228 / 342
竜魔決戦編
不死の竜の力
しおりを挟む
カラミティが襲撃され多くの犠牲者が出てヴァイオレットが苦しんでいたその頃、一頭の竜が行動を起こそうとしていた
『ちょっと出かけてくるわ』
『まさか助けに行くつもりなのか?』
カラミティを目指し飛び立とうしていたのは白銀の竜バシリッサ
そして呼び止めたのはヴァイオレットの育て親であるイグニスだった
『あら、あなただってヴァイオレットが危なかった時に同じような事をしてたじゃない』
王都でヴァイオレットがやられそうになった時に現れた執事服を身に纏った老齢の男性、その正体はイグニスである
ヴァイオレットにお守りとして渡していた爪、あれは装着した者の身に危険が迫った時に瞬時にその場に助けに行くことができるという代物だった
イグニスはその事を指摘されるとこう返した
『ふん、あれはヴァイオレットの身が危なかったからだ。今回とは状況が違うだろう。それにヴァイオレットが無事であればそれ以外の有象無象がどうなろうと吾輩が知ったことではない』
『あなたはそれでいいかもね。でもヴァイオレットが悲しんでるのにそれを放っておくのは親としてどうなのかしら?』
『むぅ……』
バシリッサの言葉に言い返すことができないイグニス
昔であれば反論されようものならすぐさま暴れていたイグニス、ヴァイオレットと過ごしてきた時間によって多少なりとも変化はあったようだ
『まぁあなたがあそこに行ったところで出来ることなんてないし今回は私に任せておきなさい』
『勝手にしろ。ついでにそのままここから立ち去れ。ヴァイオレットがお前にいて欲しいと言うから居座らせていたのだからここにいる理由はもうないだろう』
『ヴァイオレットの様子を見ることができる魔道具を持っているのが私ってことを忘れているようね』
『ぐぅ……』
それだけ言い残してバシリッサはカラミティを目指して飛び立った
イグニスの時のように瞬時にヴァイオレットのいる場所に行くことはできない
それでも尋常ではない速度、その速度は他の竜を圧倒するほどのものだった
あっという間にカラミティの真上までやってきたバシリッサは亡くなった者達の状態を確認した
『まだ魂は近くを彷徨っているみたいね。これなら大丈夫そう』
バシリッサの固有魔法:蘇生
イグニスが人々に災厄の竜と呼ばれているように、この魔法によってつけられたバシリッサの異名は不死竜
決して死ぬことのない不死の竜、今回その能力をヴァイオレットの仲間達に使用する
死後からかなりの時間が経過し魂と肉体の繋がりが完全に切り離されていたり、そもそも生きる意志のない者は蘇生しようと思っても拒絶されてしまう
先程魂と肉体の繋がりはまだあることは確認した。あとはこの者達に生きる意志があるかどうか
バシリッサがカラミティの上空を飛び翼を羽ばたかせると、白い雪のような綺麗な光がカラミティに降り注いだ
亡くなった者達にその光が落ちると体が淡い光に包まれた
『あとはあなた達次第よ。ヴァイオレット、また会うのは次の機会にね』
ヴァイオレットが寝ている自宅を見つめながらそう言うとバシリッサは飛び去っていった
『ちょっと出かけてくるわ』
『まさか助けに行くつもりなのか?』
カラミティを目指し飛び立とうしていたのは白銀の竜バシリッサ
そして呼び止めたのはヴァイオレットの育て親であるイグニスだった
『あら、あなただってヴァイオレットが危なかった時に同じような事をしてたじゃない』
王都でヴァイオレットがやられそうになった時に現れた執事服を身に纏った老齢の男性、その正体はイグニスである
ヴァイオレットにお守りとして渡していた爪、あれは装着した者の身に危険が迫った時に瞬時にその場に助けに行くことができるという代物だった
イグニスはその事を指摘されるとこう返した
『ふん、あれはヴァイオレットの身が危なかったからだ。今回とは状況が違うだろう。それにヴァイオレットが無事であればそれ以外の有象無象がどうなろうと吾輩が知ったことではない』
『あなたはそれでいいかもね。でもヴァイオレットが悲しんでるのにそれを放っておくのは親としてどうなのかしら?』
『むぅ……』
バシリッサの言葉に言い返すことができないイグニス
昔であれば反論されようものならすぐさま暴れていたイグニス、ヴァイオレットと過ごしてきた時間によって多少なりとも変化はあったようだ
『まぁあなたがあそこに行ったところで出来ることなんてないし今回は私に任せておきなさい』
『勝手にしろ。ついでにそのままここから立ち去れ。ヴァイオレットがお前にいて欲しいと言うから居座らせていたのだからここにいる理由はもうないだろう』
『ヴァイオレットの様子を見ることができる魔道具を持っているのが私ってことを忘れているようね』
『ぐぅ……』
それだけ言い残してバシリッサはカラミティを目指して飛び立った
イグニスの時のように瞬時にヴァイオレットのいる場所に行くことはできない
それでも尋常ではない速度、その速度は他の竜を圧倒するほどのものだった
あっという間にカラミティの真上までやってきたバシリッサは亡くなった者達の状態を確認した
『まだ魂は近くを彷徨っているみたいね。これなら大丈夫そう』
バシリッサの固有魔法:蘇生
イグニスが人々に災厄の竜と呼ばれているように、この魔法によってつけられたバシリッサの異名は不死竜
決して死ぬことのない不死の竜、今回その能力をヴァイオレットの仲間達に使用する
死後からかなりの時間が経過し魂と肉体の繋がりが完全に切り離されていたり、そもそも生きる意志のない者は蘇生しようと思っても拒絶されてしまう
先程魂と肉体の繋がりはまだあることは確認した。あとはこの者達に生きる意志があるかどうか
バシリッサがカラミティの上空を飛び翼を羽ばたかせると、白い雪のような綺麗な光がカラミティに降り注いだ
亡くなった者達にその光が落ちると体が淡い光に包まれた
『あとはあなた達次第よ。ヴァイオレット、また会うのは次の機会にね』
ヴァイオレットが寝ている自宅を見つめながらそう言うとバシリッサは飛び去っていった
17
あなたにおすすめの小説
ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス
於田縫紀
ファンタジー
雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。
場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜
奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。
パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。
健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。
[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜
家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。
そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?!
しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...?
ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...?
不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。
拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。
小説家になろう様でも公開しております。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる