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第四章 冬
第二話 ヴィンセント
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ノエルのヒートが来るかもしれないから、とヴィンセントが仕事を切り上げたのは夕方の早い時間帯のことだった。
ヒート周期がまだはっきりしていないノエルだったが、前回のヒートのことを考えると近日中に発情するはずだった。その証拠に彼のフェロモンも日に日に強くなっており、心なしか本人にも落ち着きがなかった。
体調に変化があるのか、それとも「ヒートが近いかもしれない」という事実が気になるのか。どちらにせよ、ここ数日のノエルは少し挙動不審でとても可愛らしかった。
ヒート中以外にも何度も触れ合っているのに、まだああいう行為にはなれないらしい。触ると嫌がらないし、むしろ積極的に求めてくれるが、いつまでたっても恥じらいは消えず、そこが可愛いくてヴィンセントとしても堪らなかった。
今日は仕事だが、明日からは休みを取っている。マーサとロバートにも暇を取らせる予定で調整しているから、ふたりきりの時間をゆっくりと過ごせるはずだ。
そのことを考えるだけで、気分が高揚してくる。そわそわと落ち着かない自分に、まるでホリデー前の子どものようだな、と呆れながらも、早くノエルの顔が見たいと思って早足で急ぎ帰路に着いた。
そして、家に帰りつき玄関扉を開けた瞬間、ヴィンセントは思わず自らの鼻を押さえてしまった。
屋敷に満ちていたのは、甘いオメガの香りだった。
ノエルのフェロモンは春の花のように甘く、それでいてどこかすっきりとした爽やかさがあるヴィンセントにとってとても好ましい匂いをしている。その匂いが過去のヒートとは比べ物にならないくらいの濃さで、屋敷中に漂っている。
ノエルが発情しているのだ。それもこれまでのヒートよりも強烈に。
一気に全身の血液が沸騰したように全身が熱くなった。目の前が真っ赤になって、思わずぎりっと歯を食いしばる。ヴィンセントもまた、ノエルに感化されラットに入りかけていた。
慌てて携帯している抑制剤を飲み、激しい衝動に抗った。どんな状態であれ、ノエルを傷つけることだけは絶対にしてはいけない。
興奮する身体を何とか落ち着けて、ヴィンセントはフェロモンの匂いを肺一杯に吸い込んだ。強く「呼ばれている」と本能がヴィンセントに告げる。この香りを発しているのは、自分のオメガだ。彼がこんなにも必死で呼ぶのは自分しかいない。早く、彼のもとへ行かなくては。
誘われるように階段を上り、導かれるままに足を進めた。
そして、その匂いが最も濃い場所――つまり、ノエルがいるであろう場所に着いて、ヴィンセントは目を瞠った。
「……寝室」
そこはヴィンセントの寝室だった。
普段、ノエルが怖がってひとりでは絶対に足を踏み入れない場所だ。
掃除や寝具の交換の際に、マーサとふたり扉を開けっぱなしにして、ようやく足を踏み入れることが出来る部屋。それなのにノエルはたったひとりでこの部屋にいるというのだろうか。
どういうことだ、と驚きながら扉を開けて、ヴィンセントはさらに驚愕する。
部屋の一番奥。天蓋付きの寝台の上にこんもりと山が出来ていた。
――これは、もしかして。
驚きつつも近づいて、ヴィンセントはその山がただの山ではないことを確認する。
山は衣類で作られていた。それも全てヴィンセントの衣服だ。
替えの軍服やその中に着るシャツ。それから普段着にしているトラウザーズやスーツ。中には下着や靴下まで積んであって、少々気恥ずかしい。その中に軍服が見当たらないのは、なけなしの理性で汚してはいけないとでも思ったのかもしれない。
「ノエル……?」
ヴィンセントが声をかけると、山がもぞり、と動いた。
「――ヴィンスさん?」
応える声に、ヴィンセントは安堵する。ああ、やっぱりここにいた。
かき分けた衣服の中から、涙でぐちゃぐちゃになったノエルの顔が覗く。
「ヴィンスさん、ヴィンスさんだ……!」
ヴィンセントの姿を見た瞬間、ノエルが何度も名前を呼んだ。もともと涙で潤んでいたはずの大きな瞳からぽろりと大粒の涙が零れて、細い手が伸びてくる。
その必死さに、ヴィンセントはノエルがどれほど自分を求めてくれていたかを感じて、喜びで震えるようだった。おまけに、身体はヒートで思うように動かないだろうに、伸ばした手で必死に抱き着いて来ようとする。その腕を受け入れて、ヴィンセントもまたノエルをぎゅっと抱きしめた。
甘くて官能的な香りが、ヴィンセントの本能を刺激する。
ノエルが愛おしくて堪らなかった。
「遅くなってすまない」
腕の中にノエルを閉じ込めながら、ヴィンセントは謝罪した。
早めに帰ってきたとはいえ、ヒート中のノエルがひとりで待つのは辛かっただろう。
それなのに、ノエルはヴィンセントを責めることなくふにゃりと笑う。
「ん、でも、お仕事だから……」
舌っ足らずな口調はノエルのヒート特有のものだ。
いつもは敬語で話す彼が、まるで心の殻を脱ぎ捨てたように、稚い口調になる。それがヴィンセントを堪らなくさせた。
涙で塗れた白い頬を手のひらで拭う。赤くなった眦に口づければ、ノエルが擽ったそうに身を捩った。
「はぁ、ヴィンスさん……ヒート、来たよ」
見れば、ノエルは首輪をしていなかった。晒された白い項がひどく無防備で恐ろしいほど魅力的で、ヴィンセントは無意識にごくりとつばを飲み込んだ。
飢えている。飢餓にあえぐ獣のように、目の前の獲物を食い散らかしたくて堪らなかった。
「俺のこと、番に、してくれる……?」
ぎらぎらとしたヴィンセントの欲望を感じ取ったのだろうか。熱に浮かされたようにノエルが言った。ノエルの灰色の瞳は潤んで、まるで宝石のように輝いていた。
燃えるような真紅の髪を梳いて、額を晒す。困ったように下がる眉と、猫のような蠱惑的な瞳。その全てが愛らしくも美しく、そしてこの世の何よりも尊かった。そんな美しいものを本当に自分だけのものにしてしまっていいのだろうか、と躊躇ってしまう。
ヴィンセントはこの期に及んでまだ迷っていた。
もう少し、ノエルが大人になったらヴィンセントと離れたいと思うのではないか。もう少し、長く暮らせば不満も出て来るのではないか。――そんなことをぐるぐると考えてしまうのだ。
そうなったときに、番になっていれば取り返しがつかない。
無論、ノエルのことは大切にするつもりだし、離れたいと思わせないように努力してはいる。しかし、ノエルのことに関して、ヴィンセントはすっかり臆病になってしまうようだった。
ヴィンセントは軍人として、どちらかといえば思い切りがよく勇敢な質だ。帝国はここ十数年戦争をしていないが、国境地域の紛争の制圧に赴いたことなら何度もある。
鳴り響く砲弾の音も、銃声も、警戒すべきことだが震えるほど恐ろしいというわけでもなかった。むしろ、自ら立てた作戦が成功すると気分が高揚し興奮した。同僚たちに感情が読めないうえに獰猛だ、と揶揄されたこともある。
それなのに、ノエルのことになったら途端にこんな調子になってしまうのだから、恋というのは恐ろしい。
「ノエル、本当に項を噛んでもいいのか?」
そっと耳元で訊ねると、ノエルがこてんと首を傾げた。
「いいよ……?」
どうしてそんなことを聞くのだ、と言わんばかりの顔に、ヴィンセントは胸がいっぱいになった。
全幅の信頼と一切の迷いのなさ。
あれこれ考え込み臆病になるヴィンセントと対照的に、ノエルは真っ直ぐにヴィンセントへの気持ちを伝えてくれる。
純粋無垢で、真っ白で、透明。それがノエルだった。
その眩しいほどの白さの中に、一点の曇りをつけることがヴィンセントには許されている。
小さな唇が「噛んで」と吐息だけで囁く。
「うん」
ヴィンセントは頷いて、ノエルの着ているシャツをゆっくりと脱がせた。
折れそうなほど細くて白い身体が露わになる。滑らかな肌は瑞々しく、眩しいほどに美しい。背中に残る傷痕すら愛おしくて、ヴィンセントはノエルが作った巣の中に、その痩躯を押し倒した。すると、ノエルは嬉しそうにヴィンセントを見上げた。灰色の瞳が涙で潤んで、ひどく甘そうだった。
「いい巣だな」
褒めると花が綻んだようにノエルが笑う。
「気に入った……?」
「ああ、もちろん」
甘い甘い匂いがした。
ヴィンセントのフェロモンと、ノエルのそれが巣の中で混ざり合っている。
お互いがお互いの存在に煽られる。これが遥か昔から連綿と続いてきた、アルファとオメガの本能的な繋がりなのだろう。
どれほどアルファがオメガを虐げても、どれほど蔑んでも、アルファは決してオメガには敵わない。だからこそ、アルファはオメガを求めるし、彼らを恐れるのだ。
ヒート周期がまだはっきりしていないノエルだったが、前回のヒートのことを考えると近日中に発情するはずだった。その証拠に彼のフェロモンも日に日に強くなっており、心なしか本人にも落ち着きがなかった。
体調に変化があるのか、それとも「ヒートが近いかもしれない」という事実が気になるのか。どちらにせよ、ここ数日のノエルは少し挙動不審でとても可愛らしかった。
ヒート中以外にも何度も触れ合っているのに、まだああいう行為にはなれないらしい。触ると嫌がらないし、むしろ積極的に求めてくれるが、いつまでたっても恥じらいは消えず、そこが可愛いくてヴィンセントとしても堪らなかった。
今日は仕事だが、明日からは休みを取っている。マーサとロバートにも暇を取らせる予定で調整しているから、ふたりきりの時間をゆっくりと過ごせるはずだ。
そのことを考えるだけで、気分が高揚してくる。そわそわと落ち着かない自分に、まるでホリデー前の子どものようだな、と呆れながらも、早くノエルの顔が見たいと思って早足で急ぎ帰路に着いた。
そして、家に帰りつき玄関扉を開けた瞬間、ヴィンセントは思わず自らの鼻を押さえてしまった。
屋敷に満ちていたのは、甘いオメガの香りだった。
ノエルのフェロモンは春の花のように甘く、それでいてどこかすっきりとした爽やかさがあるヴィンセントにとってとても好ましい匂いをしている。その匂いが過去のヒートとは比べ物にならないくらいの濃さで、屋敷中に漂っている。
ノエルが発情しているのだ。それもこれまでのヒートよりも強烈に。
一気に全身の血液が沸騰したように全身が熱くなった。目の前が真っ赤になって、思わずぎりっと歯を食いしばる。ヴィンセントもまた、ノエルに感化されラットに入りかけていた。
慌てて携帯している抑制剤を飲み、激しい衝動に抗った。どんな状態であれ、ノエルを傷つけることだけは絶対にしてはいけない。
興奮する身体を何とか落ち着けて、ヴィンセントはフェロモンの匂いを肺一杯に吸い込んだ。強く「呼ばれている」と本能がヴィンセントに告げる。この香りを発しているのは、自分のオメガだ。彼がこんなにも必死で呼ぶのは自分しかいない。早く、彼のもとへ行かなくては。
誘われるように階段を上り、導かれるままに足を進めた。
そして、その匂いが最も濃い場所――つまり、ノエルがいるであろう場所に着いて、ヴィンセントは目を瞠った。
「……寝室」
そこはヴィンセントの寝室だった。
普段、ノエルが怖がってひとりでは絶対に足を踏み入れない場所だ。
掃除や寝具の交換の際に、マーサとふたり扉を開けっぱなしにして、ようやく足を踏み入れることが出来る部屋。それなのにノエルはたったひとりでこの部屋にいるというのだろうか。
どういうことだ、と驚きながら扉を開けて、ヴィンセントはさらに驚愕する。
部屋の一番奥。天蓋付きの寝台の上にこんもりと山が出来ていた。
――これは、もしかして。
驚きつつも近づいて、ヴィンセントはその山がただの山ではないことを確認する。
山は衣類で作られていた。それも全てヴィンセントの衣服だ。
替えの軍服やその中に着るシャツ。それから普段着にしているトラウザーズやスーツ。中には下着や靴下まで積んであって、少々気恥ずかしい。その中に軍服が見当たらないのは、なけなしの理性で汚してはいけないとでも思ったのかもしれない。
「ノエル……?」
ヴィンセントが声をかけると、山がもぞり、と動いた。
「――ヴィンスさん?」
応える声に、ヴィンセントは安堵する。ああ、やっぱりここにいた。
かき分けた衣服の中から、涙でぐちゃぐちゃになったノエルの顔が覗く。
「ヴィンスさん、ヴィンスさんだ……!」
ヴィンセントの姿を見た瞬間、ノエルが何度も名前を呼んだ。もともと涙で潤んでいたはずの大きな瞳からぽろりと大粒の涙が零れて、細い手が伸びてくる。
その必死さに、ヴィンセントはノエルがどれほど自分を求めてくれていたかを感じて、喜びで震えるようだった。おまけに、身体はヒートで思うように動かないだろうに、伸ばした手で必死に抱き着いて来ようとする。その腕を受け入れて、ヴィンセントもまたノエルをぎゅっと抱きしめた。
甘くて官能的な香りが、ヴィンセントの本能を刺激する。
ノエルが愛おしくて堪らなかった。
「遅くなってすまない」
腕の中にノエルを閉じ込めながら、ヴィンセントは謝罪した。
早めに帰ってきたとはいえ、ヒート中のノエルがひとりで待つのは辛かっただろう。
それなのに、ノエルはヴィンセントを責めることなくふにゃりと笑う。
「ん、でも、お仕事だから……」
舌っ足らずな口調はノエルのヒート特有のものだ。
いつもは敬語で話す彼が、まるで心の殻を脱ぎ捨てたように、稚い口調になる。それがヴィンセントを堪らなくさせた。
涙で塗れた白い頬を手のひらで拭う。赤くなった眦に口づければ、ノエルが擽ったそうに身を捩った。
「はぁ、ヴィンスさん……ヒート、来たよ」
見れば、ノエルは首輪をしていなかった。晒された白い項がひどく無防備で恐ろしいほど魅力的で、ヴィンセントは無意識にごくりとつばを飲み込んだ。
飢えている。飢餓にあえぐ獣のように、目の前の獲物を食い散らかしたくて堪らなかった。
「俺のこと、番に、してくれる……?」
ぎらぎらとしたヴィンセントの欲望を感じ取ったのだろうか。熱に浮かされたようにノエルが言った。ノエルの灰色の瞳は潤んで、まるで宝石のように輝いていた。
燃えるような真紅の髪を梳いて、額を晒す。困ったように下がる眉と、猫のような蠱惑的な瞳。その全てが愛らしくも美しく、そしてこの世の何よりも尊かった。そんな美しいものを本当に自分だけのものにしてしまっていいのだろうか、と躊躇ってしまう。
ヴィンセントはこの期に及んでまだ迷っていた。
もう少し、ノエルが大人になったらヴィンセントと離れたいと思うのではないか。もう少し、長く暮らせば不満も出て来るのではないか。――そんなことをぐるぐると考えてしまうのだ。
そうなったときに、番になっていれば取り返しがつかない。
無論、ノエルのことは大切にするつもりだし、離れたいと思わせないように努力してはいる。しかし、ノエルのことに関して、ヴィンセントはすっかり臆病になってしまうようだった。
ヴィンセントは軍人として、どちらかといえば思い切りがよく勇敢な質だ。帝国はここ十数年戦争をしていないが、国境地域の紛争の制圧に赴いたことなら何度もある。
鳴り響く砲弾の音も、銃声も、警戒すべきことだが震えるほど恐ろしいというわけでもなかった。むしろ、自ら立てた作戦が成功すると気分が高揚し興奮した。同僚たちに感情が読めないうえに獰猛だ、と揶揄されたこともある。
それなのに、ノエルのことになったら途端にこんな調子になってしまうのだから、恋というのは恐ろしい。
「ノエル、本当に項を噛んでもいいのか?」
そっと耳元で訊ねると、ノエルがこてんと首を傾げた。
「いいよ……?」
どうしてそんなことを聞くのだ、と言わんばかりの顔に、ヴィンセントは胸がいっぱいになった。
全幅の信頼と一切の迷いのなさ。
あれこれ考え込み臆病になるヴィンセントと対照的に、ノエルは真っ直ぐにヴィンセントへの気持ちを伝えてくれる。
純粋無垢で、真っ白で、透明。それがノエルだった。
その眩しいほどの白さの中に、一点の曇りをつけることがヴィンセントには許されている。
小さな唇が「噛んで」と吐息だけで囁く。
「うん」
ヴィンセントは頷いて、ノエルの着ているシャツをゆっくりと脱がせた。
折れそうなほど細くて白い身体が露わになる。滑らかな肌は瑞々しく、眩しいほどに美しい。背中に残る傷痕すら愛おしくて、ヴィンセントはノエルが作った巣の中に、その痩躯を押し倒した。すると、ノエルは嬉しそうにヴィンセントを見上げた。灰色の瞳が涙で潤んで、ひどく甘そうだった。
「いい巣だな」
褒めると花が綻んだようにノエルが笑う。
「気に入った……?」
「ああ、もちろん」
甘い甘い匂いがした。
ヴィンセントのフェロモンと、ノエルのそれが巣の中で混ざり合っている。
お互いがお互いの存在に煽られる。これが遥か昔から連綿と続いてきた、アルファとオメガの本能的な繋がりなのだろう。
どれほどアルファがオメガを虐げても、どれほど蔑んでも、アルファは決してオメガには敵わない。だからこそ、アルファはオメガを求めるし、彼らを恐れるのだ。
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