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69:カルベルス王国の滅亡~⑪~(過去編)
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カイエルは慌てて、エレノアの傍に駆け寄った。エレノアは肩から背中をバッサリと切られたようで、出血がおびただしく息絶え絶えであった。
「カイエ・・・ル、お願い・・・ここに・・・神父様、と・・・」
「喋るな!!」
カイエルの目には見る見る涙が溢れていた。
「ダメ・・・よ。子供たちがどこかに、いる・・の。お願い、探し・・・てどこか・・・に逃が・・・して・・・あげて・・・」
「わかった!わかったから、お願いだから喋らないでくれ!」
カイエルは涙が止まらなかった。エレノアがいなくなってしまう。命の灯が否が応でも、ドンドン小さくなってきていることがわかるからだ。治癒魔法じゃ間に合わないこともわかっていた。流れ出た血液の量が多すぎたからだ。できるのはせめて痛みを和らげることしかできなかった。
「ごめん、ごめんな!!俺が、俺がもっと早くに気付いていれば!」
カイエルもつい先ほどまで身体には何の異常もなく、エレノアが不安そうにしていたのは知っていたが、エレノアが部屋から出ていくときに「大丈夫よ。」と言った言葉を真に受けるんじゃなかったと、カイエルは心底後悔していた。まさかこんな目に会うなど予想もしていなかったのだ。
「ごめ・・・んね・巻き込んじゃ・・・った。」
エレノアは力なく微笑んだ。カイエルは耐えられなかった。
「いやだ・・・いやだ!エレノア、俺の番、頼むからいなくならないでくれ!やっと、やっと会えたのに!やっと気持ちが通じたばかりなのに、いやだ、お願いだ!」
カイエルはエレノアの手を掴み自分の顔に擦りつけていた。
「カイエル、ごめ・・ん。私も・・・会えて嬉しかった・・・あり・・が・・・・・」
エレノアは最後までなんとか笑っていたようとしていたが、力尽きカイエルの手からすり抜け床に落ちていた。
「う・・・うわぁあああああああ!!!!嘘だ!嘘だ!嘘だ!!エレノア、嘘だーーーーーー!!!」
カイエルは人目も憚らず泣いていた。ただひたすらに泣いていた。
「エレノア、笑ってくれ!俺を見て!お願いだ!エレノアーーー!!」
周りの人間はただ、その光景を呆然と見つめることしかできなかったが、この中で数人は青ざめていた。エレノアに手を下してしまった近衛騎士とロレンシオ王だ。
やがてカイエルの泣き声が聞こえなくなり、一瞬の静寂があったが、それは次の言葉で打ち破られた。
「・・・・・・誰だ?」
その声は地よりも低い声だった。そしてその一言に周りは震えあがっていた。カイエルは既に、竜化が始まっていた。カイエルの腕は黒い鱗に覆われた鋭い爪のある腕になっていたが、その腕には事切れたエレノアを抱いていた。背中にも瞬時に現れた黒い蝙蝠のような大きな羽。そして、カイエルの頭には大きな角が生えていた。カイエルは振り向いた。
「誰がこんなことをしたのかと聞いてるんだ!!!」
「ひぃいいい!」
あまりの恐ろしさに、ロレンシオ王は情けない声がでた。振り返ったカイエルの顔は端から左右の頬の半分ほどまで黒い鱗に覆われていた。それがいかに異形の竜であることが嫌でも思い知らされた。カイエルが怒鳴ったことで、空気がビリビリとしているのが伝わった。それほど凄まじい『気』だった。カイエルは神父を見た。猿轡を遠くから鋭い爪で触れずに切ってしまった。
「お前は見ていただろう。話せ。」
カイエルの口調は威圧的に変わっていた。教会で子供たちと一緒に遊んでくれていた様子と同一とは思えないほどの様変わりであった。エレノアを失った為にカイエルの本来の本性が出ているのだろう神父にはわかっていた。
「エレノアは・・・脅されていたんだ。カイエル、君の竜の力でペルニツァ王国を制圧するように、そこにいる国王に言われて、だけどエレノアが断ったら、私を私達を殺されたくなかったら言う事をきけと・・・だが、それでも、それでもエレノアは他の方法を探そうと国王に言ったら、私が見せしめに切りつけられそうになったところを、エレノアが、かば、庇って・・・」
神父もそこまで一気に喋ったが、エレノアが自分を庇って亡くなってしまったことに、神父も心底申し訳なく、嗚咽が混じってしまった。
「すまない!カイエル!私のせいで、エレノアをこんな目に!本当に・・・すまない!!」
神父は号泣していた。エレノアなら確かに殺されそうになっている人を見過ごすことなどしないだろう。エレノアはそういう心の優しい娘だということはわかっていた。カイエルは経緯は納得したが、もちろん経緯の内容に納得することなどできる訳がなかった。
「ち、違うんだ!カイエル殿、その誤解で!!」
ロレンシオ王は焦っていた。不味い不味い不味い不味いと。愚鈍な王も、今のこの状況が最悪に自分に不利だとわからないほど、愚かではなかったようだ。
「何が違う?・・・まぁいい。あとでゆっくりとお前の言い分を聞いてやろう・・・」
そういうと、カイエルはエレノアと神父を抱きかかえて窓から飛んで出て行ってしまった。
「カイエ・・・ル、お願い・・・ここに・・・神父様、と・・・」
「喋るな!!」
カイエルの目には見る見る涙が溢れていた。
「ダメ・・・よ。子供たちがどこかに、いる・・の。お願い、探し・・・てどこか・・・に逃が・・・して・・・あげて・・・」
「わかった!わかったから、お願いだから喋らないでくれ!」
カイエルは涙が止まらなかった。エレノアがいなくなってしまう。命の灯が否が応でも、ドンドン小さくなってきていることがわかるからだ。治癒魔法じゃ間に合わないこともわかっていた。流れ出た血液の量が多すぎたからだ。できるのはせめて痛みを和らげることしかできなかった。
「ごめん、ごめんな!!俺が、俺がもっと早くに気付いていれば!」
カイエルもつい先ほどまで身体には何の異常もなく、エレノアが不安そうにしていたのは知っていたが、エレノアが部屋から出ていくときに「大丈夫よ。」と言った言葉を真に受けるんじゃなかったと、カイエルは心底後悔していた。まさかこんな目に会うなど予想もしていなかったのだ。
「ごめ・・・んね・巻き込んじゃ・・・った。」
エレノアは力なく微笑んだ。カイエルは耐えられなかった。
「いやだ・・・いやだ!エレノア、俺の番、頼むからいなくならないでくれ!やっと、やっと会えたのに!やっと気持ちが通じたばかりなのに、いやだ、お願いだ!」
カイエルはエレノアの手を掴み自分の顔に擦りつけていた。
「カイエル、ごめ・・ん。私も・・・会えて嬉しかった・・・あり・・が・・・・・」
エレノアは最後までなんとか笑っていたようとしていたが、力尽きカイエルの手からすり抜け床に落ちていた。
「う・・・うわぁあああああああ!!!!嘘だ!嘘だ!嘘だ!!エレノア、嘘だーーーーーー!!!」
カイエルは人目も憚らず泣いていた。ただひたすらに泣いていた。
「エレノア、笑ってくれ!俺を見て!お願いだ!エレノアーーー!!」
周りの人間はただ、その光景を呆然と見つめることしかできなかったが、この中で数人は青ざめていた。エレノアに手を下してしまった近衛騎士とロレンシオ王だ。
やがてカイエルの泣き声が聞こえなくなり、一瞬の静寂があったが、それは次の言葉で打ち破られた。
「・・・・・・誰だ?」
その声は地よりも低い声だった。そしてその一言に周りは震えあがっていた。カイエルは既に、竜化が始まっていた。カイエルの腕は黒い鱗に覆われた鋭い爪のある腕になっていたが、その腕には事切れたエレノアを抱いていた。背中にも瞬時に現れた黒い蝙蝠のような大きな羽。そして、カイエルの頭には大きな角が生えていた。カイエルは振り向いた。
「誰がこんなことをしたのかと聞いてるんだ!!!」
「ひぃいいい!」
あまりの恐ろしさに、ロレンシオ王は情けない声がでた。振り返ったカイエルの顔は端から左右の頬の半分ほどまで黒い鱗に覆われていた。それがいかに異形の竜であることが嫌でも思い知らされた。カイエルが怒鳴ったことで、空気がビリビリとしているのが伝わった。それほど凄まじい『気』だった。カイエルは神父を見た。猿轡を遠くから鋭い爪で触れずに切ってしまった。
「お前は見ていただろう。話せ。」
カイエルの口調は威圧的に変わっていた。教会で子供たちと一緒に遊んでくれていた様子と同一とは思えないほどの様変わりであった。エレノアを失った為にカイエルの本来の本性が出ているのだろう神父にはわかっていた。
「エレノアは・・・脅されていたんだ。カイエル、君の竜の力でペルニツァ王国を制圧するように、そこにいる国王に言われて、だけどエレノアが断ったら、私を私達を殺されたくなかったら言う事をきけと・・・だが、それでも、それでもエレノアは他の方法を探そうと国王に言ったら、私が見せしめに切りつけられそうになったところを、エレノアが、かば、庇って・・・」
神父もそこまで一気に喋ったが、エレノアが自分を庇って亡くなってしまったことに、神父も心底申し訳なく、嗚咽が混じってしまった。
「すまない!カイエル!私のせいで、エレノアをこんな目に!本当に・・・すまない!!」
神父は号泣していた。エレノアなら確かに殺されそうになっている人を見過ごすことなどしないだろう。エレノアはそういう心の優しい娘だということはわかっていた。カイエルは経緯は納得したが、もちろん経緯の内容に納得することなどできる訳がなかった。
「ち、違うんだ!カイエル殿、その誤解で!!」
ロレンシオ王は焦っていた。不味い不味い不味い不味いと。愚鈍な王も、今のこの状況が最悪に自分に不利だとわからないほど、愚かではなかったようだ。
「何が違う?・・・まぁいい。あとでゆっくりとお前の言い分を聞いてやろう・・・」
そういうと、カイエルはエレノアと神父を抱きかかえて窓から飛んで出て行ってしまった。
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