸の奥の“それ”が目を覚ます。
七歩目で、それは起きた。
自然の突風が横切り、下降流が乱れた。
一瞬、風魔法では間に合わなかった。
その瞬間、俺の足元に影が走った。
魔法を使った覚えはない。
だが“闇”が音を食った。
無音。完璧な無音。
リリアが目を見開いた。
魔術師の感覚で、何が起こったか理解したのだろう。
『今の……?』
口が音なくそう動いていた。
俺は小さく首を横に振った。
“あとで”と視線で返す。
師匠は何も言わなかった。
だが知っている目だった。
一年前から、ずっと。
十二歩目。
俺は洞窟入口に立った。
師匠たちも俺の足跡を踏んで渡る。
俺は風で音を消す補助を続けた。
二人が横に来た時、師匠は俺の肩に手を置いた。
褒め言葉ではなかった。
目が語っていた――
『変わったな。あとで話すぞ』
◆◇ 内部 ◆◇
洞窟に入ると、リリアは堪えきれず小声で囁く。
「アイト……今の、風だけじゃなかった。純粋な“闇”。でも禁忌じゃなくて……自然なやつ」
師匠が続けた。
「闇属性は禁忌ではない。珍しいだけだ。あまりに珍しいから……伝説扱いされる。闇は悪ではない」
師匠は俺の目を見る。
「闇とは“欠落”だ。“静寂”だ。“虚”だ。
火や水と同じ――生まれつきの属性だ」
俺は深呼吸した。
そして初めて口にした。
「始まったのは遺跡からです。あの暗室から。選んだわけじゃない。もう……呼吸と同じなんです」
リリアは頷く。
魔術師には理解できる感覚だ。
「風は?」と問われ、
「混ざる。風は動かす。闇は消す。
混ざると……“無音の移動”ができる。
ただ……制御が難しい」
師匠は口元をわずかに緩めた。
「闇は最も誤解された属性だ。
恐れられるのは悪だからではなく、理解されないからだ。
見えないものは怖い。
そしてお前は一年間、自分自身を恐れていた」
当たっていた。
封印中に闇が蠢くたび、腐っていく気がしていた。
「ドラヴェンは……気づけば、即座に判断するだろう」
「闇の使い手は、王によっては脅威。別の王にとっては宝だ」
洞窟内部は巨大な共鳴室だった。
三十メートルの天井には青い燐光を放つ氷の鍾乳石。
磨かれた地面が光を映す。
そして中央に――ドラヴェンの陣地。
盗賊ではなく軍。
円陣の幕舎、移動炉、地図台。
最大の幕舎からは煙。
見えないが……感じた。
ぬるりとした圧力。
油のような魔力。
ドラヴェン。
「二十三人……」リリアが数える。
「二人足りない。あの男が嘘ついたのか、それとも……」
「巡回か、死んだかだな」
師匠は淡々と言う。
幕舎の影から男達が忙しく動いていた。
武器を磨き、罠を整え、銀の護符を身につけていた。
「無音護符か……自分達の罠を避けるためだ。なるほどだ」
その時、幕舎から声が聞こえた。
叫びではない。通常の会話。
だが洞窟では隣にいるように響く。
『……守護者が先ほど騒いでいた。何かに刺激された』
別の声。若い。
『麓で戦った連中ですか、ドラヴェン様?』
ドラヴェン。
その名が洞窟に落ちた瞬間、空気が変わった。
『かもしれん。だが関係ない。生きていれば囮になる。死んでいれば……山が食うだけだ』
リリアが息を止めるのを感じた。
『それで、“心臓”は? 反応が強まっています。守護者が弱まっているのでは?』
『弱まってはいない』
ドラヴェンの声は奇妙に湿っていた。
『集中しているだけだ。侵入者を迎えるためにな』
全てが繋がった。
ドラヴェンは守護者を弱らせたいんじゃない。
怒らせたい。
注意を一点に向けさせたい。
俺達に。
その時――
山の奥底が吠えた。
先ほどの揺れとは違う。
原初の怒号。
洞窟全体が震え、氷の槍が落ちた。
ドラヴェンの兵は即座に動く。
混乱ではなく準備。
幕舎から出てきた男――
ドラヴェン。
小柄。黒髪に白髪混じり。
盗賊の鎧ではなく学者の衣。
白い毛皮の外套。
だが目だけが……底なしの計算。
彼は真っ直ぐこちらを見た。
見えるはずがない。
氷の柱も闇もある。
それでも――笑った。
『山へようこそ』
その声は洞窟全体に届いた。
『守護者がお待ちだ。そして私は……仕事がある』
兵に命じる。
『配置につけ。――幕を上げろ』
そして――光は消えた。
ゆっくりではなく、一瞬で。
青い燐光も、火も、護符も――
全て飲まれた。
闇が満ちた。
あの部屋の闇と同じ。
息を飲む闇。
音すら殺す闇。
そして胸の中の冷たさが――
喜んだ。
まるでこう言っているようだった。
――おかえり。
――ずっと待っていたぞ。
白い霜のように顔を青ざめさせた弓兵の盗賊は、負傷した脚を引きずりながら坂を下り、ねじれた松林の奥へと消えていった。
師匠も俺も、振り返ることはなかった。
「二十五人……」とリリアが手袋を整えながら呟く。「氷の罠は見事。でも、それは盗賊基準? それとも正式な基準の話?」
師匠は平らな岩の上に地図を広げ、風に飛ばされないよう四隅を石で押さえた。
風は強さを増しながら笛のような音を立てていた。
「ドラヴェン基準だ」
師匠はリリアの問いに視線を向けずに答えた。
「それが全てを変える」
節だらけの指が地図の東側に描かれた“凍結の滝”と書かれた地点を示す。
凍結の滝……どんな景色なんだろう。
見られたら、母さんや皆に自慢できるだろうな。
「“反響の洞窟”は偶然ここにあるわけではない。
滝が凍ることで巨大な共鳴空間になる。
足音も、囁き声も……全て増幅される」
これが最初の罠。
単なる氷の罠ではない――音の罠。
一歩踏み外しただけで、雷鳴のような音が洞窟全体に響き渡り、盗賊達を警戒させる。
そして恐らくは――
「守護者だな」
俺は理解して言った。
師匠は頷く。
「ドラヴェンは盗賊ではない。戦略家だ。地形を武器にする。そして伝承を盾にする」
リリアは地図を別方向から見て、指で別ルートをなぞった。
「じゃあ滝は避けて、北の崖を迂回するのは?」
「露出し過ぎだ」
師匠は即答した。
「風が横から叩くし、何キロ先からでも見える。それに……」
師匠は目を細めた。
「……あの見張りを捕まえたことで、ドラヴェンは布陣を変えるだろう。だが罠は動かさない。あまりにも精巧だ」
俺も考えた。
魔力が封じられた一年間で、俺は学んだ。観察、計画、思考。
もうただの突撃バカじゃない。
「師匠」
「音の罠って……物理音だけですか?」
二人が同時に俺を見る。
「ほう、何を考えてる?」
俺は息を吸った。
体の奥で風が応えた。そして……それとは別の冷たい何かも。
あの暗室で感じた、あの気配。
それは言わなかった。
「風は音を運ぶ。逆に、音を殺すこともできる」
「足が地面につく瞬間に下降気流を作れば……音は散って共鳴しない」
師匠は長く俺を見つめた。
その目は、師が弟子を見る目ではなかった。
策士が、別の策士を測る目だった。
「危険だ。誤差は許されん。魔力も喰う」
「一年分あります」
俺は嘘を言っていない。
封印されていた魔力は消えずに濃く濁り、熟成し、今は堰を切った川のように溢れている。
リリアが腕を掴む。
「本当に大丈夫なの、アイト? あのレベルの風魔法は――」
「大丈夫」
そう言った俺は、少し嘘をついた。
なぜなら、風だけじゃなかったからだ。
胸の奥の闇が、静かに蠢いていたからだ。
それはまた別の問題だ。
◆◇◆
三時間後、俺たちは“凍結の滝”の前に立っていた。
美しく、そして恐ろしい光景だった。
激流だった滝は時間ごと凍りつき、青白い氷のカーテンとなって五十メートル以上も垂れ下がっていた。
その奥にある黒い裂け目――それが“反響の洞窟”の入口。
風が氷の合間を鳴らし、不気味な幽霊の嘆きのような音を作る。
「ほら」
師匠が雪面にあるごく小さな凹みを示す。
「あれが氷板だ。一枚踏めば……全員に聞かれる」
俺は十二枚数えた。
十二歩。
十二の死。
「俺が行く」
「アイト……」
「信じろ、リリア」
目を閉じた。
耳で聞くのではなく、魔力で聞く。
風が語った。
流れ、渦、停滞。
そしてもっと奥に……
あの部屋と同じ静寂。
俺は目を開き、踏み出した。
同時に風を操る。
新しい風を生むのではなく、存在する風を導く。
足元に柔らかい下降流が絡みつき、音を潰す。
氷板を踏んだ。
音は……生まれなかった。
師匠が息を止めるのがわかった。
二歩目。
三歩目。
四歩目――
自然に馴染んでいく。
だが気づいた。
風を操る度に、胸の奥の“それ”が目を覚ます。
七歩目で、それは起きた。
自然の突風が横切り、下降流が乱れた。
一瞬、風魔法では間に合わなかった。
その瞬間、俺の足元に影が走った。
魔法を使った覚えはない。
だが“闇”が音を食った。
無音。完璧な無音。
リリアが目を見開いた。
魔術師の感覚で、何が起こったか理解したのだろう。
『今の……?』
口が音なくそう動いていた。
俺は小さく首を横に振った。
“あとで”と視線で返す。
師匠は何も言わなかった。
だが知っている目だった。
一年前から、ずっと。
十二歩目。
俺は洞窟入口に立った。
師匠たちも俺の足跡を踏んで渡る。
俺は風で音を消す補助を続けた。
二人が横に来た時、師匠は俺の肩に手を置いた。
褒め言葉ではなかった。
目が語っていた――
『変わったな。あとで話すぞ』
◆◇ 内部 ◆◇
洞窟に入ると、リリアは堪えきれず小声で囁く。
「アイト……今の、風だけじゃなかった。純粋な“闇”。でも禁忌じゃなくて……自然なやつ」
師匠が続けた。
「闇属性は禁忌ではない。珍しいだけだ。あまりに珍しいから……伝説扱いされる。闇は悪ではない」
師匠は俺の目を見る。
「闇とは“欠落”だ。“静寂”だ。“虚”だ。
火や水と同じ――生まれつきの属性だ」
俺は深呼吸した。
そして初めて口にした。
「始まったのは遺跡からです。あの暗室から。選んだわけじゃない。もう……呼吸と同じなんです」
リリアは頷く。
魔術師には理解できる感覚だ。
「風は?」と問われ、
「混ざる。風は動かす。闇は消す。
混ざると……“無音の移動”ができる。
ただ……制御が難しい」
師匠は口元をわずかに緩めた。
「闇は最も誤解された属性だ。
恐れられるのは悪だからではなく、理解されないからだ。
見えないものは怖い。
そしてお前は一年間、自分自身を恐れていた」
当たっていた。
封印中に闇が蠢くたび、腐っていく気がしていた。
「ドラヴェンは……気づけば、即座に判断するだろう」
「闇の使い手は、王によっては脅威。別の王にとっては宝だ」
洞窟内部は巨大な共鳴室だった。
三十メートルの天井には青い燐光を放つ氷の鍾乳石。
磨かれた地面が光を映す。
そして中央に――ドラヴェンの陣地。
盗賊ではなく軍。
円陣の幕舎、移動炉、地図台。
最大の幕舎からは煙。
見えないが……感じた。
ぬるりとした圧力。
油のような魔力。
ドラヴェン。
「二十三人……」リリアが数える。
「二人足りない。あの男が嘘ついたのか、それとも……」
「巡回か、死んだかだな」
師匠は淡々と言う。
幕舎の影から男達が忙しく動いていた。
武器を磨き、罠を整え、銀の護符を身につけていた。
「無音護符か……自分達の罠を避けるためだ。なるほどだ」
その時、幕舎から声が聞こえた。
叫びではない。通常の会話。
だが洞窟では隣にいるように響く。
『……守護者が先ほど騒いでいた。何かに刺激された』
別の声。若い。
『麓で戦った連中ですか、ドラヴェン様?』
ドラヴェン。
その名が洞窟に落ちた瞬間、空気が変わった。
『かもしれん。だが関係ない。生きていれば囮になる。死んでいれば……山が食うだけだ』
リリアが息を止めるのを感じた。
『それで、“心臓”は? 反応が強まっています。守護者が弱まっているのでは?』
『弱まってはいない』
ドラヴェンの声は奇妙に湿っていた。
『集中しているだけだ。侵入者を迎えるためにな』
全てが繋がった。
ドラヴェンは守護者を弱らせたいんじゃない。
怒らせたい。
注意を一点に向けさせたい。
俺達に。
その時――
山の奥底が吠えた。
先ほどの揺れとは違う。
原初の怒号。
洞窟全体が震え、氷の槍が落ちた。
ドラヴェンの兵は即座に動く。
混乱ではなく準備。
幕舎から出てきた男――
ドラヴェン。
小柄。黒髪に白髪混じり。
盗賊の鎧ではなく学者の衣。
白い毛皮の外套。
だが目だけが……底なしの計算。
彼は真っ直ぐこちらを見た。
見えるはずがない。
氷の柱も闇もある。
それでも――笑った。
『山へようこそ』
その声は洞窟全体に届いた。
『守護者がお待ちだ。そして私は……仕事がある』
兵に命じる。
『配置につけ。――幕を上げろ』
そして――光は消えた。
ゆっくりではなく、一瞬で。
青い燐光も、火も、護符も――
全て飲まれた。
闇が満ちた。
あの部屋の闇と同じ。
息を飲む闇。
音すら殺す闇。
そして胸の中の冷たさが――
喜んだ。
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