竜皇女と呼ばれた娘

Aoi

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魔法学校編

試験の結果は

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試験官ロータスに続いて途中参戦してきたオルドまでを下したヴァイオレット
審判役として一部始終を見届けていたケーニッヒもまさかオルドまで倒されるとは思っておらず、ただただ驚きを隠せなかった


『まさかオルドまで倒すなんてな……随分と派手にやったようだし医務室に連れていってやるか』
『当てたのは全部防具の上からだから見た目の割に大した怪我はしてないと思うよ』
『ブハッ!ハァハァ!』
『あっほら、目覚ました』
『あの戦闘中にそんな余裕まであったのか。どうやら俺はとんでもない奴を連れて来ちまったようだな』


オルドは目を覚ますと周囲を見渡し、自分が倒れていることに気づくと潔く負けを認めた


『はぁー負けた負けた!っててて……まさかこんな嬢ちゃんに一方的にやられる羽目になるなんてな。俺もまだまだだな』
『お兄さんの動きも良かったと思うよ』
『へっ!あんなタコ殴りしておいてよく言うぜ。俺に勝ったんだから試験絶対合格しろよ』


そう言い残すとオルドは自らの足で医務室がある方へと去っていった
防具を身に着けていたとはいえあれだけの連撃を食らったにも関わらずすぐ立ち上がる事ができるのだから鍛えているだけはある


『それで?実技の結果は問題なしってことでいいのかな?』
『あんなの見せられて不合格に出来るわけないだろ。実技は問題なく通過だ』
『やったー!』
『だが実技が終わっただけでまだ筆記試験があるんだからな。しっかり休んでおけよ』
『はーい』


色々とあった実技試験だが無事に通過したヴァイオレット
次の筆記試験まで時間が余り特にすることもなかったので他の受験者の試合を観戦する事にした
とはいってもこれはあくまで相手の実力を見る試験、特に大きな問題が起こることもなく淡々と進んでいく
ヴァイオレットのようなパターンの方が特殊だということだ
特に面白みもないので適当にその辺りを散歩でもしようかと立ち上がったその時、一人の受験者が目に入ってきた


『ん?あの子……もしかして獣人?』


見た目はパッと見人間と遜色はないが、決定的に違うのは獣人には耳と尻尾があること
他にも皮膚が鱗になっていたり背中に羽が生えていたりとその獣人によって様々である


『お父さん達から人間以外にも獣人っていう種族がいるっていうのは聞いたことあるけど初めて見たなぁ』


オストンの時もそうだったが王都の中でも獣人は全く見かけなかった
故に多くの受験者の中から現れた獣人の子はかなり目立っていた


『あの子受かるといいなぁ。そしたら友達になってもらえないかお願いしてみよ』


そんな獣人の彼女の試合を見守りつつ体を休めるヴァイオレット
他の受験者の実技試験も滞りなく終了すると小休憩を挟んだ後に筆記試験が行われた
筆記の方は全くと言っていい程手をつけていないヴァイオレットは始まる前から既にお手上げ状態だった
だがやる前から諦めるなとイグニスに散々教えられてきたので、最後まで足掻こうとやる気を出す


『それでは筆記試験……始め!』


開始と同時に勢いよく紙をめくり問題用紙に目を通していく
目を通し目を通し……目を通し続けること数分、ヴァイオレットは爽やかな笑顔で天を仰いだ


(うん、何一つ分からない)


何度目を通しても見た事のない文字の羅列にヴァイオレットは目眩がしそうだった
文字の読み書きも勿論勉強してきたが、これはそういう次元の問題ではなかった


(この国の歴史なんて知らないし魔法……構築式?初めて聞いたよそんなの)


どの問題もちんぷんかんぷんで何のことだかサッパリだった
このままでは一つも空欄を埋められずに終わってしまう
しかしそう思ってからのヴァイオレットは切り替えが早かった


(まぁ今更足掻いても仕方ないよね。こっちの選択問題っていうのはこの中から選べばいいだけみたいだしこれだけ埋めて……っと。あとはなるようになるだけだ。ふぁ~……実技で体動かしたからかなんだか眠たくなってきちゃったな)


試験開始からおよそ十分、埋められるところだけ埋めてヴァイオレットは受験者の中で一番最初に筆を置き眠りについた
そしてどうにか試験を終えるとヴァイオレットは宿で合格発表を今か今かと待ち侘びていた
合格発表の期間は一週間、それまでに合格通知が来ないと不合格ということになる
一日、また一日と時間が過ぎていくと同時に不安も募っていく
そんな日々を過ごすこと一週間、今日が合格発表の通知が来る最終日
未だに連絡がきていないヴァイオレットは気が気ではなかった


『あぁどうしよう~もうすぐ日暮れだっていうのに全然こないよぉ。やっぱりダメだったのかなぁ……』


もうダメかと半ば諦めかけていたその時、突然何者かに窓を勢いよく叩かれた
何事かとカーテンを開けてみるとそこには部屋に入りたがろうとしている一羽の青い鳥がいた
あまりにも必死に叩いているのでヴァイオレットは窓を開けその鳥を迎え入れる


『どうしたの鳥さん?ここには何もないよ』
『受験者番号313番ヴァイオレット・カラミティア』
『えっ!?鳥さんがしゃ、喋った!』


突如喋り出した鳥にヴァイオレットは驚くが、鳥はそんな事お構い無しに続きを喋り始めた


『ヴァイオレット・カラミティア。厳正なる審査の結果、入学試験を合格と見なし貴殿のグレディス魔法学校入学を許可する』
『ご、合格……?私、合格したの?……いやったー!合格したー!わーいわーい!』


鳥から寄せられた合格通知に、それまで張り詰めていた緊張が一気に緩んだヴァイオレットは部屋中を駆け回りながら喜びを露わにした

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