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第一章 《第一部》ヒーラー 少年篇
第2話 「孤独なヒーラー、猫耳少女と出会う」
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五歳になった俺は、毎日のように母から魔法を教わっていた。最初は、ただ言われた通りに魔法を使うことしかできなかったけれど、徐々にその魔法がどんどんと身につき、五歳にして「ヒール」とその上の「ハイヒール」までもを使いこなせるようになった。
「あなた!この子すごいわ!まだ五歳なのに『ハイヒール』まで覚えちゃったわ!」
「凄いじゃないか!流石は俺たちの子だな!」
嬉しそうな母と父を見ながら、俺は胸を張って言った。
「ありがとう、父さん、母さん!」
その瞬間が、今思えば最も輝いていた頃だった。魔法を学ぶことが、ただただ楽しくて仕方なかった。
だけど、すぐに母は次の魔法を教えようとした。
「次はね!支援魔法を――」
その時、父が横から口を挟む。
「待て待て、次は剣だ!剣術を教える番だろう!」
「……分かったわよ。じゃあまた後でね~」
母の笑顔がとても優しかった。けれど、俺はその後の「剣術」の時間が少し苦痛だった。なぜなら、俺には”回復魔法以外の才能も特技も無い”から。
剣術の特訓が始まると、父が構えを取る。
「よし。では次は剣術の時間だ。ヒーラーといえど、自分の身は自分で守れるに越したことはないだろう。いつかきっと役に立つはずだ」
そう言って、父は真剣な表情で剣を振った。その姿は、現役のA級冒険者ならではの凄みがあった。しかし、俺はその強さに憧れながらも、剣術に対してはどうしても気持ちが乗らなかった。回復魔法しか使えない俺には、どうしても無理だと思っていたからだ。
「踏み込みが甘いぞ!」
「はいっ!父さん!」
それでも、父は容赦なく特訓を続けた。その厳しさの中で、俺は少しずつ父の強さを理解していった。そして嫌いになりつつもあった……。
――それから二年が過ぎ、俺は七歳になった。
ある日、母と二人きりで魔法の練習をしていると、俺はふとこう思った。
「僕、”才能”がないのかな?」
母は驚いた後、優しい笑顔で答える――
「なにをいってるのよ!七歳で『ハイヒール』まで使えるなんて、そんな子は珍しいわよ~?私だって、会得するのに三年はかかったんだから~」
でも、心の中では、もっと何かを覚えたかった。もっと強くなりたかった。この時の俺はまだ、もしかしたら母のように自分も支援魔法を使えるのでは、と思っていた。
そして三年後、俺は十歳になった。
その頃、俺はようやく気づいたことがあった。それは、俺には友達がいないということだ。毎日、母の魔法の練習と、父との剣術特訓。これが日常だった。
しかし、ある日。そんな僕の世界に新しい訪問者が現れる。
「すみませーん」
誰かが扉をノックする。母が扉を開けると、そこには見知らぬ若い母親と、僕と同じくらいの年齢の女の子が立っていた。
「初めまして。実はこの子が剣術を習いたいと――」
その言葉に、俺は思わず耳を疑った。
剣術……?まさか、俺と同じ年齢の子が?
「えっと……あなたーー!お客さんよー!」
母が呼びかけると、父が出てきた。
「なんだー?」
……
…………
………………
若い母親が説明する。
「……なるほどこの子がですか?」
「はい、この子には”剣術の才能”があるんです」
「なるほど……ちなみにそれはいつ頃のことですか?」
「六歳の時です。うちは私も旦那も魔法しか分からず、魔法を教えようとしましたが、魔法は全然覚えられなくて。ある時どこからか拾ってきた木の枝をブンブン振り回していまして……」
「えっと……それで剣術の才能があると?」
「はい、ダメでしょうか……?」
父は「まさかそんなので判断したのか?」と言いたげな顔だった。
だが相手は若い母親だ。胸も大きく少し谷間が見えていた。父はそんな隙間を逃さなかった。
やれやれだ。だが俺はそんな父親の血を継いでいる。
そんな父の答えは当然――
「も、もちろん大丈夫ですとも!!」
父も男だった……。母は家事をして気づいてはいなかった。
「ありがとうございます!ではこの子をよろしくお願いします」
「はい、任せて下さい!!」
こうして一人の小さな女の子を残して母親は帰って行った。
「……さて、ええっと、きみお名前は?歳はいくつ?」
「……レイラ……です。十一歳になります」
「レイラか、いい名前だ。剣術を習いたいって?」
「……はい、レイラは剣術が習いたいです」
「もちろん大歓迎だ。だが、俺の剣術修行はきついぞ?」
「大丈夫です。レイラは強くなって……パパとママを楽……させてあげたいんです」
レイラ。黒髪のロングヘアーに上下とも可愛いピンクのフワフワの服を着ていた。恐らく部屋着だろう。極めつけは耳だ。猫耳があった。
いわゆる亜人だ。その中でも獣人と特段珍しいことでは無い。
「可愛い耳だね」
父の後ろでずっと話を聞いていた俺は、猫耳の少女に声をかけた。
「ありが……とう」
どうやら人見知りらしい。俺はこの子を素直に可愛いと思った。そして、仲良くなりたい、そうとも思った。
「今日からお前の友達であり、ライバルとなる子だ。自己紹介しなさい」
「分かった!」
俺は目の前にいる猫耳の少女にとびっきりの笑顔で自己紹介する。
「初めまして!僕の名前は、アスフィ!アスフィ・シーネット!よろしくね!」
「は……初めまして。レイラの名前は、レイラ・セレスティア……です」
こうして俺に剣術特訓の被害者……では無く、仲間が一人増えた。それも、ただの仲間ではない。俺の後に大切な人となる存在だ。ここから始まるのだ。
【……今のところ、順調といったところかな】
「あなた!この子すごいわ!まだ五歳なのに『ハイヒール』まで覚えちゃったわ!」
「凄いじゃないか!流石は俺たちの子だな!」
嬉しそうな母と父を見ながら、俺は胸を張って言った。
「ありがとう、父さん、母さん!」
その瞬間が、今思えば最も輝いていた頃だった。魔法を学ぶことが、ただただ楽しくて仕方なかった。
だけど、すぐに母は次の魔法を教えようとした。
「次はね!支援魔法を――」
その時、父が横から口を挟む。
「待て待て、次は剣だ!剣術を教える番だろう!」
「……分かったわよ。じゃあまた後でね~」
母の笑顔がとても優しかった。けれど、俺はその後の「剣術」の時間が少し苦痛だった。なぜなら、俺には”回復魔法以外の才能も特技も無い”から。
剣術の特訓が始まると、父が構えを取る。
「よし。では次は剣術の時間だ。ヒーラーといえど、自分の身は自分で守れるに越したことはないだろう。いつかきっと役に立つはずだ」
そう言って、父は真剣な表情で剣を振った。その姿は、現役のA級冒険者ならではの凄みがあった。しかし、俺はその強さに憧れながらも、剣術に対してはどうしても気持ちが乗らなかった。回復魔法しか使えない俺には、どうしても無理だと思っていたからだ。
「踏み込みが甘いぞ!」
「はいっ!父さん!」
それでも、父は容赦なく特訓を続けた。その厳しさの中で、俺は少しずつ父の強さを理解していった。そして嫌いになりつつもあった……。
――それから二年が過ぎ、俺は七歳になった。
ある日、母と二人きりで魔法の練習をしていると、俺はふとこう思った。
「僕、”才能”がないのかな?」
母は驚いた後、優しい笑顔で答える――
「なにをいってるのよ!七歳で『ハイヒール』まで使えるなんて、そんな子は珍しいわよ~?私だって、会得するのに三年はかかったんだから~」
でも、心の中では、もっと何かを覚えたかった。もっと強くなりたかった。この時の俺はまだ、もしかしたら母のように自分も支援魔法を使えるのでは、と思っていた。
そして三年後、俺は十歳になった。
その頃、俺はようやく気づいたことがあった。それは、俺には友達がいないということだ。毎日、母の魔法の練習と、父との剣術特訓。これが日常だった。
しかし、ある日。そんな僕の世界に新しい訪問者が現れる。
「すみませーん」
誰かが扉をノックする。母が扉を開けると、そこには見知らぬ若い母親と、僕と同じくらいの年齢の女の子が立っていた。
「初めまして。実はこの子が剣術を習いたいと――」
その言葉に、俺は思わず耳を疑った。
剣術……?まさか、俺と同じ年齢の子が?
「えっと……あなたーー!お客さんよー!」
母が呼びかけると、父が出てきた。
「なんだー?」
……
…………
………………
若い母親が説明する。
「……なるほどこの子がですか?」
「はい、この子には”剣術の才能”があるんです」
「なるほど……ちなみにそれはいつ頃のことですか?」
「六歳の時です。うちは私も旦那も魔法しか分からず、魔法を教えようとしましたが、魔法は全然覚えられなくて。ある時どこからか拾ってきた木の枝をブンブン振り回していまして……」
「えっと……それで剣術の才能があると?」
「はい、ダメでしょうか……?」
父は「まさかそんなので判断したのか?」と言いたげな顔だった。
だが相手は若い母親だ。胸も大きく少し谷間が見えていた。父はそんな隙間を逃さなかった。
やれやれだ。だが俺はそんな父親の血を継いでいる。
そんな父の答えは当然――
「も、もちろん大丈夫ですとも!!」
父も男だった……。母は家事をして気づいてはいなかった。
「ありがとうございます!ではこの子をよろしくお願いします」
「はい、任せて下さい!!」
こうして一人の小さな女の子を残して母親は帰って行った。
「……さて、ええっと、きみお名前は?歳はいくつ?」
「……レイラ……です。十一歳になります」
「レイラか、いい名前だ。剣術を習いたいって?」
「……はい、レイラは剣術が習いたいです」
「もちろん大歓迎だ。だが、俺の剣術修行はきついぞ?」
「大丈夫です。レイラは強くなって……パパとママを楽……させてあげたいんです」
レイラ。黒髪のロングヘアーに上下とも可愛いピンクのフワフワの服を着ていた。恐らく部屋着だろう。極めつけは耳だ。猫耳があった。
いわゆる亜人だ。その中でも獣人と特段珍しいことでは無い。
「可愛い耳だね」
父の後ろでずっと話を聞いていた俺は、猫耳の少女に声をかけた。
「ありが……とう」
どうやら人見知りらしい。俺はこの子を素直に可愛いと思った。そして、仲良くなりたい、そうとも思った。
「今日からお前の友達であり、ライバルとなる子だ。自己紹介しなさい」
「分かった!」
俺は目の前にいる猫耳の少女にとびっきりの笑顔で自己紹介する。
「初めまして!僕の名前は、アスフィ!アスフィ・シーネット!よろしくね!」
「は……初めまして。レイラの名前は、レイラ・セレスティア……です」
こうして俺に剣術特訓の被害者……では無く、仲間が一人増えた。それも、ただの仲間ではない。俺の後に大切な人となる存在だ。ここから始まるのだ。
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