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79:ハインツとラーファイル
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ユージィン邸にて___
ラーファイルはソワソワしていた。
「なんじゃ、落ち着きがないのぉ。」
アンティエルはテラスでお茶を啜っていた。まだこの時間は、ユージィンもイシュタルも仕事中である。
「そりゃそうだよ!だってしばらく会えていなかったんだよ!」
ラーファイルは、ハンイツが近くまで来ていることがわかっていた。
「あーもっと事前にわかってたら、ご馳走作って待ってたのになぁ!」
ラーファイルは悔しそうにしていたが、
「まぁ、詳しくはわからぬが、仕事ならば致し方ないのではないか?」
「そりゃそうなんだけどさ・・・」
仕事とわかってはいるものの、気持ちが抑えられないというのが恋心の無理からぬ話であった。
「きた!」
そう言うや否や、ラーファイルは、扉へ一目散に向かった。
「全く、落ち着きがないのぉ。まぁ気持ちはわからないでもないが。」
ラーファイルは扉を開け、
「ハインツ、おかえりなさい!」
と、いきなり、ハンイツに抱き着いた。
「うわ!」
まさかドアが開いたらいきなり抱き着かれるとは、思っていなかったハインツは驚いたが、
「はは、いきなり強烈なお迎えだね。ただいま、ラーファイル。」
「うんうん、ハインツだ!あーいい匂い。落ち着くー」
ラーファイルはハインツの首元に顔を埋めて、匂いを堪能していた。だが、少し違和感があった。かすかにだが、身に覚えのある匂いがしたのだ。(んん?あれ?この匂いは?)
だが、どこで嗅いだ匂いであったのか、ラーファイルは思い出せなかった。
「ちょっちょっと僕はまだ、お風呂に入ってないから、恥ずかしいんだけどね。」
仕事から帰ってきたばかりなので、汗臭い自覚があったハインツは慌てて、ラーファイルから逃れようと、ラーファイルを引きはがそうとしたが、さすがは『竜の祖』力では全く敵わなかった。
「くふふふ、だーめ。ハインツの匂いだもん。僕好きだよ。」
「!そ、そういうこと言われると、恥ずかしいんだけど。」
ハインツは顔を真っ赤にしていた。
「ね、ゆっくりできるでしょ?今からご飯作るから待ってて!」
「あーごめん。ラーファイル。実はこれから同期で飲み会があるんだよ。だからまたすぐに出かけないといけないんだ。」
「えーー、そうなの?残念・・・」
ラーファイルは見る見るうちにしょぼくれてしまった。
「明日はお休みをもらっているかさ。明日ならゆっくりできるから、また改めて来るよ。」
そうハインツが言うと、ラーファイルは一瞬にして嬉しさが込み上げ、顔はパアァっと明るくなった。
「絶対だよ!明日は待ってるね!今日は、あっ!」
ラーファイルはわかったのだ。約束があっても少しでも自分に会いにハインツがわざわざ会いに来てくれたことに。
「ハインツ、ありがとうね。」
ラーファイルは、ハインツの優しさにジーンと感動していた。
「いや、当然だよ。今日はごめんな。」
「ううん、気を付けてね。飲みすぎちゃだめだよ。」
「あぁ、気を付けるよ。じゃ行ってくるね。」
「うん、いってらっしゃい!」
そんなやり取りをしているうちに、ラーファイルは先程感じた匂いについては、記憶の隅に追いやってしまっていた。
月の兎亭にて___
「「「「「かんぱーい!」」」」」
まだ、ハインツはまだ来ていなかったが、遅れるとのことだったので、時間通りに来たメンバーで取り敢えず乾杯となった。
「いやー、やっぱ労働のあとのエールは美味い!!」
ノアベルトがそういうと、ルッツは怪訝な顔をして、
「ノア?前も同じようなこと言ってなかった?」
ルッツは笑いが込み上げるのを少し堪えながら、聞いてみた。
「そうだっけ?」
「うん、言ってたね。」
テオも覚えていたようだ。
「ま、いーじゃん。そんな些細なことは!」
「はは、それもそうだな。」
ルッツもそれには同意した。
「で、どうだったの?要人の護衛とやらは?」
「僕は面白かったけど、ハインツは疲れてたね。なんでだろ?」
「あー俺は何となくわかるかも。」
意外なところでノアベルトが同意したことで、他の皆も驚いていた。
「どういうことなの?」
セレスティアも、不思議に思い聞いてみた。
「まぁ、俺らは生粋の貴族だろ?だからある程度はそういう場っていうの?ま、簡単に言うと、場慣れしてるじゃん?けど、ハインツは竜騎士になってはじめて爵位をもらったばかりでだからさ、要は平民だった時とは環境がガラリと変わる訳よ。だから余計に気を使うだろうなーと。」
ノアベルトの話を聞いて、セレスティア合点がいった。言われてみればそうかもしれないと。付け加えるなら、ハインツは『竜の祖』の番のこともあるし、余計にいろいろと気疲れしているだろうなと、セレスティアは思ったのだ。
「あーそうかもね。僕は気にしないから。そう言う気持ちわからないけど。」
「うん、お前はそういうの気にしなさそうだもんな。俺はそういうの好きだけど。」
「あはは、確かにね。」
ルッツも同意した。
「で、具体的に何が面白かったんだ?」
ケヴィンが詳細に問いただした。
「うんとね、警備自体は別に普通に仕事して終わり。そうじゃないところで、面白いことがあったんだよ。」
ラーファイルはソワソワしていた。
「なんじゃ、落ち着きがないのぉ。」
アンティエルはテラスでお茶を啜っていた。まだこの時間は、ユージィンもイシュタルも仕事中である。
「そりゃそうだよ!だってしばらく会えていなかったんだよ!」
ラーファイルは、ハンイツが近くまで来ていることがわかっていた。
「あーもっと事前にわかってたら、ご馳走作って待ってたのになぁ!」
ラーファイルは悔しそうにしていたが、
「まぁ、詳しくはわからぬが、仕事ならば致し方ないのではないか?」
「そりゃそうなんだけどさ・・・」
仕事とわかってはいるものの、気持ちが抑えられないというのが恋心の無理からぬ話であった。
「きた!」
そう言うや否や、ラーファイルは、扉へ一目散に向かった。
「全く、落ち着きがないのぉ。まぁ気持ちはわからないでもないが。」
ラーファイルは扉を開け、
「ハインツ、おかえりなさい!」
と、いきなり、ハンイツに抱き着いた。
「うわ!」
まさかドアが開いたらいきなり抱き着かれるとは、思っていなかったハインツは驚いたが、
「はは、いきなり強烈なお迎えだね。ただいま、ラーファイル。」
「うんうん、ハインツだ!あーいい匂い。落ち着くー」
ラーファイルはハインツの首元に顔を埋めて、匂いを堪能していた。だが、少し違和感があった。かすかにだが、身に覚えのある匂いがしたのだ。(んん?あれ?この匂いは?)
だが、どこで嗅いだ匂いであったのか、ラーファイルは思い出せなかった。
「ちょっちょっと僕はまだ、お風呂に入ってないから、恥ずかしいんだけどね。」
仕事から帰ってきたばかりなので、汗臭い自覚があったハインツは慌てて、ラーファイルから逃れようと、ラーファイルを引きはがそうとしたが、さすがは『竜の祖』力では全く敵わなかった。
「くふふふ、だーめ。ハインツの匂いだもん。僕好きだよ。」
「!そ、そういうこと言われると、恥ずかしいんだけど。」
ハインツは顔を真っ赤にしていた。
「ね、ゆっくりできるでしょ?今からご飯作るから待ってて!」
「あーごめん。ラーファイル。実はこれから同期で飲み会があるんだよ。だからまたすぐに出かけないといけないんだ。」
「えーー、そうなの?残念・・・」
ラーファイルは見る見るうちにしょぼくれてしまった。
「明日はお休みをもらっているかさ。明日ならゆっくりできるから、また改めて来るよ。」
そうハインツが言うと、ラーファイルは一瞬にして嬉しさが込み上げ、顔はパアァっと明るくなった。
「絶対だよ!明日は待ってるね!今日は、あっ!」
ラーファイルはわかったのだ。約束があっても少しでも自分に会いにハインツがわざわざ会いに来てくれたことに。
「ハインツ、ありがとうね。」
ラーファイルは、ハインツの優しさにジーンと感動していた。
「いや、当然だよ。今日はごめんな。」
「ううん、気を付けてね。飲みすぎちゃだめだよ。」
「あぁ、気を付けるよ。じゃ行ってくるね。」
「うん、いってらっしゃい!」
そんなやり取りをしているうちに、ラーファイルは先程感じた匂いについては、記憶の隅に追いやってしまっていた。
月の兎亭にて___
「「「「「かんぱーい!」」」」」
まだ、ハインツはまだ来ていなかったが、遅れるとのことだったので、時間通りに来たメンバーで取り敢えず乾杯となった。
「いやー、やっぱ労働のあとのエールは美味い!!」
ノアベルトがそういうと、ルッツは怪訝な顔をして、
「ノア?前も同じようなこと言ってなかった?」
ルッツは笑いが込み上げるのを少し堪えながら、聞いてみた。
「そうだっけ?」
「うん、言ってたね。」
テオも覚えていたようだ。
「ま、いーじゃん。そんな些細なことは!」
「はは、それもそうだな。」
ルッツもそれには同意した。
「で、どうだったの?要人の護衛とやらは?」
「僕は面白かったけど、ハインツは疲れてたね。なんでだろ?」
「あー俺は何となくわかるかも。」
意外なところでノアベルトが同意したことで、他の皆も驚いていた。
「どういうことなの?」
セレスティアも、不思議に思い聞いてみた。
「まぁ、俺らは生粋の貴族だろ?だからある程度はそういう場っていうの?ま、簡単に言うと、場慣れしてるじゃん?けど、ハインツは竜騎士になってはじめて爵位をもらったばかりでだからさ、要は平民だった時とは環境がガラリと変わる訳よ。だから余計に気を使うだろうなーと。」
ノアベルトの話を聞いて、セレスティア合点がいった。言われてみればそうかもしれないと。付け加えるなら、ハインツは『竜の祖』の番のこともあるし、余計にいろいろと気疲れしているだろうなと、セレスティアは思ったのだ。
「あーそうかもね。僕は気にしないから。そう言う気持ちわからないけど。」
「うん、お前はそういうの気にしなさそうだもんな。俺はそういうの好きだけど。」
「あはは、確かにね。」
ルッツも同意した。
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ケヴィンが詳細に問いただした。
「うんとね、警備自体は別に普通に仕事して終わり。そうじゃないところで、面白いことがあったんだよ。」
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