Re:攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。【第一部新生版】

水無月いい人(minazuki)

文字の大きさ
23 / 97
第二章 《第一部》ヒーラー 王国篇

第22話 「発情期」

しおりを挟む
それからレイラたちはエルザと出会い、ミスタリス王国へと足を踏み入れた。

新鮮な日々だった。見たことのない街並み、活気に満ちた市場、異国の風に乗る香ばしいパンの匂い。
すべてが新しく、心が躍る。

だが――

「王女って……なんというか、すごい人だよね」

レイラはぽつりと呟いた。

エルザは強い。それは間違いない。
けれど、それ以上に「何を考えているのか分からない」。

あの無邪気とも言える振る舞いの裏に何があるのか、掴みきれない。
彼女を信じてもいいと思った瞬間、同時に確かな"危険"を感じた。

そして、その直感は的中する。

エルザによる、地獄の剣術修行が始まったのだった――。

***

アスフィと出会ってから、本当に色々なことがあった。
つらいこともあったけれど、それ以上に楽しいことも増えた。

今――レイラはすごく幸せだ。
家にいた頃より、ずっと。

たとえ剣術修行が大変でも、アスフィと一緒なら乗り越えられる。
そう思っていた、その時。

「……ねぇレイラ」

「なに?」

「デートしよっか」

「……!?」

レイラは思わず飲んでいたお茶を吹き出した。

***

デート。

アスフィはレイラを街のあちこちへ連れ出した。

(……きっとアスフィはレイラの気を遣ってくれてるんだ)

最近のレイラは、アスフィに迷惑ばかりかけていた。
剣術修行でもアスフィの足を引っ張り、精神的にも弱さを見せてしまっていた。
才能があるからレイラは強い、当たり前の話だ。でも、アスフィに剣の才能はない。きっとアスフィにも剣の才能があればレイラを超えていたと思う。

そんな事ばかり自分に嫌気がさしていたところだった。
でも――アスフィはそれを察してくれていたのかもしれない。

本当に、優しい人だ。

「お?君たち、デートかい?若いねぇ」

通りすがりの商人が、にこやかに声をかけてきた。

(デ、デート……!?)

「はい、今日はお休みなのでお出かけしています」

「あらまぁ、そりゃいいね!そこのお嬢ちゃんもえらくべっぴんさんじゃあねえか!彼女か?はっはっは!」

「でしょ?僕の妻です」

(……え!?)

「ア、アスフィ……?」

(本気なの……?)

舞い上がる気持ちと、羞恥心で顔が熱くなる。
思わずうつむいた。

***

レイラとアスフィは服屋に来ていた。

「ねぇ、レイラ?」

「なに、アスフィ?」

「こ、このワンピースなんてどう――」

「嫌だよ」

アスフィが持ってきたのは、胸元が大きく開いた服。

(……お母さんがよく着てる服だ……)

アスフィは残念そうな顔をして、服を棚に戻した。

(試着ぐらいはしてあげてもよかったかな……?)

そして、次にアスフィが持ってきたのは――

上下ピンクでフリルたっぷりの可愛らしい服。

(……懐かしい……)

初めてアスフィと会った時に着ていた服とよく似ている。

「すごく似合ってるよ!レイラ」

「……そう?ありがとう……」

(なんだか、昔に戻ったみたい……)

それから日が暮れ始め、レイラたちは帰ることにした。

***

部屋に戻り、食事を済ませたあと、アスフィが突然プレゼントを渡してきた。

「……誕生日プレゼント?」

「うん!レイラ、今日で十四歳でしょ?」

(覚えててくれた……!)

レイラは驚きと嬉しさで、言葉を失った。

「もちろん!もう付き合いも長いしね」

「……ありがとう、アスフィ」

両親から誕生日を祝われたことなんて一度もなかった。
ましてやプレゼントなんて――。

アスフィがくれたのは、猫の髪飾りだった。

「うん!すごく似合ってる!なんせ素材がいいからね!」
「……」

レイラは、思わずまた顔を伏せた。

***

その夜。

シャワーを浴びながら、レイラは考えていた。

(レイラはアスフィのこと、どう思ってるんだろう……)

大切な人。友達……でも――好き、なのかな?

分からない。

色々考えているうちに、随分と長風呂になってしまった。
カラダが熱い……。

(アスフィ……)

自然と、彼のことを考えていた。

(まさか……これが発情期……?)

***

「……ねぇ、アスフィ……体がアツい」

レイラはアスフィの布団に潜り込んだ。

「ちょ、レイラ!?」

「アスフィはえっちだもんね……でも今日はいいよ」

そう言って、レイラは自分の胸を触らせた。
アスフィの手が優しく触れる。

「……柔らかい」

「……っ」

(……恥ずかしい……)

アスフィはさらに要求してきた。

「……服の中も……いい?」

「いい……よ」

***

その時――

「遊びに来たよ!アスフィ、レイ……ラ……」

(……え?)

扉を勢いよく開けたのは――エルザだった。

レイラとアスフィの状況を見たエルザは、一瞬沈黙し、次の瞬間――

「パパーーー!!アスフィとレイラがいやらしいことを――!!」

(終わった……)

レイラの顔から血の気が引いた。

***

結果的に、レイラの発情期は勘違いだった。
ただの「のぼせ」だったのだ。

(……良かったのか、悪かったのか分からない……)

もし本当に発情期だったら、あのままどうなっていたんだろう――

そう考えると、またカラダが熱くなってきた
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜

霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……? 生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。 これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。 (小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

転落貴族〜千年に1人の逸材と言われた男が最底辺から成り上がる〜

ぽいづん
ファンタジー
ガレオン帝国の名門貴族ノーベル家の長男にして、容姿端麗、眉目秀麗、剣術は向かうところ敵なし。 アレクシア・ノーベル、人は彼のことを千年に1人の逸材と評し、第3皇女クレアとの婚約も決まり、順風満帆な日々だった 騎士学校の最後の剣術大会、彼は賭けに負け、1年間の期限付きで、辺境の国、ザナビル王国の最底辺ギルドのヘブンズワークスに入らざるおえなくなる。 今までの貴族の生活と正反対の日々を過ごし1年が経った。 しかし、この賭けは罠であった。 アレクシアは、生涯をこのギルドで過ごさなければいけないということを知る。 賭けが罠であり、仕組まれたものと知ったアレクシアは黒幕が誰か確信を得る。 アレクシアは最底辺からの成り上がりを決意し、復讐を誓うのであった。 小説家になろうにも投稿しています。 なろう版改稿中です。改稿終了後こちらも改稿します。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

荷物持ちを追放したら、酷い目にあった件について。

しばたろう
ファンタジー
無能だと思い込み、荷物持ちのレンジャーを追放した戦士アレクス。 しかし―― 彼が切り捨てた仲間こそが、 実はパーティを陰で支えていたレアスキル持ちだった。 事実に気づいた時にはもう遅い。 道に迷い、魔獣に襲われ、些細な任務すらまともにこなせない。 “荷物持ちがいなくなった瞬間”から、 アレクスの日常は静かに崩壊していく。 短絡的な判断で、かけがえのない存在を手放した戦士。 そんな彼と再び肩を並べることになったのは―― 美しいのに中二が暴走する魔法使い ノー天気で鈍感な僧侶 そして天性の才を秘めた愛くるしい弟子レンジャー かつての仲間たちと共に、アレクスはもう一度歩き出す。 自らの愚かさと向き合い、後悔し、懺悔し、それでも進むために。 これは、 “間違いを犯した男が、仲間と共に再び立ち上がる” 再生の物語である。 《小説家になろうにも投稿しています》

神様から転生スキルとして鑑定能力とリペア能力を授けられた理由

瀬乃一空
ファンタジー
普通の闇バイトだと思って気軽に応募したところ俺は某国の傭兵部隊に入れられた。しかし、ちょっとした俺のミスから呆気なく仲間7人とともに爆死。気が付くと目の前に神様が……。 神様は俺を異世界転生させる代わりに「罪業の柩」なるものを探すよう命じる。鑑定スキルや修復スキル、イケメン、その他を与えられることを条件に取りあえず承諾したものの、どうしたらよいか分からず、転生した途端、途方にくれるエルン。

処理中です...