6 / 15
3.ヒロインが来た
①
しおりを挟む
「フェリシア!」
休み時間になると、僕はフェリシアの席まで駆け寄った。フェリシアは心なしか青白い顔でこちらを見る。
「エルランド様……」
「まさか本当に当たるなんて!君は予知能力でも持っているのか!?」
興奮気味に尋ねると、フェリシアは少し寂しそうに笑った。僕ははっとして付け足す。
「転校生が来るってことと、名前のことに関してだけね。僕は彼女を見ても何も思わなかったよ」
「それはまだ会ったばかりだからですわ」
フェリシアは苦笑いでそう言う。しかし、僕は納得がいかない。確かに可愛らしい人だけれど、この先僕がフェリシアを捨てて彼女を選ぶとは到底信じられない。
「それとエルランド様。あまりその話は大きな声で言わないでくださいね」
「あ、ああ。すまない」
僕は慌てて謝った。確かに、こんな不思議な話を大声でしていたら怪しまれるに決まっている。
「フェリシア。じゃあ、人目を気にせず話せるところに行こう。授業が始まるまでまだ時間もあるし」
「え?ええ、構いませんけど……。クリスティーナと話さなくていいんですの?皆さん、彼女の周りに集まっていますわよ」
フェリシアは視線を横に向ける。クリスティーナの机の周りには早速人だかりができていた。珍しい転校生に皆興味津々のようで、矢継ぎ早に質問をしている。
「いや、いいよ。彼女と話したい人はたくさんいるみたいだし」
「他の方に取られてしまいますわよ?」
「何を言っているの?僕はクリスティーナじゃなく、フェリシアと話したいんだ」
僕が思ったままに言うと、フェリシアは目を見開いた。そして顔を赤くして俯いてしまう。フェリシアはそんな言い方はずるいわ、とか、こんなの今だけなんだからだとか、ぶつぶつ呟いていた。可愛らしい反応に胸がきゅんとなる。
堂々とじゃれついてくるフェリシアも可愛かったけれど、ちょっと自信なさげなフェリシアも最高に愛らしい。いや、早く僕がフェリシアを愛していることを信じて欲しくはあるのだけれど。
「わかりました。では、行きましょうか」
「ああ、行こう」
僕はフェリシアを庭まで連れだした。
花壇に囲まれたベンチに腰掛けながら、フェリシアは口を開く。
「エルランド様、でもこれでわかってもらえましたよね。私が言っていたことが夢ではなく、事実だったと」
フェリシアの声は真剣そのものだ。僕も真面目な顔で言う。
「ああ。君の言ったことが正しかったようだ。けれど、僕がクリスティーナを好きになって婚約破棄を言い渡すことなんて絶対にないよ」
「けれど、ゲームではそうなっているのです……!」
フェリシアは必死の様子で言う。本当にそのゲームとやらは一体なんなんだろう。予知夢の一種なのだろうか……。
「フェリシア!」
「きゃっ」
僕はフェリシアの手を両手で握りしめ、彼女の目を見つめた。フェリシアは頬を赤らめてあわあわしながらこちらを見ている。
「君がとても不安に思っていることはわかった。全て今までの僕の曖昧な態度が原因だ。君を不安にさせないために、これからは四六時中君と一緒にいることにする」
「そ、そこまでしていただかなくても……。本当にエルランド様のせいではないのですわ!」
「じゃあどうしたら君は元気を取り戻してくれるんだい?そうだ。僕はクリスティーナと一切関わらないようにしよう。それなら好きになりようがないだろ」
名案を思い付き、弾んだ声でフェリシアに告げる。これなら彼女を心配させずに済むのではないだろうか。同じクラスだから多少の会話は発生してしまうかもしれないが、必要最低限以上の話は一切しないように気を付ければいいのだ。
フェリシアは青ざめた顔でふるふる首を横に振る。
「いいえ、そんなことしていただかなくても。私はエルランド様とクリスティーナの仲を引き裂きたいわけではないのです。エルランド様の気持ちが変わったら、潔く身を引くつもりなのですわ」
僕とクリスティーナの仲って、フェリシアは一体何を言ってるんだろう。つい数分前に会ったばかりで一言も口を聞いていないと言うのに。
「エルランド様。今にわかります。そうだ、同じクラスのハヴェル様やダーヴィト様、貴方の二人のお兄様をよく見ていてください」
フェリシアは真剣な顔で言った。
休み時間になると、僕はフェリシアの席まで駆け寄った。フェリシアは心なしか青白い顔でこちらを見る。
「エルランド様……」
「まさか本当に当たるなんて!君は予知能力でも持っているのか!?」
興奮気味に尋ねると、フェリシアは少し寂しそうに笑った。僕ははっとして付け足す。
「転校生が来るってことと、名前のことに関してだけね。僕は彼女を見ても何も思わなかったよ」
「それはまだ会ったばかりだからですわ」
フェリシアは苦笑いでそう言う。しかし、僕は納得がいかない。確かに可愛らしい人だけれど、この先僕がフェリシアを捨てて彼女を選ぶとは到底信じられない。
「それとエルランド様。あまりその話は大きな声で言わないでくださいね」
「あ、ああ。すまない」
僕は慌てて謝った。確かに、こんな不思議な話を大声でしていたら怪しまれるに決まっている。
「フェリシア。じゃあ、人目を気にせず話せるところに行こう。授業が始まるまでまだ時間もあるし」
「え?ええ、構いませんけど……。クリスティーナと話さなくていいんですの?皆さん、彼女の周りに集まっていますわよ」
フェリシアは視線を横に向ける。クリスティーナの机の周りには早速人だかりができていた。珍しい転校生に皆興味津々のようで、矢継ぎ早に質問をしている。
「いや、いいよ。彼女と話したい人はたくさんいるみたいだし」
「他の方に取られてしまいますわよ?」
「何を言っているの?僕はクリスティーナじゃなく、フェリシアと話したいんだ」
僕が思ったままに言うと、フェリシアは目を見開いた。そして顔を赤くして俯いてしまう。フェリシアはそんな言い方はずるいわ、とか、こんなの今だけなんだからだとか、ぶつぶつ呟いていた。可愛らしい反応に胸がきゅんとなる。
堂々とじゃれついてくるフェリシアも可愛かったけれど、ちょっと自信なさげなフェリシアも最高に愛らしい。いや、早く僕がフェリシアを愛していることを信じて欲しくはあるのだけれど。
「わかりました。では、行きましょうか」
「ああ、行こう」
僕はフェリシアを庭まで連れだした。
花壇に囲まれたベンチに腰掛けながら、フェリシアは口を開く。
「エルランド様、でもこれでわかってもらえましたよね。私が言っていたことが夢ではなく、事実だったと」
フェリシアの声は真剣そのものだ。僕も真面目な顔で言う。
「ああ。君の言ったことが正しかったようだ。けれど、僕がクリスティーナを好きになって婚約破棄を言い渡すことなんて絶対にないよ」
「けれど、ゲームではそうなっているのです……!」
フェリシアは必死の様子で言う。本当にそのゲームとやらは一体なんなんだろう。予知夢の一種なのだろうか……。
「フェリシア!」
「きゃっ」
僕はフェリシアの手を両手で握りしめ、彼女の目を見つめた。フェリシアは頬を赤らめてあわあわしながらこちらを見ている。
「君がとても不安に思っていることはわかった。全て今までの僕の曖昧な態度が原因だ。君を不安にさせないために、これからは四六時中君と一緒にいることにする」
「そ、そこまでしていただかなくても……。本当にエルランド様のせいではないのですわ!」
「じゃあどうしたら君は元気を取り戻してくれるんだい?そうだ。僕はクリスティーナと一切関わらないようにしよう。それなら好きになりようがないだろ」
名案を思い付き、弾んだ声でフェリシアに告げる。これなら彼女を心配させずに済むのではないだろうか。同じクラスだから多少の会話は発生してしまうかもしれないが、必要最低限以上の話は一切しないように気を付ければいいのだ。
フェリシアは青ざめた顔でふるふる首を横に振る。
「いいえ、そんなことしていただかなくても。私はエルランド様とクリスティーナの仲を引き裂きたいわけではないのです。エルランド様の気持ちが変わったら、潔く身を引くつもりなのですわ」
僕とクリスティーナの仲って、フェリシアは一体何を言ってるんだろう。つい数分前に会ったばかりで一言も口を聞いていないと言うのに。
「エルランド様。今にわかります。そうだ、同じクラスのハヴェル様やダーヴィト様、貴方の二人のお兄様をよく見ていてください」
フェリシアは真剣な顔で言った。
214
あなたにおすすめの小説
【完結】私を捨てた皆様、どうぞその選択を後悔なさってください 〜婚約破棄された令嬢の、遅すぎる謝罪はお断りです〜
くろねこ
恋愛
王太子の婚約者として尽くしてきた公爵令嬢エリシアは、ある日突然、身に覚えのない罪で断罪され婚約破棄を言い渡される。
味方だと思っていた家族も友人も、誰一人として彼女を庇わなかった。
――けれど、彼らは知らなかった。
彼女こそが国を支えていた“本当の功労者”だったことを。
すべてを失ったはずの令嬢が選んだのは、
復讐ではなく「関わらない」という選択。
だがその選択こそが、彼らにとって最も残酷な“ざまぁ”の始まりだった。
で、お前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか?
Debby
恋愛
ヴェルトが友人からの手紙を手に辺境伯令嬢であるレィディアンスの元を訪れたのは、その手紙に「詳細は彼女に聞け」と書いてあったからだ。
簡単にいうと、手紙の内容は「学園で問題を起こした平民──エボニーを妻として引き取ってくれ」というものだった。
一方その話を聞いてしまった伯爵令嬢のオリーブは動揺していた。
ヴェルトとは静かに愛を育んできた。そんな自分を差し置いて、言われるがまま平民を妻に迎えてしまうのだろうか。
そんなオリーブの気持ちを知るはずもないエボニーは、辺境伯邸で行儀見習いをすることになる。
オリーブは何とかしてヴェルトを取り戻そうと画策し、そのことを咎められてしまう。もう後は無い。
オリーブが最後の望みをかけてヴェルトに自分を選んで欲しいと懇願する中、レィディアンスが静かに口を開いた。
「で、そろそろお前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか」
「はい?」
ヴェルトは自分が何を言われたのか全く理解が出来なかった。
*--*--*
覗いてくださりありがとうございます。(* ᴗ ᴗ)⁾⁾
★全31話7時19時更新で、全話予約投稿済みです。
★★「このお話だけ読んでいただいてもOKです!」という前提のもと↓↓↓
このお話は独立した一つのお話ですが、「で。」シリーズのサイドストーリーでもあり、第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」の「エボニーその後」でもあります(あるいは「最終話」のその後)。
第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」
第二弾「で、あなたが私に嫌がらせをする理由を伺っても?」
第三弾「で、あなたが彼に嫌がらせをする理由をお話しいただいても?」
どれも女性向けHOTランキングに入り、特に第二弾はHOT一位になることが出来ました!(*´▽`人)アリガトウ
もしよかったら宜しくお願いしますね!
本日、私の妹のことが好きな婚約者と結婚いたしました
音芽 心
恋愛
私は今日、幼い頃から大好きだった人と結婚式を挙げる。
____私の妹のことが昔から好きな婚約者と、だ。
だから私は決めている。
この白い結婚を一年で終わらせて、彼を解放してあげることを。
彼の気持ちを直接聞いたことはないけれど……きっとその方が、彼も喜ぶだろうから。
……これは、恋を諦めていた令嬢が、本当の幸せを掴むまでの物語。
【改稿版】婚約破棄は私から
どくりんご
恋愛
ある日、婚約者である殿下が妹へ愛を語っている所を目撃したニナ。ここが乙女ゲームの世界であり、自分が悪役令嬢、妹がヒロインだということを知っていたけれど、好きな人が妹に愛を語る所を見ていると流石にショックを受けた。
乙女ゲームである死亡エンドは絶対に嫌だし、殿下から婚約破棄を告げられるのも嫌だ。そんな辛いことは耐えられない!
婚約破棄は私から!
※大幅な修正が入っています。登場人物の立ち位置変更など。
◆3/20 恋愛ランキング、人気ランキング7位
◆3/20 HOT6位
短編&拙い私の作品でここまでいけるなんて…!読んでくれた皆さん、感謝感激雨あられです〜!!(´;ω;`)
悪役令嬢の私が転校生をイジメたといわれて断罪されそうです
白雨あめ
恋愛
「君との婚約を破棄する! この学園から去れ!」
国の第一王子であるシルヴァの婚約者である伯爵令嬢アリン。彼女は転校生をイジメたという理由から、突然王子に婚約破棄を告げられてしまう。
目の前が真っ暗になり、立ち尽くす彼女の傍に歩み寄ってきたのは王子の側近、公爵令息クリスだった。
※2話完結。
【完結】断罪された悪役令嬢は、二度目は復讐に生きる
くろねこ
恋愛
公爵令嬢リリアーネ・アルフェルトは、
聖女と王国第一王子に嵌められ、
悪女として公開断罪され、処刑された。
弁明は許されず、真実を知る者は沈黙し、
彼女は石を投げられ、罵られ、
罪人として命を奪われた――はずだった。
しかし、彼女は教会の地下で目を覚ます。
死を代償に得たのは.........
赦しは選ばない。
和解もしない。
名乗るつもりもない。
彼女が選んだのは、
自分を裁いた者たちを、
同じ法と断罪で裁き返すこと。
最初に落ちるのは、
彼女を裏切った小さな歯車。
次に崩れるのは、
聖女の“奇跡”と信仰。
やがて王子は、
自ら築いた裁判台へと引きずり出される。
かつて正義を振りかざした者たちは、
自分が断罪される未来を想像すらしていなかった。
悪女は表舞台に立たない。
だがその裏側で、
嘘は暴かれ、
罪は積み上がり、
裁きは逃げ場なく迫っていく。
これは、
一度死んだ悪女が、
“ざまぁ”のために暴れる物語ではない。
――逃げ場のない断罪を、
一人ずつ成立させていく物語だ。
手作りお菓子をゴミ箱に捨てられた私は、自棄を起こしてとんでもない相手と婚約したのですが、私も含めたみんな変になっていたようです
珠宮さくら
恋愛
アンゼリカ・クリットの生まれた国には、不思議な習慣があった。だから、アンゼリカは必死になって頑張って馴染もうとした。
でも、アンゼリカではそれが難しすぎた。それでも、頑張り続けた結果、みんなに喜ばれる才能を開花させたはずなのにどうにもおかしな方向に突き進むことになった。
加えて好きになった人が最低野郎だとわかり、自棄を起こして婚約した子息も最低だったりとアンゼリカの周りは、最悪が溢れていたようだ。
婚約破棄の、その後は
冬野月子
恋愛
ここが前世で遊んだ乙女ゲームの世界だと思い出したのは、婚約破棄された時だった。
身体も心も傷ついたルーチェは国を出て行くが…
全九話。
「小説家になろう」にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる