Re:攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。【第一部新生版】

水無月いい人(minazuki)

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第六章 《第一部》ヒーラー 絶望と反撃の覚醒篇

第72.5話「失われた光、響く後悔の詩」

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俺はアイツらに何をしてやれただろうか。  
レイラに、ルクスに、エルザに――。  

レイラは初めて俺に愛をくれた。  
無知だった俺に、愛というものがどういう感情かを教えてくれた。  

ルクスは俺に、本当の自分をさらけ出すことを許してくれた。  
嘘や見栄を取り払い、ありのままの自分でいていいと教えてくれた。  

エルザは俺に勇気をくれた。  
どんな困難にも立ち向かう気持ちを、背中で示してくれた。  

……皆、俺にとって大切な存在だった。  

なのに、どうしてだ。  
俺はどうして、こんなにも無力なんだ。  

レイラだけじゃない。ルクスもエルザも――みんな俺を置いていった。  
ハクの攻撃を受ける直前、あいつらは俺を庇うように背中を向け、俺を押し倒した。  
盾になったのだ。俺のために――。  

二人の最後の顔は、穏やかな笑顔だった。  
それがかえって俺の胸を抉る。あの笑顔が、頭から離れない。いや、離れないどころか、焼き付いて剥がれないんだ。  

なぜ俺は「ヒール」を使わなかった?  
いや、使えなかったのか。  

一瞬の出来事だった。それも理由の一つだ。だが、それだけじゃない。  
俺は……あいつらに「回復魔法」を使うのをためらった。  

炎に焼かれる。回復する。  
その地獄のような繰り返しを、俺は知っていた。  
そして、今回のハクの攻撃は、その比じゃない。  

――ならいっそ、楽にしてやるほうがいいんじゃないか。  

俺は……あの一瞬の中でそう考えてしまったんだ。  

結果的に、俺はあいつらを見殺しにした。  
俺があいつらを……殺した。  

どっちが正しかったのかなんて分からない。  
どんな言い訳も、この手の汚れを拭うことはできない。  

分からない……分からない……分からないよ……!  
父さん、母さん……俺はどうすればいい?  
僕は……どうすればいいんですか……?  

――もう、どうでもいい。  

俺の中で何かが壊れる音がした。  
アイツ・・・が、俺の体を勝手に動かして何かをしている。  
声をかけてくるが、それが何なのか、もう分からない。  

分からなくてもいい。  

好きにしてくれ――俺にはもう何も無いんだ。  

何もかも失った。全てを失った。  

ごめん……みんな。俺だけ生き残っちまったよ……。  

少し……眠い……。俺は眠るよ……。  

ごめんな……みんな……本当に、ごめんなさい……。
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