天使かと思ったら魔王でした。怖すぎるので、婚約解消がんばります!

水無月あん

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長い一日 by マルク

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※今回は、マルク視点となります。

ぼくが通っている学園は、今は、夏季休暇中。
朝もゆっくりめに起きられてうれしい。

が、今朝は最悪だった。
まだ暗いうちに、ユーリ兄様におこされたからだ。

そして、朝一の言葉が、いきなり、
「マルク、今日、暇だよね」
だ。

嫌な予感しかない。

今日は、家庭教師の先生が午前中にくる。
そして、午後は図書館に行く。というか、そのそばに、オープンした焼き菓子専門店が評判になっているから、そこに行くのがメインだけど。
断じて、暇じゃない。

「予定があるから」

「どんな?」

「家庭教師の先生もくるし、図書館で勉強もしたいから」
そう、学生の本分は勉学だから、これなら立派な予定だよね。
焼き菓子のお店のことは、省いておく。

「ああ、それね。家庭教師はキャンセルしておいた。なんなら、ぼくが後で見てあげる。フランの焼き菓子も買ってあげるよ。つまり、マルクは今日は暇だね」

「ひっ!」
思わず、変な声がでた。

なに、この人! 自分の兄ながら、恐ろしすぎる。
フランの焼き菓子って、今日、ぼくが行こうとしてた店なんだけど。

そして、ユーリ兄様に勉強を教えてもらうのだけは、絶対に嫌だ。

以前、勉強を見てもらったとき、
「どうしてそうなるの?」
と聞いたら、

「見たら、ばっとわかるでしょ。わかんないの?」
と、答えた。

ばっと、って何? そんな説明じゃわかりませんが。ほんと、天才は嫌だ。
ということで、それ以来、勉強は見てもらわないことにした。

結局、暇と断定されたぼくに、
「今日、マルクはアデルのそばにいてね」
と、命令してきた。

「へ?」

「王子が町を見るらしいんだけど、アデルを同行させるよう、王太子に頼んだらしいんだよね。ほんと、断れよな、くそ王太子。しかも、うざったい仕事を俺に押しつけといて、行けないようにしやがって」

ユーリ兄様、口の悪さが全開になってますが…。
相当、怒ってるね。
嫌だな、嫌だな、ぼく、まきこまれたくないな…。

「…その、それで、なんで、ぼくが行かないといけないの?」

すると、ユーリ兄様が冷たい気を放ちはじめる。

「王子がアデルのそばに寄らないようにして。できたら、話さないようにね。それに、見れないようにしたらもっといいよね。できるでしょ、マルク」

できるわけないよ!

でも、珍しい。ユーリ兄様がいつもと少し違う。今までなら、アデルに近寄ろうとする人たちがいても、平然と笑って遠ざけるのに。ちょっと、余裕がない感じ?

「…まあ、あの王子。ユーリ兄様に似てるもんね…」
思わず、ぼそっとつぶやいて、はっと口を手でおさえる。 

しまった。アデルみたいに、心の声がでてしまった。
聞こえてないよね…?

「だれがだれに似てるって?」
地をはうような声が聞こえてきた。

ちょっと、ぼくにむかって殺気を放たないで…。

その後、「王子をアデルに近寄らせません。しゃべらせません。見せません」というアデル三原則を唱えさせられ、家を出る頃には、すでにげっそり。

で、到着すると、アデルとぼくと王子、その三人で馬車に乗る。
三原則はとっくに破られている。
っていうか、そもそも無理なんだけど、ユーリ兄様には通じないからね…。

ということで、何も見ない、聞かない、ぼく知らなかったで、今日をやりすごそう。
がんばれ、ぼく!
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