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23:卒業パーティー~後編~
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主賓席には、フェリス王国のコルネリウス王と第二王子のフェルディナントがいた。第一王子は、遠征で現在国を離れていた。
「ディーン、横にいるのが初の女性で竜騎士になったという妹君だな?」
そう言うとコルネリウス王は、セレスティアを品定めするかのように見ていた。
「はい、我が妹のセレスティアと申します。」
「お初にお目に掛かります。セレスティア・ローエングリンと申します。」
セレスティアはドレスの両端を持ち、カーテーシーをした。一応念のためにお伝えしておくと、彼女は淑女教育は好きではないが、やればできる子なので、最低限のマナーはちゃんと身に付けてるぞ!
「ほぉ~・・・竜騎士というからには少々はゴツイ女を想像していたが、これはこれは・・・おっと、まずは卒業おめでとう。」
「恐縮至極に存じます。」
フェルディナント王子の視線は値踏みしているソレであった。だが、セレスティアはそういう視線には慣れていたので、気にしないでいた。通称通りの無表情になっていたのだ。
「ふーん、面白いな。王族相手でもニコリともしないとは。」
フェルディナント王子は、セレスティアのことを面白そうに見ていた。
「・・・・・」
「申し訳ございません。お伝えしていた通り、妹は愛想がありませんので。」
ディーンはセレスティアのことを事前に根回ししていた。
「まぁ、いい。騎士は主君を護ってこそだ。愛想笑いが騎士の本道ではないことは、僕もそれくらいは弁えているつもりだ。」
「恐縮でございます。」
「では、セレスティア嬢、卒業記念に僕と一曲踊ってもらえるかな?」
フェルディナント王子は、セレスティアよりも2つ年上の20歳、金髪に赤い瞳の整った容姿であるが、ディーンからは常々食えない人物だと聞いていた。フェルディナント王子は、セレスティアに手を差し出した。
「はい、仰せのままに。」
取りあえず、この一曲が終われば解放されると思い、セレスティアは王子の手を取った。王子の行動に合わせ、ダンス用の曲が流れ、二人はホールの真ん中でダンスを始めた。
当然のことながら、婚約者でもないセレスティアが卒業パーティで王族と踊るとなると、一心に注目を浴びることになった。ただでさえ、セレスティアの容姿はその美しさで目立つし、フェルディナント王子も同じ理由で注目を浴びる人だっただけに嫌でも視線は集中してしまった。その中にはノアベルトもいて驚いていた。
「お、おい、セレスティアがフェルディナント王子と踊ってるぞ。」
さすがに相手が王子だったので、いつもの茶化す感じではなく、むしろ焦った感じでルッツに話しかけた。
「あぁ、聞いてるから知ってるよ。」
だが、ルッツはセレスティアから聞いていたので、驚くことはなかった。
「あれ?知ってたの?」
「まーね。セレスティアも大変なんだよ。」
「そっか・・・。」
ノアベルトもこの場の空気を読み、それ以上はルッツに追及しなかった。
「ふふ、セレスティア嬢会いたかったよ。なかなかディーンが首を立てに振ってくれなくてね。それで今回はかなり我儘を言ったんだ。」
「そうでしたか。」
ディーンからは今回のダンスの事しか話は聞いていなかったが、自分の知らないところで、今まで防波堤になってくれていたのだなとセレスティアはディーンに感謝した。
「あのディーンの妹だから、興味深かったのだけど、やっぱり面白いね君。」
「そうですか?至って普通だと思いますが。」
特に面白い事をしたことも話した覚えもないので、セレスティアは本当に意味がわからなかった。妹といえばソフィアもいるのだけど、と思ったが何となく今はその話題はしないほうがいい気がしたので、敢えて口にするのは止めた。
「ふふ、そういうところだよ。そっか・・・竜騎士だものね、5年縛りが口惜しいな・・・」
「??」
何が口惜しいのかは、さっぱりセレスティアには思い付くことはなかったが、彼女の頭の中は、今の曲が後どれくらいで終わるのだろう?ということと、相手は王子だからさすがに足は踏まないように気を付けないとな、とこの2点のみだった。後は王子なだけあってダンスは上手いのだなと感心はしていた。
「いや、竜騎士でなければ、僕の婚約者候補にどうかと思ったのだけどね。」
セレスティアは、ほぼ初対面の自分に何を言ってるんだこの人は、っと心の中で突っ込みをいれ流石に口に出すわけにいかないので、
「お戯れを・・・・」
と、取りあえず無難こたえておいた。
「ふふ、顔に出てるよ、「何言ってるんだこいつは」って。」
だが、フェルディナント王子は、セレスティアの思いを見透かしたように意地悪く言った。無表情が売りのセレスティアは、王子の言葉に少し驚いたが、なんだバレているのかと思い、
「ご理解いただいているのなら、何よりです。」
と、取り繕くことはやめた。
「ふふふ、やっぱりそういうところ面白いよ。ディーンが中々合わせてくれなかった意味がわかったよ。」
「??」
そんなやり取りをしていたら、ダンスの曲も終わってしまった。
「残念、楽しい時間がもう終わってしまった。ありがとう、有意義なダンス時間だったよ。また近々会いたいね。いや会えると思うよ。それでは。」
フェルディナント王子は、意味深な言葉を残して、セレスティアの元を離れた。マナーでいうところでは、ダンスを立て続けて踊るのは、婚約者同士や夫婦と相場は決まっている。
「・・・・・」
会えると思う?王族と会う機会など早々ないはずだけど?と思ったが、セレスティアは一つだけ思い当たるものを思い出した。
「就任式・・・」
卒業式が終われば、間もそう開かずに就任式があることをセレスティアは思い出したのだ。王子はその事を言っているのかもしれないと、セレスティアは思った。
「ディーン、横にいるのが初の女性で竜騎士になったという妹君だな?」
そう言うとコルネリウス王は、セレスティアを品定めするかのように見ていた。
「はい、我が妹のセレスティアと申します。」
「お初にお目に掛かります。セレスティア・ローエングリンと申します。」
セレスティアはドレスの両端を持ち、カーテーシーをした。一応念のためにお伝えしておくと、彼女は淑女教育は好きではないが、やればできる子なので、最低限のマナーはちゃんと身に付けてるぞ!
「ほぉ~・・・竜騎士というからには少々はゴツイ女を想像していたが、これはこれは・・・おっと、まずは卒業おめでとう。」
「恐縮至極に存じます。」
フェルディナント王子の視線は値踏みしているソレであった。だが、セレスティアはそういう視線には慣れていたので、気にしないでいた。通称通りの無表情になっていたのだ。
「ふーん、面白いな。王族相手でもニコリともしないとは。」
フェルディナント王子は、セレスティアのことを面白そうに見ていた。
「・・・・・」
「申し訳ございません。お伝えしていた通り、妹は愛想がありませんので。」
ディーンはセレスティアのことを事前に根回ししていた。
「まぁ、いい。騎士は主君を護ってこそだ。愛想笑いが騎士の本道ではないことは、僕もそれくらいは弁えているつもりだ。」
「恐縮でございます。」
「では、セレスティア嬢、卒業記念に僕と一曲踊ってもらえるかな?」
フェルディナント王子は、セレスティアよりも2つ年上の20歳、金髪に赤い瞳の整った容姿であるが、ディーンからは常々食えない人物だと聞いていた。フェルディナント王子は、セレスティアに手を差し出した。
「はい、仰せのままに。」
取りあえず、この一曲が終われば解放されると思い、セレスティアは王子の手を取った。王子の行動に合わせ、ダンス用の曲が流れ、二人はホールの真ん中でダンスを始めた。
当然のことながら、婚約者でもないセレスティアが卒業パーティで王族と踊るとなると、一心に注目を浴びることになった。ただでさえ、セレスティアの容姿はその美しさで目立つし、フェルディナント王子も同じ理由で注目を浴びる人だっただけに嫌でも視線は集中してしまった。その中にはノアベルトもいて驚いていた。
「お、おい、セレスティアがフェルディナント王子と踊ってるぞ。」
さすがに相手が王子だったので、いつもの茶化す感じではなく、むしろ焦った感じでルッツに話しかけた。
「あぁ、聞いてるから知ってるよ。」
だが、ルッツはセレスティアから聞いていたので、驚くことはなかった。
「あれ?知ってたの?」
「まーね。セレスティアも大変なんだよ。」
「そっか・・・。」
ノアベルトもこの場の空気を読み、それ以上はルッツに追及しなかった。
「ふふ、セレスティア嬢会いたかったよ。なかなかディーンが首を立てに振ってくれなくてね。それで今回はかなり我儘を言ったんだ。」
「そうでしたか。」
ディーンからは今回のダンスの事しか話は聞いていなかったが、自分の知らないところで、今まで防波堤になってくれていたのだなとセレスティアはディーンに感謝した。
「あのディーンの妹だから、興味深かったのだけど、やっぱり面白いね君。」
「そうですか?至って普通だと思いますが。」
特に面白い事をしたことも話した覚えもないので、セレスティアは本当に意味がわからなかった。妹といえばソフィアもいるのだけど、と思ったが何となく今はその話題はしないほうがいい気がしたので、敢えて口にするのは止めた。
「ふふ、そういうところだよ。そっか・・・竜騎士だものね、5年縛りが口惜しいな・・・」
「??」
何が口惜しいのかは、さっぱりセレスティアには思い付くことはなかったが、彼女の頭の中は、今の曲が後どれくらいで終わるのだろう?ということと、相手は王子だからさすがに足は踏まないように気を付けないとな、とこの2点のみだった。後は王子なだけあってダンスは上手いのだなと感心はしていた。
「いや、竜騎士でなければ、僕の婚約者候補にどうかと思ったのだけどね。」
セレスティアは、ほぼ初対面の自分に何を言ってるんだこの人は、っと心の中で突っ込みをいれ流石に口に出すわけにいかないので、
「お戯れを・・・・」
と、取りあえず無難こたえておいた。
「ふふ、顔に出てるよ、「何言ってるんだこいつは」って。」
だが、フェルディナント王子は、セレスティアの思いを見透かしたように意地悪く言った。無表情が売りのセレスティアは、王子の言葉に少し驚いたが、なんだバレているのかと思い、
「ご理解いただいているのなら、何よりです。」
と、取り繕くことはやめた。
「ふふふ、やっぱりそういうところ面白いよ。ディーンが中々合わせてくれなかった意味がわかったよ。」
「??」
そんなやり取りをしていたら、ダンスの曲も終わってしまった。
「残念、楽しい時間がもう終わってしまった。ありがとう、有意義なダンス時間だったよ。また近々会いたいね。いや会えると思うよ。それでは。」
フェルディナント王子は、意味深な言葉を残して、セレスティアの元を離れた。マナーでいうところでは、ダンスを立て続けて踊るのは、婚約者同士や夫婦と相場は決まっている。
「・・・・・」
会えると思う?王族と会う機会など早々ないはずだけど?と思ったが、セレスティアは一つだけ思い当たるものを思い出した。
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卒業式が終われば、間もそう開かずに就任式があることをセレスティアは思い出したのだ。王子はその事を言っているのかもしれないと、セレスティアは思った。
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