わがままな婚約者はお嫌いらしいので婚約解消を提案してあげたのに、反応が思っていたのと違うんですが

水谷繭

文字の大きさ
46 / 67
9.そんなことよりテスト勉強

しおりを挟む
 その後、私は教科書とノートを取り出して、アベル様とテスト勉強に励んだ。年は私のほうが一歳上だけれど、学力は比べるまでもなくアベル様の方が上なので、基本的に私が教わる形で進んだ。

「うー、疲れましたわ……」

「リリアーヌ、この章が終わるまであと少しだよ。がんばって!」

「もう無理ですわ……。頭がぐるぐるして何も入ってきません!」

「じゃあ、このページが終わったら今日の分は終わりにしようか。もう少しだけがんばろう?」

「このページだけ……。それならがんばりますわ……!」

 私はアベル様に教わりながらへろへろになって問題を解く。

 そうしてようやく今日予定していた分を終えた。


「終わりましたわ!! やってやりましたわ、私!!」

「すごいよ、リリィ。よくやったね! お疲れ様!!」

 感動に打ち震える私に向かって、アベル様はぱちぱち拍手してくる。幼児扱いされている気がするけれど、気にしないほうがいいのだろうか。

「リリィ、図書館は終わりにして、街のほうに出ようか。カフェでもドレスショップでも、リリィの好きなところ行こうよ」

「両方行きたいですわ!」

 アベル様の提案に勢いよく答える。一刻も早く教科書の山から離れて街に行きたい。

 アベル様は笑いながらうなずいて、帰り支度を始める。


 すると、後ろから突然わざとらしいくらい甲高い声が聞こえてきた。

「あれっ。リリアーヌ様とアベル様? お二人も図書館にいらしてたんですね!」

 振り返ると、そこには制服姿のステラがいた。

「ステラ様……!」

「お二人でお勉強なさってたんですか? 本当に仲がよろしいのですね!」

 ステラは笑みを浮かべながら言う。

 アベル様は得意げな顔になり、まぁね、なんて言っている。私はその様子を微妙な気持ちで眺めた。


 するとステラはアベル様に近づいて、そっとその腕を掴んだ。

「アベル様、ご迷惑でなければ私もご一緒してはいけませんか? お休みなので王立図書館まで来てみたはいいものの、初めて来たので勝手がよくわからなくて……」

「え?」

 急に腕を掴まれたアベル様は、ステラに向かって困惑した目を向ける。

「ええと……、悪いんだけど、僕たち今日はもう帰る予定なんだ。街の方へ行こうかと話してて」

「街に行くんですか? それなら私もご一緒してはいけませんか?」

「えー……? ごめん、今日はリリアーヌと二人で出かける予定だから……」

 アベル様は困惑顔のまま答える。

 しかしステラは断られてもめげず、アベル様の腕に触れたまま、「どうしてもだめですか?」「私、王都に越してきたばかりなので詳しい方に案内してもらいたいんです!」なんて詰め寄っている。

 私はその光景を見て少々イラついてしまった。

(なんなんですの、この子。しつこくありません?)

 アベル様に甘い声で話しかけているのも、馴れ馴れしく腕を掴んでいるのも、なんだか無性に腹が立つ。

 無意識のうちに眉間に皺が寄っていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

王子の片思いに気付いたので、悪役令嬢になって婚約破棄に協力しようとしてるのに、なぜ執着するんですか?

いりん
恋愛
婚約者の王子が好きだったが、 たまたま付き人と、 「婚約者のことが好きなわけじゃないー 王族なんて恋愛して結婚なんてできないだろう」 と話ながら切なそうに聖女を見つめている王子を見て、王子の片思いに気付いた。 私が悪役令嬢になれば、聖女と王子は結婚できるはず!と婚約破棄を目指してたのに…、 「僕と婚約破棄して、あいつと結婚するつもり?許さないよ」 なんで執着するんてすか?? 策略家王子×天然令嬢の両片思いストーリー 基本的に悪い人が出てこないほのぼのした話です。 他小説サイトにも投稿しています。

婚約者が実は私を嫌っていたので、全て忘れる事にしました

Kouei
恋愛
私セイシェル・メルハーフェンは、 あこがれていたルパート・プレトリア伯爵令息と婚約できて幸せだった。 ルパート様も私に歩み寄ろうとして下さっている。 けれど私は聞いてしまった。ルパート様の本音を。 『我慢するしかない』 『彼女といると疲れる』 私はルパート様に嫌われていたの? 本当は厭わしく思っていたの? だから私は決めました。 あなたを忘れようと… ※この作品は、他投稿サイトにも公開しています。

婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。

黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」 豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。 しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

【完結】貴方をお慕いしておりました。婚約を解消してください。

暮田呉子
恋愛
公爵家の次男であるエルドは、伯爵家の次女リアーナと婚約していた。 リアーナは何かとエルドを苛立たせ、ある日「二度と顔を見せるな」と言ってしまった。 その翌日、二人の婚約は解消されることになった。 急な展開に困惑したエルドはリアーナに会おうとするが……。

婚約破棄に、承知いたしました。と返したら爆笑されました。

パリパリかぷちーの
恋愛
公爵令嬢カルルは、ある夜会で王太子ジェラールから婚約破棄を言い渡される。しかし、カルルは泣くどころか、これまで立て替えていた経費や労働対価の「莫大な請求書」をその場で叩きつけた。

「殿下、人違いです」どうぞヒロインのところへ行って下さい

みおな
恋愛
 私が転生したのは、乙女ゲームを元にした人気のライトノベルの世界でした。  しかも、定番の悪役令嬢。 いえ、別にざまあされるヒロインにはなりたくないですし、婚約者のいる相手にすり寄るビッチなヒロインにもなりたくないです。  ですから婚約者の王子様。 私はいつでも婚約破棄を受け入れますので、どうぞヒロインのところに行って下さい。

処理中です...