【完結】竜騎士の私は竜の番になりました!

胡蝶花れん

文字の大きさ
48 / 233

47:竜騎士団視察~後編~

しおりを挟む
 「ブルーノ・ヘルモント!いい加減にしないか!」

 フェルディナント王子は怒りを露わに、セレスティアを背にかばい、ブルーノ・ヘルモント近衛騎士に叱責した。

  「も、申し訳ありません!過ぎたことを申しました。」

 ブルーノは慌てて、地面に跪いて頭を垂れた。
 
 「セレスティア嬢は、状況を見て判断してくれているのだ。我々は飛竜については素人だ。本職の人間が中止というならば、従うのが道理であろう。くだらないやっかみはやめたまえ。見苦しい!」

 フェルディナント王子は、珍しく声を荒げた。セレスティアは、ヘルモント?と聞いて、どこかで聞いたな…と思ったがすぐに思い出した。ルーカス・ヘルモントだ。どうりで顔に見覚えがあると納得した。関係性はよくは知らないが、身内であることに間違いはないだろうと思った。それよりもしなければならないことがでてきたセレスティアは、王子たちに向けて言い放った。

 「目玉である竜厩舎をご紹介できなかったのは心苦しいですが、どうか安全第一にお願いいたします。あと申し訳ありませんが、私は竜厩舎の異常事態を上官に報告に行かねばなりませんので、施設のご案内はここまでとなります。」

 「うむ、そうだな。では戻るか。」

 「えっと、付いて来られるので?」

 「あぁ、僕も気になるからね。どうせ、この時間はまだここにいる予定だったから問題はないよ。」

 「畏まりました。」

 セレスティアは本当はカイエルとイールに話を聞きたかったのだが、王子たちがいる手前、動けずにいた。(仕方ない、あとで聞いてみよう。)
 






 「ふーむ、飛竜がねぇ。」

 「はい、変に唸るというか恐縮しているというか、明らかにいつもとは様子が違ったのです。」

 「・・・・・なるほどね。」

 セレスティアはユージィンの団長室に行き、竜厩舎の飛竜たちの様子がおかしい事を報告した。

 「ローエングリン団長は、何か心当たりでも?」

 ユージィンの様子にフェルディナント王子は何かに気付いた。

 「・・・いえ、何故そう思われました?」

 「あまり動揺されているようには見えなかったもので、何か知っておられるのかと思ったのですよ。」

 「そうですか、団長足るモノこれぐらいで動揺しては竜騎士団を纏められませんからね。少し考え事はしていましたが。」

 ユージィンはニッコリと笑ったが、目は笑っていない。(多分、これ以上触れてほしくないのね。)セレスティアは何となくユージィンの考えてることがわかった。

 「フェルディナント殿下、セレスティアの言う通り、申し訳ありませんが、視察はここまでです。緊急性はないとはいえ、少しでも不安材料があるところに殿下を長居をさせることは致しかねますからね。お送りいたしましょう。」

 「そうか・・・残念だけど仕方ないね。だけどその前にセレスティア嬢と話をさせてくれないか?」

 セレスティアはそれを言われてギョッとしたが、当然断れる立場ではない。

 「わかりました。すみませんが手短にお願いしますね。」

 ユージィンは許可を出した。


 

 「すまないね、業務中の不測の事態の時に。」

 「いえ・・・」

 「だけど、この機を逃すときっと会う機会がもう中々ないと思ってね。」

 「そうでしたか。」

 「・・・聞いたよ。竜騎士のこと。」

 「え?」

 「ふふ、竜騎士というのは、いろいろ制約があるものだね?」

 セレスティアはフェルディナント王子が何を言わんとするのか理解した。竜騎士のルールにある5年縛りは有名だが、それに纏わるルールがある。5年後、確かに恋人や婚約者に関しては制約はなくなるのだが、竜騎士の相棒たる飛竜に認めてもらえないと結婚することは適わないのだ。つまり、竜騎士本人も『竜の御目通り』にて認めてもらわないと竜騎士にはなれないが、なったらなったで、伴侶も飛竜に認めてもらえないと結婚することは適わないのだ。フェルディナント王子はこのことを言ってるのだろうとわかったのだ。

 「・・・そうですね。」

 「だけど、僕は諦めたわけではないからね。」

 「うちのカイエル相手では殿下といえど、難しいですよ?」

 「はは、手厳しい事を言うね。だけどまだわからないよ。僕は待つって言っただろ?」

 「時間が勿体ないですよ。」

 諦めてください、とセレスティアなりに含みを持たせていた。

 「塩対応だね。だけど僕はそんな君に惹かれて『ドオォォォン!!』」

 「「?!!」」

 セレスティア達のすぐ傍で衝撃音とともに周りには砂埃が舞った。明らかに何かが上から降ってきたというか、着地したのだ。

 「何者?!」

 セレスティアは咄嗟に、フェルディナント王子の前に立ち、剣を抜いて臨戦態勢をとった。フェルディナント王子は自分がセレスティアの前に出ようとしたが、「ダメです!」と、セレスティアに制されてしまった。

 舞い上がった砂埃は少し引いてきたが、その人影は思ってもいないものであった。どう見ても大人のソレではなかったからだ。  

 「ふむ、重い腰を上げてわざわざ来てやってみれば・・・まさか妾の番の浮気現場に遭遇するとは思わなかったのぉ。」  
 
 砂埃が晴れたそこいたのは、白く長い髪に紫の目の神秘的な雰囲気を纏う幼女がそこにいたのだ。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

王宮侍女は穴に落ちる

斑猫
恋愛
婚約破棄されたうえ養家を追い出された アニエスは王宮で運良く職を得る。 呪われた王女と呼ばれるエリザベ―ト付き の侍女として。 忙しく働く毎日にやりがいを感じていた。 ところが、ある日ちょっとした諍いから 突き飛ばされて怪しい穴に落ちてしまう。 ちょっと、とぼけた主人公が足フェチな 俺様系騎士団長にいじめ……いや、溺愛され るお話です。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

刷り込みで竜の母親になった私は、国の運命を預かることになりました。繁栄も滅亡も、私の導き次第で決まるようです。

木山楽斗
ファンタジー
宿屋で働くフェリナは、ある日森で卵を見つけた。 その卵からかえったのは、彼女が見たことがない生物だった。その生物は、生まれて初めて見たフェリナのことを母親だと思ったらしく、彼女にとても懐いていた。 本物の母親も見当たらず、見捨てることも忍びないことから、フェリナは謎の生物を育てることにした。 リルフと名付けられた生物と、フェリナはしばらく平和な日常を過ごしていた。 しかし、ある日彼女達の元に国王から通達があった。 なんでも、リルフは竜という生物であり、国を繁栄にも破滅にも導く特別な存在であるようだ。 竜がどちらの道を辿るかは、その母親にかかっているらしい。知らない内に、フェリナは国の運命を握っていたのだ。 ※この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「アルファポリス」にも掲載しています。 ※2021/09/03 改題しました。(旧題:刷り込みで竜の母親になった私は、国の運命を預かることになりました。)

処理中です...