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第三章 《第一部》ヒーラー 愛の逃避行篇
第35話「エルフの森」
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エルフの森といわれるこの地の最深部は物凄く広かった。
森といっても細部までこだわり抜かれた木の家具なんかもあり、そこはまるで一つの街であった。
ただし、ここにたどり着くまでには苦労が絶えなかった。
***
俺たちは、森に足を踏み入れた。
エルフの森の入口にはご丁寧にも入口と書かれた木製の看板が立てられていた。
そして森の中へと入ると、そこはまるで迷路のようだった。
これは確かに誰でも入れる訳では無い。
門番であるエルフが居るとの話ではあったが、門番が居なくてもここを通ろうとするものは殆ど居ないだろう。それ程までに中は複雑であったのだ。
「これ俺たち帰れる?道迷わないか?」
「普通に行けば迷いますね」
と答えるルクス。普通に行けばとは?
「この森を抜けるにはエルフに案内してもらう必要があります」
「そのエルフどこにいるんだよ」
「……分かりません。とりあえず進みましょう――」
とルクスが言った瞬間俺の左肩に熱いものを感じた。
矢だ。矢が飛んできたのだ。
「ぐっ……」
「アスフィ!?大丈夫ですか!?」
そしてまた飛んでくる。俺は右胸と腹に矢が刺さった。
俺の体には今三本の矢が刺さっている。そして矢を射った者が姿を現す。
「止まれっ!動けば次は頭にぶち込む!」
その物はエルフだった。木の上から矢を放ってきた。
そいつはかなり高い所にいた。ここから確認できるのは男だという事くらいだ。それくらいの情報しか得られない。
「攻撃をやめてください!私たちは敵ではありません!!」
「……その声、ルクス殿か!?……離れろそいつは『人間』の姿をしたバケモノだ!殺されるぞ!!」
「いえ!離れません!アスフィは『人間』です!だから攻撃をやめてください!お願いします!」
ルクスは叫ぶ、矢を放ったものに。
しかし、その者は聞かない。
「ルクス殿……!子供の姿をしているが、そいつはバケモノだぞ!!そいつの目を見てみろ!!」
と、その者はいう。ルクスは振り返り俺の目を見る。俺の目は赤黒くなっていたらしい。
だが、それがどうしたと再び矢を放つ者に発言する。
「……私と同じ『同族』です!!ですから――」
「仕方あるまい……死ねバケモノっ!!」
そして矢を放つエルフ。
「…………だから敵じゃないっていってんだろぉ」
「……なに!?矢が頭に刺さっているのになぜだ!なぜ死なない!?おのれバケモノめ!」
エルフはその後も何度も矢を放つ。
俺は何度も体中に矢が刺さる。
「『ヒール』『ヒール』……」
俺はずっと『ヒール』を唱え続けていた。
あの時のように……。
だが、傷は回復しても矢は刺さったまま。痛みは継続している。俺は頭の矢を抜き、そのエルフに発言する。
「……お前から攻撃してきたんだぞ」
そうだ……こいつが悪いんだ。つまりは……俺の敵?
「『消失する回復魔法(ヴァニシングヒール)』」
「……い、息ができ……な」
エルフの男はどうにか呼吸をしようと足掻く。
そして、まもなくして木から落ちていった。
「アスフィ!?……大丈夫ですか!?」
「…………はぁ、大丈夫だ。ルクス、俺の体に刺さった矢を抜いてくれるか」
「はい!」
ルクスが俺に刺さっていた矢を全て抜いてくれた。
全く、俺の言うことも聞かずに一方的に攻撃してきやがって……なんなんだアイツは。
「……アスフィ、その……目が。大丈夫ですか?」
「ああ、問題ないよ。それよりあのエルフを見に行こう」
俺たちは落ちたエルフの所へと向かった。
エルフは倒れていた。息はしている、死んではいない。
「よかったぁ……生きています」
「殺してないからな」
「……私はその……アスフィが怖かったです。私は少しおしっこが……」
「コップあるか?」
「……」
「冗談だ。大丈夫だよ。俺はルクスになにもしない」
俺は両手を上げルクスに言う。
そして改めてエルフを見る。長い耳に白い布を纏った男。
簡易的な服装に俺はエルフがどういう種族なのか大体把握した。こいつは、恐らく門番かなにかだろう。
俺のような『害悪』が出た際の。……って誰が害悪だよ。
「こいつどうするよ」
「とりあえず、縛っておきましょう。この木に」
知り合いなのにいいのか?と聞くと、ルクスはアスフィをまた攻撃してはいけませんから、と返す。
このエルフは俺をなんだと思ってるんだ。俺はまだ子供なんだぞ。……一応俺はそのつもりだ。
そして間もなくして、木に縛られたエルフが目を覚ました
「う……な、なんだこれは!」
「目が覚めましたか」
「ルクス殿……!?と、バケモノ!?ルクス殿お逃げ下さい!そいつはバケモノです!」
目を覚ますや否や、いきなり俺をバケモノというエルフの男。そんな男にルクスは怒る。
「いい加減にしてください!」
「な……」
「私はさっきも言いました。アスフィは人間です!これ以上言うなら私の上級魔法でこの森を焼き払いますよ!」
「……」
「ま、まぁ落ち着けよルクス。……なぁエルフの兄ちゃん。俺が人間か人間じゃないかはさて置き、少なくとも俺は敵じゃない。信じてくれ」
「……信じられるものか。子供の姿を真似たバケモノめ!その目はなんだ!その内に秘めた邪悪な力はなんだ!」
「――俺が敵ならアンタはもう生きていないぞ」
「そうですよ?アスフィの言う通りです。アスフィがバケモノならあなたは今生きていません。それに、それを言うならアスフィを連れてきた私もまたバケモノです」
ルクスはバケモノなんかじゃない。可愛い女の子だよ。
「…………はぁ……分かった。信じよう。だからこの縄を解いてくれ」
俺たちはエルフの縄を解いてやった。
攻撃してきたらどうするか……その時は殺す。
だが、そんな心配はしなくても良さそうだ。
「すまなかった。話くらいは聞いてやるべきだった……」
「いいよ別に」
「……私はトレイだ。この森の番人をしている」
やっぱりか。通りで話を聞かず攻撃してきたわけだ。
このトレイとかいう男は怪しい者が入ってきた時、
このようにして追い払っているのだろう。
だが、俺の場合追い払うと言うより、殺そうとしていたようなんだが……。そんなに俺がバケモノに見えたのか。
「俺はアスフィだ」
俺はあえてシーネットを名乗らなかった。
これは俺の名前だが、今の俺の名前じゃない気がしたからだ。
【それがいい】
「私は……名乗らなくても良さそうですね」
「ああ……ルクス殿。再び会えて嬉しい」
「私もです、トレイさん。こんな形で再会したくはありませんでしたが」
「……本当にすまない。アスフィ殿、君にも悪い事をした。私は君を見た瞬間、その……自分を抑えられなかった……」
「もういいって」
しかし、ルクスの話ではそれも仕方ないとの事だった。ヒューマンと違い、エルフは邪悪なオーラに敏感なのだとか。魔族や魔獣の類も、数キロ離れていても存在を把握できるとか。
そんなこんなで俺たちはとりあえずの握手をした。和解の意味も込めて。ルクスはやれやれと言った感じだった。
そしてこの森に来た経緯と俺たちの素性なんかを話した。ケンカ……の部分は話さなくても良かったんだが、ルクスは全て話した。
「……そうか……『呪い』か。確かに、王なら何か知っているかもしれない」
王とは恐らく獣人の王のことだろう。
「もし良かったら案内してくれませんか?」
「……分かった。謝罪の意味も込めて案内しよう。ただ一つ分かって欲しい」
「なんだよ」
トレイは真面目な顔で俺に言ってきた。
「気を悪くしないでほしいのだが、アスフィ殿からは邪悪な気が感じられる。私もそれにあてられた。故に私以外の同族たちもそう感じることだろう」
「分かったよ、大丈夫。メンタルは……弱いかもしれないからその時はルクスママにしがみつく」
「大丈夫です。アスフィにもし何かあれば今度は私がなんとかします」
とルクスが慰めてくれる。ありがたい話ではあるが、多分それは出させてはならない手段だな。
「……ルクス殿……それだけはやめてくれ」
俺が言うより先に口を開いたのはトレイだ。彼は頼むからとルクスに頭を下げた。この反応は一度なにかやらかしているなルクス……。ルクスは俺にいきなり上級魔法をぶち込んできた女だ。恐らく、上級魔法を放つのがクセになっているんだろう。こんな森でもし、そんなものぶっぱなしたらそれこそ大惨事だ。それを分かっているのだろう、このトレイというエルフの男は。
「では、私が皆に伝えることにする。少し待っていてくれ」
そうしてトレイは、俺たちが森に来たことを他の同族たちに伝えに森の中をその軽快な動きで伝えに回った。
――しばらくした後、トレイが戻ってきた。
「待たせた。では行こう。案内する」
「もう大丈夫なのか?」
「ああ、攻撃はしないように伝えた」
「攻撃は、か」
「ああ……こればかりは仕方ないんだ。すまない」
トレイは再び謝ってきた。まぁ仕方ないならいい。
攻撃されないようになっただけマシだ。
トレイの案内で俺たちはついに森の最深部にたどり着く……。
そして待ち受けていたのは――
「帰れー!バケモノー!」
「しねーーーバケモノ!」
「出ていけーバケモノー!」
と言った罵声だった。
トレイさん……アンタほんとに言ったのか?
これはもうれっきとした言葉の攻撃だよ?
俺は街に入ってそうそう、心にダメージを受けた。
「や、やぁバケモノではないから安心してね」
「うるさいしねー!バケモノー!」
「……ルクス……俺、バケモノなのかな………?」
「よしよし、大丈夫です。アスフィは人間ですよ」
俺はルクスに泣き付いた。ルクスはよしよしとその小さな胸で抱き留め、頭を撫でてくれた。
泣きそうだったオレだが、思ったよりルクスの胸は柔らかかった。
「アスフィ……」
「アスフィ殿……」
「いや、だって俺今傷ついてるんだよ!?慰めてよ!?」
なんだよ二人ともその目は……!
はいはい分かったよ。もうあと五分堪能したら離れるよ。
こうして待ちに待ったエルフの街に待っていたのは、
歓迎ムードではなく、罵声であったのだ。
森といっても細部までこだわり抜かれた木の家具なんかもあり、そこはまるで一つの街であった。
ただし、ここにたどり着くまでには苦労が絶えなかった。
***
俺たちは、森に足を踏み入れた。
エルフの森の入口にはご丁寧にも入口と書かれた木製の看板が立てられていた。
そして森の中へと入ると、そこはまるで迷路のようだった。
これは確かに誰でも入れる訳では無い。
門番であるエルフが居るとの話ではあったが、門番が居なくてもここを通ろうとするものは殆ど居ないだろう。それ程までに中は複雑であったのだ。
「これ俺たち帰れる?道迷わないか?」
「普通に行けば迷いますね」
と答えるルクス。普通に行けばとは?
「この森を抜けるにはエルフに案内してもらう必要があります」
「そのエルフどこにいるんだよ」
「……分かりません。とりあえず進みましょう――」
とルクスが言った瞬間俺の左肩に熱いものを感じた。
矢だ。矢が飛んできたのだ。
「ぐっ……」
「アスフィ!?大丈夫ですか!?」
そしてまた飛んでくる。俺は右胸と腹に矢が刺さった。
俺の体には今三本の矢が刺さっている。そして矢を射った者が姿を現す。
「止まれっ!動けば次は頭にぶち込む!」
その物はエルフだった。木の上から矢を放ってきた。
そいつはかなり高い所にいた。ここから確認できるのは男だという事くらいだ。それくらいの情報しか得られない。
「攻撃をやめてください!私たちは敵ではありません!!」
「……その声、ルクス殿か!?……離れろそいつは『人間』の姿をしたバケモノだ!殺されるぞ!!」
「いえ!離れません!アスフィは『人間』です!だから攻撃をやめてください!お願いします!」
ルクスは叫ぶ、矢を放ったものに。
しかし、その者は聞かない。
「ルクス殿……!子供の姿をしているが、そいつはバケモノだぞ!!そいつの目を見てみろ!!」
と、その者はいう。ルクスは振り返り俺の目を見る。俺の目は赤黒くなっていたらしい。
だが、それがどうしたと再び矢を放つ者に発言する。
「……私と同じ『同族』です!!ですから――」
「仕方あるまい……死ねバケモノっ!!」
そして矢を放つエルフ。
「…………だから敵じゃないっていってんだろぉ」
「……なに!?矢が頭に刺さっているのになぜだ!なぜ死なない!?おのれバケモノめ!」
エルフはその後も何度も矢を放つ。
俺は何度も体中に矢が刺さる。
「『ヒール』『ヒール』……」
俺はずっと『ヒール』を唱え続けていた。
あの時のように……。
だが、傷は回復しても矢は刺さったまま。痛みは継続している。俺は頭の矢を抜き、そのエルフに発言する。
「……お前から攻撃してきたんだぞ」
そうだ……こいつが悪いんだ。つまりは……俺の敵?
「『消失する回復魔法(ヴァニシングヒール)』」
「……い、息ができ……な」
エルフの男はどうにか呼吸をしようと足掻く。
そして、まもなくして木から落ちていった。
「アスフィ!?……大丈夫ですか!?」
「…………はぁ、大丈夫だ。ルクス、俺の体に刺さった矢を抜いてくれるか」
「はい!」
ルクスが俺に刺さっていた矢を全て抜いてくれた。
全く、俺の言うことも聞かずに一方的に攻撃してきやがって……なんなんだアイツは。
「……アスフィ、その……目が。大丈夫ですか?」
「ああ、問題ないよ。それよりあのエルフを見に行こう」
俺たちは落ちたエルフの所へと向かった。
エルフは倒れていた。息はしている、死んではいない。
「よかったぁ……生きています」
「殺してないからな」
「……私はその……アスフィが怖かったです。私は少しおしっこが……」
「コップあるか?」
「……」
「冗談だ。大丈夫だよ。俺はルクスになにもしない」
俺は両手を上げルクスに言う。
そして改めてエルフを見る。長い耳に白い布を纏った男。
簡易的な服装に俺はエルフがどういう種族なのか大体把握した。こいつは、恐らく門番かなにかだろう。
俺のような『害悪』が出た際の。……って誰が害悪だよ。
「こいつどうするよ」
「とりあえず、縛っておきましょう。この木に」
知り合いなのにいいのか?と聞くと、ルクスはアスフィをまた攻撃してはいけませんから、と返す。
このエルフは俺をなんだと思ってるんだ。俺はまだ子供なんだぞ。……一応俺はそのつもりだ。
そして間もなくして、木に縛られたエルフが目を覚ました
「う……な、なんだこれは!」
「目が覚めましたか」
「ルクス殿……!?と、バケモノ!?ルクス殿お逃げ下さい!そいつはバケモノです!」
目を覚ますや否や、いきなり俺をバケモノというエルフの男。そんな男にルクスは怒る。
「いい加減にしてください!」
「な……」
「私はさっきも言いました。アスフィは人間です!これ以上言うなら私の上級魔法でこの森を焼き払いますよ!」
「……」
「ま、まぁ落ち着けよルクス。……なぁエルフの兄ちゃん。俺が人間か人間じゃないかはさて置き、少なくとも俺は敵じゃない。信じてくれ」
「……信じられるものか。子供の姿を真似たバケモノめ!その目はなんだ!その内に秘めた邪悪な力はなんだ!」
「――俺が敵ならアンタはもう生きていないぞ」
「そうですよ?アスフィの言う通りです。アスフィがバケモノならあなたは今生きていません。それに、それを言うならアスフィを連れてきた私もまたバケモノです」
ルクスはバケモノなんかじゃない。可愛い女の子だよ。
「…………はぁ……分かった。信じよう。だからこの縄を解いてくれ」
俺たちはエルフの縄を解いてやった。
攻撃してきたらどうするか……その時は殺す。
だが、そんな心配はしなくても良さそうだ。
「すまなかった。話くらいは聞いてやるべきだった……」
「いいよ別に」
「……私はトレイだ。この森の番人をしている」
やっぱりか。通りで話を聞かず攻撃してきたわけだ。
このトレイとかいう男は怪しい者が入ってきた時、
このようにして追い払っているのだろう。
だが、俺の場合追い払うと言うより、殺そうとしていたようなんだが……。そんなに俺がバケモノに見えたのか。
「俺はアスフィだ」
俺はあえてシーネットを名乗らなかった。
これは俺の名前だが、今の俺の名前じゃない気がしたからだ。
【それがいい】
「私は……名乗らなくても良さそうですね」
「ああ……ルクス殿。再び会えて嬉しい」
「私もです、トレイさん。こんな形で再会したくはありませんでしたが」
「……本当にすまない。アスフィ殿、君にも悪い事をした。私は君を見た瞬間、その……自分を抑えられなかった……」
「もういいって」
しかし、ルクスの話ではそれも仕方ないとの事だった。ヒューマンと違い、エルフは邪悪なオーラに敏感なのだとか。魔族や魔獣の類も、数キロ離れていても存在を把握できるとか。
そんなこんなで俺たちはとりあえずの握手をした。和解の意味も込めて。ルクスはやれやれと言った感じだった。
そしてこの森に来た経緯と俺たちの素性なんかを話した。ケンカ……の部分は話さなくても良かったんだが、ルクスは全て話した。
「……そうか……『呪い』か。確かに、王なら何か知っているかもしれない」
王とは恐らく獣人の王のことだろう。
「もし良かったら案内してくれませんか?」
「……分かった。謝罪の意味も込めて案内しよう。ただ一つ分かって欲しい」
「なんだよ」
トレイは真面目な顔で俺に言ってきた。
「気を悪くしないでほしいのだが、アスフィ殿からは邪悪な気が感じられる。私もそれにあてられた。故に私以外の同族たちもそう感じることだろう」
「分かったよ、大丈夫。メンタルは……弱いかもしれないからその時はルクスママにしがみつく」
「大丈夫です。アスフィにもし何かあれば今度は私がなんとかします」
とルクスが慰めてくれる。ありがたい話ではあるが、多分それは出させてはならない手段だな。
「……ルクス殿……それだけはやめてくれ」
俺が言うより先に口を開いたのはトレイだ。彼は頼むからとルクスに頭を下げた。この反応は一度なにかやらかしているなルクス……。ルクスは俺にいきなり上級魔法をぶち込んできた女だ。恐らく、上級魔法を放つのがクセになっているんだろう。こんな森でもし、そんなものぶっぱなしたらそれこそ大惨事だ。それを分かっているのだろう、このトレイというエルフの男は。
「では、私が皆に伝えることにする。少し待っていてくれ」
そうしてトレイは、俺たちが森に来たことを他の同族たちに伝えに森の中をその軽快な動きで伝えに回った。
――しばらくした後、トレイが戻ってきた。
「待たせた。では行こう。案内する」
「もう大丈夫なのか?」
「ああ、攻撃はしないように伝えた」
「攻撃は、か」
「ああ……こればかりは仕方ないんだ。すまない」
トレイは再び謝ってきた。まぁ仕方ないならいい。
攻撃されないようになっただけマシだ。
トレイの案内で俺たちはついに森の最深部にたどり着く……。
そして待ち受けていたのは――
「帰れー!バケモノー!」
「しねーーーバケモノ!」
「出ていけーバケモノー!」
と言った罵声だった。
トレイさん……アンタほんとに言ったのか?
これはもうれっきとした言葉の攻撃だよ?
俺は街に入ってそうそう、心にダメージを受けた。
「や、やぁバケモノではないから安心してね」
「うるさいしねー!バケモノー!」
「……ルクス……俺、バケモノなのかな………?」
「よしよし、大丈夫です。アスフィは人間ですよ」
俺はルクスに泣き付いた。ルクスはよしよしとその小さな胸で抱き留め、頭を撫でてくれた。
泣きそうだったオレだが、思ったよりルクスの胸は柔らかかった。
「アスフィ……」
「アスフィ殿……」
「いや、だって俺今傷ついてるんだよ!?慰めてよ!?」
なんだよ二人ともその目は……!
はいはい分かったよ。もうあと五分堪能したら離れるよ。
こうして待ちに待ったエルフの街に待っていたのは、
歓迎ムードではなく、罵声であったのだ。
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