【完結】竜騎士の私は竜の番になりました!

胡蝶花れん

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7:仕掛けられた悪意~前編~(セレスティア9歳)

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 『仕掛けてくる。』この言葉の意味は、ユージィンが帰宅後にすぐに判明した。 

 「婚約?」

 「えぇ、悪い話じゃないでしょう?貴族令嬢なら小さいうちから婚約していることは、そう珍しいことではないし。」

 義母ジョアンナは、とある伯爵家の縁談話をセレスティアに持ってきたのだ。通常の貴族の令嬢であれば、幼い頃から婚約するということも、確かに珍しい話ではない。だが、セレスティアは竜騎士を目指している。竜騎士の独自のルールがあることから現時点でそんなことをしてしまっては、自分の夢が断たれてしまう。

 「お義母さま、前からお伝えしておりますが、私は騎士にいえ、竜騎士になることが夢なのです。なので、婚約などしてしまいますと、レールにも乗れなくなってしまいます。申し訳ありませんが、そのお話をお受けるわけにはいきません。」

 当然セレスティアはきっぱりと断った。

 「はっ、貴方まだそんな眠たいこと言ってるの?本気で女性が竜騎士なんぞになれるとお思い?」

 何を言ってるんだとばかりに、ジョアンナは意地の悪い顔をセレスティアに向けた。

 「それは・・・でもやってもいないうちから諦めたくはありません!」

 「何?自分だったら変えられるとでも?はん!勘違いというか、身の程知らずというか、ホント図々しい子ね!」
 
 確かに言われても仕方ないとセレスティアは思ったがグッと堪えた。

 「いい?私は貴方の母親として、ちゃんと貴方の将来を考えて組んであげた縁談なのよ。感謝されこそ断るなんて有り得ないわ!これは決定事項よ!旦那様にもちゃんと話を通してあるから諦めなさい!」

 反論は許さないとばかりに、ピシャリと言い放ちそのままセレスティアの部屋をジョアンナは出ていった。
  
「そんな・・・お父様まで、嘘・・・どうして?!」

 セレスティアはかなり驚いていた。父は自分の夢を応援してくれていたはず。それなのにこの縁談話を通してある?そんな?どうして?セレスティアの中でいろんな感情が渦巻いていた。

 『これは竜騎士だけにとは限らないけど、チャンスはどこに転がっているかわからないからね、最後まで諦めない事だ。』

 セレスティアの中で先ほどのユージィンの言葉が浮かんできた。

 そうよ!諦めちゃだめよ!考えたってわからない。まずはお父様に直談判して確認をして、もし仮にそうだったとしても説得すればいい!きっとお父様だったらわかってくれるはず!

 セレスティアはそうと決まれば、部屋を飛び出した。するとそこにはそこにはソフィアが立っていた。

「あら、お姉さま。落ち込んだ顔を見に来たんだけど、慌ててどこに行くのかしら?」

 なるほど、縁談話はソフィアも知っていたらしく、趣味悪くセレスティアが落ち込んでいるところへ、どうせ追い討ちをしにきたのだろうと、セレスティアは思い至った。

 「お父様の所に行くのよ。」

 「へぇ、決まってることなのに、お姉様の我儘で断ろうってことかしら?」

 「我儘?」

 「だって、そうでしょう?お母様がわざわざ縁談をお姉様の為に組んでくれたのよ。それを女騎士だなんて野蛮なことの為に、せっかくの縁談をなくすなんて考えられないわ。」

 さすがに今の言葉にはセレスティアはカチンときた。

 「女騎士が野蛮?うちは代々騎士をしている家なのよ!今の発言は許せないわ!撤回して!」

 自分の事ならまだしも、先祖のことまでバカにされるなど、セレスティアは我慢ならなかった。ソフィアはセレスティアが初めて怒気を込めて言い返したことに少したじろいでしまった。

 「う、うるさいわね!令嬢たるもの、「へぇ~ご令嬢とは思えない物言いだね。」」

 「だ、誰?!」

 ソフィアは割って入った後ろからした声に、慌てて振り返った。

 「ユ、ユージィン叔父様・・・」

 「叔父様?!帰ったんじゃ?!」

 そこには帰ったはずのユージィンが立っていた。

 「ん~帰るつもりだったんだけどね、イールが引き返せっていうものんだから、戻ってきちゃった♪」

 イールは感じ取っていた悪意に変化が起きたのを察知した。その為、引き返してきたのだ。

 「ソフィア、君もローエングリン家の子供なら、先ほどのセリフは撤回すべきだ。何だったら、兄上の前で同じセリフをもう一度言えるかい?」

 ソフィアは初めこそはユージィンの見た目の良さにすり寄ってはいたのだが、次第に苦言を言われることが多くなってからは、今ではすっかり苦手になっていた。苦言の内容はもちろんセレスティアについてである。

 「くっ!な、なによ!」

 分が悪くなったとわかったソフィアは翻してその場を離れていった。

 「あ、ありがとう、叔父様。」

 「いや、イールの言う通り引き返して良かったよ。まさかこんなすぐに仕掛けてくるとは思わなかったし。ま、僕も子供相手に大人気なかったけどね。」

 そう言いつつも、ユージィンは悪びれたところはなかった。その様子を見て、セレスティアは笑いが込み上げてきたが、ユージィンに促された。

 「セレス早く兄上のところに行かないと不味くないかい?」
 
 「あ、そうだ!早くお父様の所へ行かなきゃ!」

 セレスティアとユージィンは足早にセスのいる執務室に向かった。
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