【完結】竜騎士の私は竜の番になりました!

胡蝶花れん

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2:望まぬ縁談

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 「もぅーっ!なぜよりにもよって、『竜騎士』になんてものになってしまったのよ!」 

 「・・・まぁ、小さい頃からの夢でしたし、お陰様で『竜の御目通り』の試練もクリアできましたからね。」 

 「そうよ!女の身で、竜騎士になる人なんていなかったから、安心していたのに、まさか本当になるなんて・・・」

  と、頭を両手で抱え込んでしまった。この女性はジョアンナ・ローエングリン、セレスティアの継母である。

  セレスティアが竜騎士になることを表明した中で、唯一反対したのが、継母のジョアンナだった。

 そして、ジョアンナが困り果てている理由は、彼女が持ってきた縁談だった。どこかでセレスティアを見初めたらしいバルツァー侯爵が、セレスティアとの縁談を申し込んできたのだ。侯爵といえば、高位貴族であることから縁ができるに越したことはないことと、ジョアンナは昔から先妻の子であるセレスティアのことは疎ましく思っていたので、家から追い出せるとばりに意気揚々とセレスティアにあてがおうとしたのだ。ところがそこへセレスティアが騎士ではなく竜騎士になってしまったことから、ジョアンナの思惑が外れてしまったのである。

 「お言葉ですが・・・我が家は代々騎士の系譜です。例え竜騎士になれなかったとしても、騎士として身の上を立てていくつもりでした。」
 
「そんなのわかってるわよ!騎士だったら、まだどうとでもなるわよ!けど竜騎士なんてなったら、当面結婚はできないじゃない!!」

 ジョアンナが怒っているのには理由がある。実は竜騎士は独自のルール(注意事項)が別途に設けられていた。

 それは、これから5年の間は男女の付合いの類(婚約・結婚含む)は一切禁止と定められているからだ。

 理由としては、竜騎士と飛竜がタッグを組んだばかりなので、変に他の人の匂いがついてしまうのは、飛竜との訓練で妨げになるからと言われている。そのため竜騎士は、5年は恋愛禁止という独自のルールが設けられているのだ。
 
 5年経てば恋愛は解禁となる訳だが、女性の場合はやはり事情が異なる。当然5年も経てば、婚期行き遅れ確定になるからだ。女騎士の場合はこれに当てはまらないので、5年待つ必要はない。いつでも結婚が可能だ。 だからジョアンナは頭を抱え込んでいたのだ。

 「せっかくの縁談が!侯爵家の縁談なんてめったとない機会だったのに、竜騎士のせいで、話が流れちゃうじゃない!」

 「・・・有り難いお話ではありますが、竜騎士は誰でもなれる職業ではありませんから、多少行き遅れになる事は元々覚悟しておりました。」

  そう言いつつ、セレスティアは元々騎士として身を立てていこうと考えていたので、実際のところは行き遅れどころか、結婚しなくてもいいとさえ考えていた。それに何より、竜騎士の職により結婚を優先させるなど、国がそれを許すはずがなかった。何度もいうがそれだけ竜騎士という職業は成り手が限定されるだけあって、言い方は悪いが余程の事がない限り、一御令嬢の婚期が遅れようとも竜騎士を辞するなど国が承知するはずもなかった。

 そういう意味では、セレスティアは竜騎士になれて本当に良かったと、心の中ではかなり安堵していた。
 もともと、セレスティアの家は武闘派の家系だったこともあり、小さい頃から刺繍よりも剣のお稽古、ダンスよりも格闘、といった環境だったため、本人もそちらを好んだことにより、令嬢としての教育内容はセレスティアにとっては苦痛なものでしかなかった。
 家の為には、政略結婚がいいことはわかってはいたが、セレスティアは見た目に似合わず脳筋なこともあり自分が騎士となり、武勲を立てて家に尽くそうと幼い頃から考えていた。
 そういう意味では、此度の竜騎士就任というのは、家にかなり貢献できたのではないかとセレスティアは思っていたのだが・・・ 

 女は結婚してこそ、家の役に立つ。という考えはジョアンナに限らず、貴族社会一般ではそのように考えられているのが大半なゆえ、この縁談が通常であれば良縁と捉えられるのは当然であったことから、本来ならば断りを入れるなど言語道断であった。

 「でも・・・せっかくの侯爵との縁を持てるかもしれないのに・・・」

 ジョアンナはしつこく食い下がろうとしていた。余程此度の縁談を逃がしたくないのだろう。しかし、竜騎士になってしまい爵位の低い方から、5年待ってほしいとは言えないだろう。

 だが、セレスティアにしてみれば、結婚願望は全くなかったし、むしろ侯爵という高位貴族との縁とやらも、どうでもいい事だった。家がお金に困窮しているなら、わからぬもないが、父や兄も騎士職として生計をたてており、父にいたっては領地運営も執事に大半を任せながらも一応は兼任しており、家のお財布事情も問題はなかったからである。

 それに高位貴族ともなれば、淑女のマナーについては、さらに口うるさいのは火を見るよりも明かで、セレスティアにしてみれば余計なお世話以外の何者でもなかったのだ。

 本当に、この人はある意味変わらないな・・・

 セレスティアは幼い日の事を思い返していた。
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