21 / 101
2度目
しおりを挟む
第二王子がいるかと思うと、あの広間に戻りたくない。
でも、ずっと廊下にいるわけにもいかない。
まあ、王女様のあたりに、王族の方々もいるから、そこらへんに近づかなければ大丈夫だろうけれど……。
重い足取りで歩き始めると、ルーファスが真剣な声で私に言った。
「ごめんね、ララ。今日は、ララの近くにいられないんだ。本当はこのままふたりで一緒に帰りたいところだけど、そういうわけにはいかなくて……。ララ、広間に戻ったら、念のため、ご両親か、アイリスとグレンと一緒にいて。ひとりにはならないで。それと、ジャナ国の王女には絶対に近寄らないで」
「お父様にもアイリスにも同じこと言われた」
「さすが、勘のいいふたりだね。あの王女、純血の竜の獣人だから、特種な力をもってるのは間違いない。どんな能力があるのか、正直、僕もまだわからないんだ。だから、用心のためにも、ララには近づいてほしくない」
「うん、わかった。心配してくれてありがとう。気をつける。……ルーファス、無理しないでね」
「はあ、ララと話せたら、この一週間の疲れが一瞬で癒された……。でも、この面倒な仕事も今日で終わりだから、ご褒美に、ララとどっか遊びに行きたい。一緒に行ってくれる?」
ルーファスが私の顔をのぞきこんできた。
私に頼みごとをするときの、小さい頃のルーファスを思い出して、思わず、顔がゆるむ。
こんな天使みたいな顔でお願いされたら断れないもんね!
「うん、もちろん! じゃあ、ピクニックは? ルーファスの好きな食べ物をいっぱいつめたお弁当を持って一緒に行こうよ」
と言ったら、ルーファスがとろけそうな笑顔で、うなずいた。
「楽しみにしてる、ララ」
「私も!」
あ、そうだ! ピスタチオのマカロンもいっぱい持っていこう!
ルーファス、好きだもんね。
アイリスとグレンも誘って、湖もいいなあ。
なんて考え出すと、わくわくしてきた。
第二王子のせいで重苦しかった気分が、一気に楽になった。
廊下を話しながら歩いていたら、あっというまにパーティーが行われている広間の扉が見えてきた。
ルーファスの指示で、私たちは別々に広間に戻ることになった。
まず先に私がひとりで広間に入り、少し間をあけて、ルーファスが別の離れた扉から戻るみたい。
「さすがに用心しすぎじゃない?」
「ララに関係することなら、用心しすぎることなんてないよ。だから、僕がさっき言ったこと、絶対守ってね、ララ」
いつも以上に、過保護なルーファスになっているから、これ以上心配させないよう、おとなしく言われた通りにする。
ということで、廊下でルーファスと別れ、他の人に紛れるようにして、先に私だけが広間に戻った。
が、広間に入った瞬間、ぎょっとして、思わず足がとまった。
というのも、何故か、王女様と第二王子が扉のすぐ近くに立ち、ふたりで話していたから。
王女様は広間でも奥のほうにいたはず。
王族である第二王子も。
近寄ってはいけないとされている王女様と、絶対に近寄りたくない第二王子。
私にとったら、最悪のふたりが至近距離にいる……。
なんで!?
とりあえず、目立たないように、私はさっと頭をさげて、他の人の後ろに隠れるようにして、さーっと通りすぎていこうとしたら、「そこのあなた、ちょっと待って」と声をかけられた。
すごい威厳のある声。
王女様だ……。
が、さすがに私じゃないよね?
うん、そう思いたい……。
ということで、前の人たちにまぎれるようにして、頭を下げたまま歩き続けようとしたら、「マイリ侯爵令嬢。そなたのことだ」と、名指しで呼ばれた。
しかも、この声って……また、第二王子!?
私になんの恨みがあるの? っていうか、恨みがあるのは、私のほうなんだけど!
本当に最悪の日だわ……。
仮にも王族に名指しされた以上、立ち止まらざるを得ない。
「一体、なにごと?」という感じで、まわりの人たちの視線が一気に私に集中する。
そして、近づいてくるふたりの足音。
なんで、こっちへくるの?
王女様に近づかないよう、みんなに注意されていたけれど、近づいてくるのは避けられない。
なんて考えていたら、王女様と思われる足がもう目の前にあった。
「顔をあげて」
と、言われたら、これまた、あげないわけにはいかない。
しかも、このパターン、今日、2度目なんだけど……。
しぶしぶ顔をあげる。
ちびっこの私を見下ろすように立っている王女様。
あまりの眼光の鋭さに、ぞくりとした。
なんだか、穴があくほど見られてるよね、私……。
でも、ずっと廊下にいるわけにもいかない。
まあ、王女様のあたりに、王族の方々もいるから、そこらへんに近づかなければ大丈夫だろうけれど……。
重い足取りで歩き始めると、ルーファスが真剣な声で私に言った。
「ごめんね、ララ。今日は、ララの近くにいられないんだ。本当はこのままふたりで一緒に帰りたいところだけど、そういうわけにはいかなくて……。ララ、広間に戻ったら、念のため、ご両親か、アイリスとグレンと一緒にいて。ひとりにはならないで。それと、ジャナ国の王女には絶対に近寄らないで」
「お父様にもアイリスにも同じこと言われた」
「さすが、勘のいいふたりだね。あの王女、純血の竜の獣人だから、特種な力をもってるのは間違いない。どんな能力があるのか、正直、僕もまだわからないんだ。だから、用心のためにも、ララには近づいてほしくない」
「うん、わかった。心配してくれてありがとう。気をつける。……ルーファス、無理しないでね」
「はあ、ララと話せたら、この一週間の疲れが一瞬で癒された……。でも、この面倒な仕事も今日で終わりだから、ご褒美に、ララとどっか遊びに行きたい。一緒に行ってくれる?」
ルーファスが私の顔をのぞきこんできた。
私に頼みごとをするときの、小さい頃のルーファスを思い出して、思わず、顔がゆるむ。
こんな天使みたいな顔でお願いされたら断れないもんね!
「うん、もちろん! じゃあ、ピクニックは? ルーファスの好きな食べ物をいっぱいつめたお弁当を持って一緒に行こうよ」
と言ったら、ルーファスがとろけそうな笑顔で、うなずいた。
「楽しみにしてる、ララ」
「私も!」
あ、そうだ! ピスタチオのマカロンもいっぱい持っていこう!
ルーファス、好きだもんね。
アイリスとグレンも誘って、湖もいいなあ。
なんて考え出すと、わくわくしてきた。
第二王子のせいで重苦しかった気分が、一気に楽になった。
廊下を話しながら歩いていたら、あっというまにパーティーが行われている広間の扉が見えてきた。
ルーファスの指示で、私たちは別々に広間に戻ることになった。
まず先に私がひとりで広間に入り、少し間をあけて、ルーファスが別の離れた扉から戻るみたい。
「さすがに用心しすぎじゃない?」
「ララに関係することなら、用心しすぎることなんてないよ。だから、僕がさっき言ったこと、絶対守ってね、ララ」
いつも以上に、過保護なルーファスになっているから、これ以上心配させないよう、おとなしく言われた通りにする。
ということで、廊下でルーファスと別れ、他の人に紛れるようにして、先に私だけが広間に戻った。
が、広間に入った瞬間、ぎょっとして、思わず足がとまった。
というのも、何故か、王女様と第二王子が扉のすぐ近くに立ち、ふたりで話していたから。
王女様は広間でも奥のほうにいたはず。
王族である第二王子も。
近寄ってはいけないとされている王女様と、絶対に近寄りたくない第二王子。
私にとったら、最悪のふたりが至近距離にいる……。
なんで!?
とりあえず、目立たないように、私はさっと頭をさげて、他の人の後ろに隠れるようにして、さーっと通りすぎていこうとしたら、「そこのあなた、ちょっと待って」と声をかけられた。
すごい威厳のある声。
王女様だ……。
が、さすがに私じゃないよね?
うん、そう思いたい……。
ということで、前の人たちにまぎれるようにして、頭を下げたまま歩き続けようとしたら、「マイリ侯爵令嬢。そなたのことだ」と、名指しで呼ばれた。
しかも、この声って……また、第二王子!?
私になんの恨みがあるの? っていうか、恨みがあるのは、私のほうなんだけど!
本当に最悪の日だわ……。
仮にも王族に名指しされた以上、立ち止まらざるを得ない。
「一体、なにごと?」という感じで、まわりの人たちの視線が一気に私に集中する。
そして、近づいてくるふたりの足音。
なんで、こっちへくるの?
王女様に近づかないよう、みんなに注意されていたけれど、近づいてくるのは避けられない。
なんて考えていたら、王女様と思われる足がもう目の前にあった。
「顔をあげて」
と、言われたら、これまた、あげないわけにはいかない。
しかも、このパターン、今日、2度目なんだけど……。
しぶしぶ顔をあげる。
ちびっこの私を見下ろすように立っている王女様。
あまりの眼光の鋭さに、ぞくりとした。
なんだか、穴があくほど見られてるよね、私……。
818
あなたにおすすめの小説
【完結】番(つがい)でした ~美しき竜人の王様の元を去った番の私が、再び彼に囚われるまでのお話~
tea
恋愛
かつて私を妻として番として乞い願ってくれたのは、宝石の様に美しい青い目をし冒険者に扮した、美しき竜人の王様でした。
番に選ばれたものの、一度は辛くて彼の元を去ったレーアが、番であるエーヴェルトラーシュと再び結ばれるまでのお話です。
ヒーローは普段穏やかですが、スイッチ入るとややドS。
そして安定のヤンデレさん☆
ちょっぴり切ない、でもちょっとした剣と魔法の冒険ありの(私とヒロイン的には)ハッピーエンド(執着心むき出しのヒーローに囚われてしまったので、見ようによってはメリバ?)のお話です。
別サイトに公開済の小説を編集し直して掲載しています。
運命の番?棄てたのは貴方です
ひよこ1号
恋愛
竜人族の侯爵令嬢エデュラには愛する番が居た。二人は幼い頃に出会い、婚約していたが、番である第一王子エリンギルは、新たに番と名乗り出たリリアーデと婚約する。邪魔になったエデュラとの婚約を解消し、番を引き裂いた大罪人として追放するが……。一方で幼い頃に出会った侯爵令嬢を忘れられない帝国の皇子は、男爵令息と身分を偽り竜人国へと留学していた。
番との運命の出会いと別離の物語。番でない人々の貫く愛。
※自己設定満載ですので気を付けてください。
※性描写はないですが、一線を越える個所もあります
※多少の残酷表現あります。
以上2点からセルフレイティング
【完結】2番目の番とどうぞお幸せに〜聖女は竜人に溺愛される〜
雨香
恋愛
美しく優しい狼獣人の彼に自分とは違うもう一人の番が現れる。
彼と同じ獣人である彼女は、自ら身を引くと言う。
自ら身を引くと言ってくれた2番目の番に心を砕く狼の彼。
「辛い選択をさせてしまった彼女の最後の願いを叶えてやりたい。彼女は、私との思い出が欲しいそうだ」
異世界に召喚されて狼獣人の番になった主人公の溺愛逆ハーレム風話です。
異世界激甘溺愛ばなしをお楽しみいただければ。
【完結済】隣国でひっそりと子育てしている私のことを、執着心むき出しの初恋が追いかけてきます
鳴宮野々花@書籍4作品発売中
恋愛
一夜の過ちだなんて思いたくない。私にとって彼とのあの夜は、人生で唯一の、最良の思い出なのだから。彼のおかげで、この子に会えた────
私、この子と生きていきますっ!!
シアーズ男爵家の末娘ティナレインは、男爵が隣国出身のメイドに手をつけてできた娘だった。ティナレインは隣国の一部の者が持つ魔力(治癒術)を微力ながら持っており、そのため男爵夫人に一層疎まれ、男爵家後継ぎの兄と、世渡り上手で気の強い姉の下で、影薄く過ごしていた。
幼いティナレインは、優しい侯爵家の子息セシルと親しくなっていくが、息子がティナレインに入れ込みすぎていることを嫌う侯爵夫人は、シアーズ男爵夫人に苦言を呈す。侯爵夫人の機嫌を損ねることが怖い義母から強く叱られ、ティナレインはセシルとの接触を禁止されてしまう。
時を経て、貴族学園で再会する二人。忘れられなかったティナへの想いが燃え上がるセシルは猛アタックするが、ティナは自分の想いを封じ込めるように、セシルを避ける。
やがてティナレインは、とある商会の成金経営者と婚約させられることとなり、学園を中退。想い合いながらも会うことすら叶わなくなった二人だが、ある夜偶然の再会を果たす。
それから数ヶ月。結婚を目前に控えたティナレインは、隣国へと逃げる決意をした。自分のお腹に宿っていることに気付いた、大切な我が子を守るために。
けれど、名を偽り可愛い我が子の子育てをしながら懸命に生きていたティナレインと、彼女を諦めきれないセシルは、ある日運命的な再会を果たし────
生まれ育った屋敷で冷遇され続けた挙げ句、最低な成金ジジイと結婚させられそうになったヒロインが、我が子を守るために全てを捨てて新しい人生を切り拓いていこうと奮闘する物語です。
※いつもの完全オリジナルファンタジー世界の物語です。全てがファンタジーです。
※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
幸せな番が微笑みながら願うこと
矢野りと
恋愛
偉大な竜王に待望の番が見つかったのは10年前のこと。
まだ幼かった番は王宮で真綿に包まれるように大切にされ、成人になる16歳の時に竜王と婚姻を結ぶことが決まっていた。幸せな未来は確定されていたはずだった…。
だが獣人の要素が薄い番の扱いを周りは間違えてしまう。…それは大切に想うがあまりのすれ違いだった。
竜王の番の心は少しづつ追いつめられ蝕まれていく。
※設定はゆるいです。
番を辞めますさようなら
京佳
恋愛
番である婚約者に冷遇され続けた私は彼の裏切りを目撃した。心が壊れた私は彼の番で居続ける事を放棄した。私ではなく別の人と幸せになって下さい。さようなら…
愛されなかった番。後悔ざまぁ。すれ違いエンド。ゆるゆる設定。
※沢山のお気に入り&いいねをありがとうございます。感謝感謝♡
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる