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26:人化したカイエル~後編~
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「セレスティア?誰かと話していなかった?」
現れたのは、ルッツだった。
「え?私一人よ。どうして?」
「なんか話し声が聞こえた気がして・・・」
そういうと、ルッツは辺りを見まわした。
「いいえ、私一人よ。だけど、えーと発声練習してたわ。」
「発声練習?」
「えぇ、なんかね、急に叫びたくなって。けど叫ぶのもアレだから、発声練習でもしようかと。あーあーみたいな?」
かなり苦しい言い訳である。案の定、ルッツは怪訝な顔をした。
「そ、そうなの?」
「えぇ、なんか突発的に。」
だが、さすがセレスティア、『氷の人形』のあだ名は伊達ではなく、表情を崩さなかったおかげで、ポーカーフェイスは上手く繕うことはできていた。
「・・・まぁ、いいや。お兄さんが探してるよ。」
腑には落ちなかったが、ルッツは要件をセレスティアに伝えた。
「あぁそうだったのね、わかったわ。わざわざありがとう。」
しかし、セレスティアは動かない。というか移動するわけにはいかなかったからだ。
「あれ?会場に戻らないの?」
「ルッツ先に戻ってくれる?私はその、お花を摘みに行ってから戻るわ。」
これは貴族ならば意味が通じる隠語で、要は「お手洗いに行ってきます」というものを示している。
「あ、あぁごめん。わかった。」
ルッツは少し顔を赤らめて、会場に戻った。その様を見届けてから、
「カイエル出てきてもいいわよ。」
「おぅ」
カイエルは隠れていた茂みから出てきた。
「で、どこに花を摘みに行くんだ?着いてくぞ?」
カイエルは一緒に行く気満々だったようで、キョロキョロしていた。
「ばか!違うわよ。あれは、用を足しにくいっていう意味なのよ!」
セレスティアは真っ赤になりながら説明したが、カイエルは貴族の隠語など知る訳もなく、そのままの意味で解釈していた。そして聞いても何故そういう意味で使うのかよくわからず、
「全然違うじゃねーか?」
「うるさいわね!とにかくそういうものなのよ!考えるから、ちょっと黙ってて!」
セレスティアに怒鳴られて、カイエルはたじろぐも言われた通り黙っていた。セレスティアは、そんなことよりもこれからどうすればいいのか考えていた。とにかく・・・当然ながらカイエルをこのままにはして置けない。そして短い時間で考えた末、
「叔父様を頼るしかないわ・・・」
ユージィンなら、何かわかるかもしれないと思い、ユージィンに相談しようと決めた。
「カイエル、貴方ここまでどうやって来たの?」
「途中までは飛んでたけど、知らない間に走ってたな。」
予想はしていたがやはり竜の厩舎から脱走してきたようだ。だが、今はその事を咎めてる場合ではない。
「貴方、叔父様の家はわかる?」
「あーあの赤い飛竜のパートナーの奴だな。気配でわかると思う。」
「なら、その家の前で待ってて。私も後から行くわ。」
「えー嫌なんだけど。俺あの赤い飛竜なんか苦手なんだよな。」
「そうだったの?」
カイエルがイールを苦手という言葉を聞いて驚いた。『竜の御目通り』では、他の飛竜を退けるくらい傍若無人であったというのに、これは意外だった。ましては大きさはカイエルの方が圧倒的に大きいし、イールは他の飛竜よりも小柄だからだ。
「悪いけれど、今は貴方の好き嫌いを言ってる場合ではないの。私の竜騎士生命がかかってるんだから。」
「え?なんで?」
カイエルはセレスティアの言ってる意味がさっぱりわからなかった。
「貴方が飛竜でないなら、私は竜騎士を廃業しなくちゃいけなくなるからよ。だから、何としても飛竜に戻ってもらわないと困るのよ。」
そう、パートナーとなる飛竜がいないのであればセレスティアは竜騎士としてはいられない。だから何としてもカイエルには人型ではなく、飛竜に戻ってもらわないと困るのだ。
「あぁ、でもそれならそれで俺と二人でどっかで暮らせばいいだけだろ?」
カイエルの後先のことを何も考えていない発言に、セレスティアは内心怒鳴り付けたい心境ではあったが、怒りを封じ込み、そこは冷静に説明した。
「カイエル、よく聞いてね。」
セレスティアは怒りを露わにはしていないが、微笑みを浮かべつつも目が全然笑ってないので、何が原因かわかっていないけれど、セレスティアを怒らせてしまったのはカイエルにも伝わっていた。
「あ、改まってなんだよ?」
「私が竜騎士でなくなったら、私は政略結婚しなくちゃならないの。」
「政略って・・・なんでだよ?!誰かと結婚しないといけないのか?」
結婚という言葉を聞いて、カイエルは険しい眼差しになった。
「政略結婚の意味はわかるようね。私が、政略結婚を免除されているのは、あくまで竜騎士だからよ。その前提の飛竜の貴方がいないのであれば、私は家の為に他の条件のいい誰かと結婚しなくちゃならないの。」
実際は政略結婚はしなくてもいいのだが、それくらい言わないと、この目の前の男は動かないだろうとセレスティアは踏んだのだ。
「・・・行けばいいんだな。あの赤い飛竜のいる家に。」
さすがヤキモチ焼きだけあって、セレスティアが他所にお嫁に行ってしまうことは見過ごすことはできないようであった。
「そうよ。でもいきなり入らないでね。その家の前の付近で待っていて。私もすぐにそこに向かうから、そこで落ち合いましょう。」
「わかった。」
「では、後でね。」
カイエルは素早い動きで、もうこの場から去っていった。
(警備もあったはずなのに・・・人化してもいろいろと能力は高そうね。)当然のことだが、王族が訪問するくらいなので、警備は厳重にされている。それをカイエルは難なく突破して、庭園に忍び込んできたのだ。ポテンシャルは想像より高いのは用意に想像できた。
(さて、私も家に帰ったら撒いて抜けださなくっちゃね。)
セレスティアは、これからやらなければいけない段取りを、頭の中で整理しながら会場に戻った。
現れたのは、ルッツだった。
「え?私一人よ。どうして?」
「なんか話し声が聞こえた気がして・・・」
そういうと、ルッツは辺りを見まわした。
「いいえ、私一人よ。だけど、えーと発声練習してたわ。」
「発声練習?」
「えぇ、なんかね、急に叫びたくなって。けど叫ぶのもアレだから、発声練習でもしようかと。あーあーみたいな?」
かなり苦しい言い訳である。案の定、ルッツは怪訝な顔をした。
「そ、そうなの?」
「えぇ、なんか突発的に。」
だが、さすがセレスティア、『氷の人形』のあだ名は伊達ではなく、表情を崩さなかったおかげで、ポーカーフェイスは上手く繕うことはできていた。
「・・・まぁ、いいや。お兄さんが探してるよ。」
腑には落ちなかったが、ルッツは要件をセレスティアに伝えた。
「あぁそうだったのね、わかったわ。わざわざありがとう。」
しかし、セレスティアは動かない。というか移動するわけにはいかなかったからだ。
「あれ?会場に戻らないの?」
「ルッツ先に戻ってくれる?私はその、お花を摘みに行ってから戻るわ。」
これは貴族ならば意味が通じる隠語で、要は「お手洗いに行ってきます」というものを示している。
「あ、あぁごめん。わかった。」
ルッツは少し顔を赤らめて、会場に戻った。その様を見届けてから、
「カイエル出てきてもいいわよ。」
「おぅ」
カイエルは隠れていた茂みから出てきた。
「で、どこに花を摘みに行くんだ?着いてくぞ?」
カイエルは一緒に行く気満々だったようで、キョロキョロしていた。
「ばか!違うわよ。あれは、用を足しにくいっていう意味なのよ!」
セレスティアは真っ赤になりながら説明したが、カイエルは貴族の隠語など知る訳もなく、そのままの意味で解釈していた。そして聞いても何故そういう意味で使うのかよくわからず、
「全然違うじゃねーか?」
「うるさいわね!とにかくそういうものなのよ!考えるから、ちょっと黙ってて!」
セレスティアに怒鳴られて、カイエルはたじろぐも言われた通り黙っていた。セレスティアは、そんなことよりもこれからどうすればいいのか考えていた。とにかく・・・当然ながらカイエルをこのままにはして置けない。そして短い時間で考えた末、
「叔父様を頼るしかないわ・・・」
ユージィンなら、何かわかるかもしれないと思い、ユージィンに相談しようと決めた。
「カイエル、貴方ここまでどうやって来たの?」
「途中までは飛んでたけど、知らない間に走ってたな。」
予想はしていたがやはり竜の厩舎から脱走してきたようだ。だが、今はその事を咎めてる場合ではない。
「貴方、叔父様の家はわかる?」
「あーあの赤い飛竜のパートナーの奴だな。気配でわかると思う。」
「なら、その家の前で待ってて。私も後から行くわ。」
「えー嫌なんだけど。俺あの赤い飛竜なんか苦手なんだよな。」
「そうだったの?」
カイエルがイールを苦手という言葉を聞いて驚いた。『竜の御目通り』では、他の飛竜を退けるくらい傍若無人であったというのに、これは意外だった。ましては大きさはカイエルの方が圧倒的に大きいし、イールは他の飛竜よりも小柄だからだ。
「悪いけれど、今は貴方の好き嫌いを言ってる場合ではないの。私の竜騎士生命がかかってるんだから。」
「え?なんで?」
カイエルはセレスティアの言ってる意味がさっぱりわからなかった。
「貴方が飛竜でないなら、私は竜騎士を廃業しなくちゃいけなくなるからよ。だから、何としても飛竜に戻ってもらわないと困るのよ。」
そう、パートナーとなる飛竜がいないのであればセレスティアは竜騎士としてはいられない。だから何としてもカイエルには人型ではなく、飛竜に戻ってもらわないと困るのだ。
「あぁ、でもそれならそれで俺と二人でどっかで暮らせばいいだけだろ?」
カイエルの後先のことを何も考えていない発言に、セレスティアは内心怒鳴り付けたい心境ではあったが、怒りを封じ込み、そこは冷静に説明した。
「カイエル、よく聞いてね。」
セレスティアは怒りを露わにはしていないが、微笑みを浮かべつつも目が全然笑ってないので、何が原因かわかっていないけれど、セレスティアを怒らせてしまったのはカイエルにも伝わっていた。
「あ、改まってなんだよ?」
「私が竜騎士でなくなったら、私は政略結婚しなくちゃならないの。」
「政略って・・・なんでだよ?!誰かと結婚しないといけないのか?」
結婚という言葉を聞いて、カイエルは険しい眼差しになった。
「政略結婚の意味はわかるようね。私が、政略結婚を免除されているのは、あくまで竜騎士だからよ。その前提の飛竜の貴方がいないのであれば、私は家の為に他の条件のいい誰かと結婚しなくちゃならないの。」
実際は政略結婚はしなくてもいいのだが、それくらい言わないと、この目の前の男は動かないだろうとセレスティアは踏んだのだ。
「・・・行けばいいんだな。あの赤い飛竜のいる家に。」
さすがヤキモチ焼きだけあって、セレスティアが他所にお嫁に行ってしまうことは見過ごすことはできないようであった。
「そうよ。でもいきなり入らないでね。その家の前の付近で待っていて。私もすぐにそこに向かうから、そこで落ち合いましょう。」
「わかった。」
「では、後でね。」
カイエルは素早い動きで、もうこの場から去っていった。
(警備もあったはずなのに・・・人化してもいろいろと能力は高そうね。)当然のことだが、王族が訪問するくらいなので、警備は厳重にされている。それをカイエルは難なく突破して、庭園に忍び込んできたのだ。ポテンシャルは想像より高いのは用意に想像できた。
(さて、私も家に帰ったら撒いて抜けださなくっちゃね。)
セレスティアは、これからやらなければいけない段取りを、頭の中で整理しながら会場に戻った。
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