竜皇女と呼ばれた娘

Aoi

文字の大きさ
42 / 342
魔法学校編

卵の正体は

しおりを挟む
従魔召喚の儀で謎の卵を召喚してしまったヴァイオレットは卵を孵す為、とりあえず卵を持ち歩くことにした


『この卵いつ孵るんだろう?ずっと温めておいてあげないと生まれてこないよね』
『鶏の卵だと大体二、三週間位だったような気がするけどこれほど大きいと参考にならないわね』
『えーそんなにかかるの?それまでずっと離れられないなんて』


四六時中卵にかかりっきりにならなくてはいけないとは中々骨が折れる
それからヴァイオレットは朝から晩まで、学校に行っている間もひたすら卵を温め続けた
卵を一定の温度で温めてくれる部屋があり授業中はそこに入れるようにとケーニッヒや他の教師から注意を受けたが、ヴァイオレットは自分の手で直接温めてあげたかったので頑としてそれを譲らなかった
そして時々卵が動いてはどんな魔物が生まれてくるのかと心躍らせながら卵を温め続けて二週間ほどが経ったある日の深夜、その時は突然やってきた
いつもより激しく動く卵にコツコツという何かを叩く音でヴァイオレットは目を覚ます


『んぅ……あっ!卵にヒビが!ミーシャちゃんミーシャちゃん!』
『なによこんな時間に……』
『見て!卵が!』
『本当だ、もうじき生まれてくるみたいね』
『何が生まれてくるのか楽しみだなぁ』


徐々に殻にヒビが広がっていく
今か今かと姿を現すのを待っていると卵が半分に割れ、中にいた魔物が姿を現した
その魔物は背中に翼、そしてトカゲのような尻尾を生やし、ヴァイオレットが少し前まで一緒に暮らしていたイグニスと全く同じ姿をしていた


『ど、ドラゴン!?』


予想だにしない魔物の登場を前にミーシャは驚きを露わにする
サイズこそ小さいが紛うことなき竜、驚くのも無理はない
ヴァイオレットには馴染みのある姿だが、通常竜は人の前に滅多に現れることはない
畏怖の対象としても恐れられている為ミーシャは部屋の隅まで避難していた
竜はキョロキョロと辺りを見渡し、ヴァイオレットの方に目を向け見つめ始めると鳴き声をあげた


『ピューイ!』
『可愛いー!やっぱりまだ赤ちゃんだから言葉は喋れないのかな?』
『ど、ドラゴンって喋れるの?』
『あ、あーどうだったかな?』
『ピュイピュイ!』
『そうだ、契約をしなくちゃいけないんだよね。ねぇねぇ私と契約してくれる?』
『ピュイ?』
『ヴァイオレット、そのドラゴンとの契約はどうやらもう終わってるみたいよ』
『えっ?あっ本当だいつの間に』


竜の体を見てみると既に契約完了の証となる紋様が現れていた
まだ生まれたばかりだというのに翼を必死に動かしてヴァイオレットの元に近寄ってくる子竜は実に可愛らしい
周りより少し遅れる形となったが、こうしてヴァイオレットも他の生徒と同様従魔を契約を済ませることができた

しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜

奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。 パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。 健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。

男爵家の厄介者は賢者と呼ばれる

暇野無学
ファンタジー
魔法もスキルも授からなかったが、他人の魔法は俺のもの。な~んちゃって。 授けの儀で授かったのは魔法やスキルじゃなかった。神父様には読めなかったが、俺には馴染みの文字だが魔法とは違う。転移した世界は優しくない世界、殺される前に授かったものを利用して逃げ出す算段をする。魔法でないものを利用して魔法を使い熟し、やがては無敵の魔法使いになる。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

現代知識と木魔法で辺境貴族が成り上がる! ~もふもふ相棒と最強開拓スローライフ~

はぶさん
ファンタジー
木造建築の設計士だった主人公は、不慮の事故で異世界のド貧乏男爵家の次男アークに転生する。「自然と共生する持続可能な生活圏を自らの手で築きたい」という前世の夢を胸に、彼は規格外の「木魔法」と現代知識を駆使して、貧しい村の開拓を始める。 病に倒れた最愛の母を救うため、彼は建築・農業の知識で生活環境を改善し、やがて森で出会ったもふもふの相棒ウルと共に、村を、そして辺境を豊かにしていく。 これは、温かい家族と仲間に支えられ、無自覚なチート能力で無理解な世界を見返していく、一人の青年の最強開拓物語である。 別作品も掲載してます!よかったら応援してください。 おっさん転生、相棒はもふもふ白熊。100均キャンプでスローライフはじめました。

【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革

うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。 優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。 家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。 主人公は、魔法・知識チートは持っていません。 加筆修正しました。 お手に取って頂けたら嬉しいです。

転生先ではゆっくりと生きたい

ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。 事故で死んだ明彦が出会ったのは…… 転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた 小説家になろうでも連載中です。 なろうの方が話数が多いです。 https://ncode.syosetu.com/n8964gh/

キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~

サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。 ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。 木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。 そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。 もう一度言う。 手違いだったのだ。もしくは事故。 出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた! そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて―― ※本作は他サイトでも掲載しています

底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
 40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。  しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。  おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。  漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。  この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――

処理中です...