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聖女となると認めた私は、改めて客間に案内された。何部屋もあってお風呂もトイレも付いてて、バラエティ番組で見る一泊十万円とかのホテルのスイートルームみたいだ。
「手前の部屋に侍女と護衛が控えています。何かあれば彼らにお申し付けください」
「あ、どうも。お世話になります」
頭を下げる私に、相手が面食らってる。
「後で昼食を運びます。食後はごゆっくりなさってください」
と言って、王子様は去って行った。緊張から解放される。
予想通り美味しい昼食を食べ終え、まったりするのにも飽きてきた頃、侍女が客の訪問を伝えた。
聞いてもどうせ誰か分からないから、通してもらう。
「わあ……!」
初めて本物の金髪の縦ロール見た。重そうなゴージャスなドレス。これはもしかして………。
「レティシア・ファンダムです。聖女様の話し相手に呼ばれたファンダム公爵家の娘ですわ。聖女様がこの国で感じた不安や疑問を、何でも聞いてくださいませ」
ひゃああ~。やっぱり公爵令嬢ですか!
初めて見る生の公爵令嬢に、ソファに座るよう勧める。わくわく。
侍女がお茶を淹れてくれる。
「レティシア様は、王子様の婚約者ですか?」
「殿下に婚約者はいませんわ」
なんだ、テンプレとは違った。
「だって、召喚された聖女様が彼を望むかもしれないでしょう?」
聖女とのパターンか。やっぱテンプレ……ええっ!?
「聖女って、私!? 望みません! 無理!」
思いっきり顔の前で両手を振る。付き合うなら高校生がいいです!
「あら、そうですの」
表情に出さないようにしてますが嬉しそうなのが分かりますよ、レティシア様。そっか、私が帰った後に婚約するのですね。
さて、「何でも聞いてください」かぁ……。
「具体的な神事のやり方とかわかります?」
「それは、明日大神官から説明がありますわ」
百年に一度の事だから、公爵令嬢は知らないか。あの偉い人は大神官って言うんだ。
「あの、この国の面積と人口は? 産業は何でしょう? 周りの国とは仲がいいの?」
「……さあ、私には分かりませんわ」
え? 公爵令嬢なのに? と、思ったが、そうだこの人は王子様の婚約者じゃないから王子妃教育されてない。淑女教育のみの超ブルジョア箱入り娘なんだ。
……困った。話題が無い。
恋バナとか?
でも、うっかり「王子様ステキですね」なんて言ったら、「狙ってるのか」と思われそうだし……。
そして、「当たり障りのない会話」とはこういうことかぁぁぁ!、という時間を過ごした。
「ごめんね、女性同士だと話がはずむかと思ったんだけど」
夕食の準備が出来たと連れて来られた部屋には、王子様だけが待っていた。
これは、私を(ってか聖女を)狙っている?と思ったのだが。
「人数が多い方がいいの? 父や母と一緒だと肩が凝るかと思ったんだけど」
凝ります。きっとガチガチに。お心遣いありがとう!
そんなで食事が始まったのだけど、
「レティシア嬢はどうだった?」
と聞かれて
「もういいです」
と、素直に答えてしまった。
謝ってくれた王子様は、私の質問にスラスラと答えてくれた。さすが。
「それじゃ、私の国では今値上げラッシュなんですが、こちらではどうですか?」
「聖女アユミは経済にも造詣が深いのか」
いいえ、ポテチが百円で買えなくなった事を憂いてるだけです。
明日は、午前中に大神官から神事の説明があるそうだ。
「それが終わったら午後は自由なんだけと、何かしたい事はありますか?」
「自由……」
「観光とか、買い物とか」
うわああ、めっちゃ興味ある! 異世界の風景や建物とか! 市場で異世界の日常を見たり、街で食べ歩きとか!
でも……。
「いえ、どこにも行きません」
王子様が驚いているが、『アルファパレス』を読んでいる私は知っている。
街に行くと、高確率でトラブルに遭うのだ。
「無事に神事を終わらせる事を優先します」
そして、予定通りに帰るのだー!
「ありがとう。さすがは聖女アユミ」
ん? 何が『さすがは』なんだろう。
夕食後、侍女に勧められてお風呂に入る。
いつの間にか、寝間着と替えの下着と室内履き、明日着るワンピースと靴が用意されていた。
スイートルームのゴージャスなお風呂で、パンツとブラと靴下を手洗いする私。聖女に出世(?)しても、下着を他人に洗ってもらう勇気は無い。タオルで包んでぎゅっと絞る。これで寝室の家具の取手にでも引っ掛けておけば、帰る日までに乾くだろう。
環境が変わっても、とことん庶民な私だった。
「手前の部屋に侍女と護衛が控えています。何かあれば彼らにお申し付けください」
「あ、どうも。お世話になります」
頭を下げる私に、相手が面食らってる。
「後で昼食を運びます。食後はごゆっくりなさってください」
と言って、王子様は去って行った。緊張から解放される。
予想通り美味しい昼食を食べ終え、まったりするのにも飽きてきた頃、侍女が客の訪問を伝えた。
聞いてもどうせ誰か分からないから、通してもらう。
「わあ……!」
初めて本物の金髪の縦ロール見た。重そうなゴージャスなドレス。これはもしかして………。
「レティシア・ファンダムです。聖女様の話し相手に呼ばれたファンダム公爵家の娘ですわ。聖女様がこの国で感じた不安や疑問を、何でも聞いてくださいませ」
ひゃああ~。やっぱり公爵令嬢ですか!
初めて見る生の公爵令嬢に、ソファに座るよう勧める。わくわく。
侍女がお茶を淹れてくれる。
「レティシア様は、王子様の婚約者ですか?」
「殿下に婚約者はいませんわ」
なんだ、テンプレとは違った。
「だって、召喚された聖女様が彼を望むかもしれないでしょう?」
聖女とのパターンか。やっぱテンプレ……ええっ!?
「聖女って、私!? 望みません! 無理!」
思いっきり顔の前で両手を振る。付き合うなら高校生がいいです!
「あら、そうですの」
表情に出さないようにしてますが嬉しそうなのが分かりますよ、レティシア様。そっか、私が帰った後に婚約するのですね。
さて、「何でも聞いてください」かぁ……。
「具体的な神事のやり方とかわかります?」
「それは、明日大神官から説明がありますわ」
百年に一度の事だから、公爵令嬢は知らないか。あの偉い人は大神官って言うんだ。
「あの、この国の面積と人口は? 産業は何でしょう? 周りの国とは仲がいいの?」
「……さあ、私には分かりませんわ」
え? 公爵令嬢なのに? と、思ったが、そうだこの人は王子様の婚約者じゃないから王子妃教育されてない。淑女教育のみの超ブルジョア箱入り娘なんだ。
……困った。話題が無い。
恋バナとか?
でも、うっかり「王子様ステキですね」なんて言ったら、「狙ってるのか」と思われそうだし……。
そして、「当たり障りのない会話」とはこういうことかぁぁぁ!、という時間を過ごした。
「ごめんね、女性同士だと話がはずむかと思ったんだけど」
夕食の準備が出来たと連れて来られた部屋には、王子様だけが待っていた。
これは、私を(ってか聖女を)狙っている?と思ったのだが。
「人数が多い方がいいの? 父や母と一緒だと肩が凝るかと思ったんだけど」
凝ります。きっとガチガチに。お心遣いありがとう!
そんなで食事が始まったのだけど、
「レティシア嬢はどうだった?」
と聞かれて
「もういいです」
と、素直に答えてしまった。
謝ってくれた王子様は、私の質問にスラスラと答えてくれた。さすが。
「それじゃ、私の国では今値上げラッシュなんですが、こちらではどうですか?」
「聖女アユミは経済にも造詣が深いのか」
いいえ、ポテチが百円で買えなくなった事を憂いてるだけです。
明日は、午前中に大神官から神事の説明があるそうだ。
「それが終わったら午後は自由なんだけと、何かしたい事はありますか?」
「自由……」
「観光とか、買い物とか」
うわああ、めっちゃ興味ある! 異世界の風景や建物とか! 市場で異世界の日常を見たり、街で食べ歩きとか!
でも……。
「いえ、どこにも行きません」
王子様が驚いているが、『アルファパレス』を読んでいる私は知っている。
街に行くと、高確率でトラブルに遭うのだ。
「無事に神事を終わらせる事を優先します」
そして、予定通りに帰るのだー!
「ありがとう。さすがは聖女アユミ」
ん? 何が『さすがは』なんだろう。
夕食後、侍女に勧められてお風呂に入る。
いつの間にか、寝間着と替えの下着と室内履き、明日着るワンピースと靴が用意されていた。
スイートルームのゴージャスなお風呂で、パンツとブラと靴下を手洗いする私。聖女に出世(?)しても、下着を他人に洗ってもらう勇気は無い。タオルで包んでぎゅっと絞る。これで寝室の家具の取手にでも引っ掛けておけば、帰る日までに乾くだろう。
環境が変わっても、とことん庶民な私だった。
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