【完結】竜騎士の私は竜の番になりました!

胡蝶花れん

文字の大きさ
76 / 233

75:カイエル、帰参

しおりを挟む
 嘘だ!嘘だ!嘘だ!!嘘だ!!!

 そんなセレスティアの命の灯が小さくなっているなんて!

 馬鹿な!!一体何があったんだ?!

 俺がいなくても、セレスティアの周りにはあのいけ好かないユージィンやその仲間、それに『竜の祖』が3体もいたんだぞ?!

 だから俺がいなくなっても、大丈夫だと思っていたのに!一体急に何があったんだ!!

 カイエルは飛んでいた。そして急いでいた。突如セレスティアの命の灯が小さくなったことがわかったからだ。
 カイエルは高を括っていた。自分がいなくても、姉とやらの『竜の祖』もいるし、周りも騎士に囲まれているのであれば、滅多なことにはならないであろうと。自分が傍にいなくても、セレスティアはやっていける、そう思っていたのだ。

 なのに突如セレスティアの命の灯が小さくなっていたのがわかったのだ。

 嫌だ!嫌だ!!嫌だ!!!
 俺はセレスティアを失いたくないと思っていたのに、俺が側にいることで、セレスティアを失うかもしれないと思ったのに!これじゃ俺は何のために離れたんだよ!!俺は、俺はまた同じ事をしてしまうのか?!?同じこと?同じことって・・・俺は、前にも同じような事があったのか?

 カイエルは着地し、飛竜から人化して慌てて屋敷の中に入った。ある一室に向かって走っていた。

 「セレスティア!!!」

 カイエルは扉を開けた。そこはユージィン邸の一室であった。

 「!!」

 カイエルはその状況を見て、全身から血の気が引いていた。

 セレスティアは、ベッドに仰向けに眠っていた。両手は胸のあたりで組んでいて、これではまるで・・・

 カイエルはフラフラになり、セレスィアが寝ているベッドまで来た。セレスティアは生気のない、青白い顔をして眠っているようではあったが息をしていなかった。

 「う・・そだろ?」

 カイエルは真っ青になっていた。
 
 「カイエル・・・」

 イシュタルは悲しいそうな顔をして、弟を見た。

 「私は言ったのよ。いくらカイエルに気付いてもらえるためだからってこんな危ないことしちゃダメだって・・・。でも彼女は、セレスティアは言う事を利いてくれなくて・・・」

 「え・・・まさか俺の為に、俺のせいでこんなことに?」

 カイエルはガクンと膝から崩れ落ちた。

 セレスィアの命の灯が消えかけていることに、否が応でもカイエルには感じ取ることができた。

 「お、俺は、セレスィアを失いたくないんだ。だから俺が傍にいることで、セレスィアを失う事になるくらいなら、離れて、遠くでそっと見守っていればいいと・・・」

 カイエルは両手で顔を覆い自分の気持ちを吐露し始めた。

 「じゃが、結果的にお主が離れてしまったことで、このようなことになってしまったのじゃ。」

 アンティエルは容赦なく現実を突き付けた。

 「うっ、うっ、俺また・・・また同じことを・・・」

 「カイエル思い出したの?」
 
 ラーファイルが尋ねる、

 「わからな・・い。けど、感覚は覚えている。だから良かれと思って離れようと思ったのに・・・」

 カイエルは横たわっているセレスティアのベッドでセレスティアの片手を自分の両手で包み込みように持ち、顔を伏せて泣いていた。 

 「ごめん、ごめんセレスティア!!俺が、俺が間違っていた!だから逝かないでくれ、お願いだ!もうあんな思いはごめんなんだ!!俺を置いて行かないでくれ!!」

 カイエルは心の底から、後悔していた。人任せにしてしまったことを。どうして自分が傍にいて、何があろうと守ってやろうとしなかったのかと。

 「カイエル、もう勝手に何処かに行かない?」

 「行かない!絶対に!俺は絶対にセレスティアの傍を離れないから!!」

 しかし、カイエルはあれ?と思った。なぜならその声は・・・

ゴンッ!
 カイエルは一瞬何が起きたのか、わからなかったが、いきなり頭を拳骨で叩かれたのだ。

 「ふん、言質は取ったわよ?」

 そこには不敵な顔で、カイエルを見つめるセレスティアがいた。  

しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

王宮侍女は穴に落ちる

斑猫
恋愛
婚約破棄されたうえ養家を追い出された アニエスは王宮で運良く職を得る。 呪われた王女と呼ばれるエリザベ―ト付き の侍女として。 忙しく働く毎日にやりがいを感じていた。 ところが、ある日ちょっとした諍いから 突き飛ばされて怪しい穴に落ちてしまう。 ちょっと、とぼけた主人公が足フェチな 俺様系騎士団長にいじめ……いや、溺愛され るお話です。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

刷り込みで竜の母親になった私は、国の運命を預かることになりました。繁栄も滅亡も、私の導き次第で決まるようです。

木山楽斗
ファンタジー
宿屋で働くフェリナは、ある日森で卵を見つけた。 その卵からかえったのは、彼女が見たことがない生物だった。その生物は、生まれて初めて見たフェリナのことを母親だと思ったらしく、彼女にとても懐いていた。 本物の母親も見当たらず、見捨てることも忍びないことから、フェリナは謎の生物を育てることにした。 リルフと名付けられた生物と、フェリナはしばらく平和な日常を過ごしていた。 しかし、ある日彼女達の元に国王から通達があった。 なんでも、リルフは竜という生物であり、国を繁栄にも破滅にも導く特別な存在であるようだ。 竜がどちらの道を辿るかは、その母親にかかっているらしい。知らない内に、フェリナは国の運命を握っていたのだ。 ※この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「アルファポリス」にも掲載しています。 ※2021/09/03 改題しました。(旧題:刷り込みで竜の母親になった私は、国の運命を預かることになりました。)

処理中です...